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女王エリザベス1世の時代、発展途上だったイギリスがスペインやポルトガルのような強国にどうやって対抗していったのか? 「海賊」をキーワードに様々な取り組みが紹介されています。 それにしても現在だったら考えられないような乱暴なやり口だけど、意外と今でもやってることは変わらないのかも。 その他にはスパイスやコーヒー、紅茶の話などが興味深かった。
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子供の頃、テレビドラマで「キャプテン ドレーク」という番組があった。もちろん、このような冒険に満ちたドラマは大好きだったので欠かさず見ていたもの・・・・そんなことを思い出しましたね。
竹田いさみ「世界史をつくった海賊」、掛け値なしに面白くて一気に読んでしまった。もちろん、フランシス・ドレークはイギリス海賊史上のもっとも有名な海賊だと云っていいのだろう。二番目のために余り知られてはいないが世界周航を成し遂げた人物であり、そして何よりも世界の海を股にかけてスペイン船を襲い、銀、胡椒、などの財宝をイギリスに持ち帰ってエリザベス女王の時代をつくった海の英雄、というのはイギリスの歴史の話。スペインの歴史から見れば、スペイン没落の張本人、悪党の中の悪党というべきかも知れない。
それにしても、エリザベス女王というのも本当に「ワル」な人物だといわなければならないだろう。スペイン、フランスなどのカトリック教国に囲まれ、スコットランドからも脅威を受けるという四面楚歌の中で、貧しい小国イングランドが生き延びるにはこれしかないという国策。ヨーロッパ中にスパイの情報網を張り巡らし、裏で海賊を操ってスペインを疲弊させ、ついには無敵艦隊を破って世界の海に覇権を唱えるほどの強国の基礎をつくってゆく。イギリスの歴史は海賊によってつくられた!? と云ってもいいくらい。ホントにひどい国? だったんだなあ、と今更ながらに驚くようなことだ。とは云っても歴史とはもともとそのようなものに違いない。下克上は当たり前だし、大虐殺の歴史なども枚挙に暇がないほど。でも、イギリスとしてはあまり暴露はしたくない話ではあろうね。
そうそう、トレビアの話が一つ。イギリスと云えば現在は紅茶の国だが、17-18世紀はコーヒーが全盛でロンドンにはコーヒーハウスが8000もあったのだとか。変われば変わるものだね。
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イギリスが大英帝国として繁栄するひとつのきっかけが大航海時代のスペイン船を襲った私掠船(海賊)である。その海賊に焦点を絞った一冊。いかに大航海時代のイギリスにとって海賊が重要な存在であったかが読めばわかる。
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16世紀ごろ欧州列強の中にあって、弱小国であった英国がどのように国力増強を財を形成していったかが、海賊行為を通じて理解ができる良書。
弱小国であったがゆえに大国であったポルトガルやスペインに正面から対抗するのではなく、エリザベス女王らの英国王達はゲリラ戦である海賊行為を通じて国力を増強。海賊行為にあたっては、周到な諜報(インテリジェンス)活動を行い常に自分たちが優位な局面に立つよう腐心していた点などは現代にも参考になる。
海賊またその後に成立する東インド会社を通じた海上貿易の歴史についても、理解が深まる。
当時主要な貿易品の一つであったスパイスは、一般的に肉などの保存料として使用されていたと教科書には記載されているが、実際には医薬用として用いられていたなど当時の様子を知るうえでのエピソードも面白い。
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イギリスは王室と海賊がタッグを組んで悪いことをたくさんやった。
それで大英帝国の繁栄の礎を築いたんだな、と。
まあ、そうだよね。ルールを破る、人道的にすれすれのところをいく。
多かれ少なかれ、それくらいしないと国家は繁栄しない、というのは事実だろう。
という勉強になりました。
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大英帝国発展の基礎を作った先人達の無法ぶりがよく理解できたが、現代の倫理感でこれを断罪することには慎重になる。
スペインやポルトガルが新大陸から得た富のすべてがイベリア半島を潤した訳ではなかったというのが如実に理解できた。
まさしく海賊たちは歴史を変えたと言える。
面白い本に出会った。
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日本が乱世の戦国時代、いっても島国の中で「われこそは」と名乗り合っていたころのお話し。ヨーロッパでは地中海にインド洋、大西洋に渡る地球規模での、植民地と貿易利権をめぐる壮大な海洋戦が繰り広げていたのだ。学校で歴史を習う前にこの本と出会っていたならなぁ。
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先日読み終えたのは「世界史に消えた海賊」でした。
今回は「世界史をつくった海賊」。
結論から言えば、世界史、特にエリザベス女王治世下のイギリスにおいて海賊がとっても重要な役割を果たし、それがのちの大英帝国、産業革命、を作り上げたのだということを言っているのは同じ。
「消えた」方は海賊として名をはせた各人物を中心に取り上げているのに対して、この「つくった」方は主にホーキンス・ドレークを要素として取り上げて解説はしているものの、全体的には「毛織物に偏っていた英国の貿易がどのような海賊行為にして発展、変化し、さらには諸外国と外交をしていったのか(英国の、女王の政策としてどうであったのか)」という流れに沿って各章がまとめられていて、とても分かりやすく、そして専門的でもある。
コーヒー、スパイス、奴隷について各章でまとめており、世間一般で信じられている「通説」を否定している点について記述があり、刺激的。
とても面白かった。
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[ 内容 ]
スパイス、コーヒー、紅茶、砂糖、奴隷…これら世界史キーワードの陰には、常に暴力装置としての海賊がいた。
彼らは私的な略奪にとどまらず、国家へ利益を還流し、スパイとして各国情報を収集・報告し、海軍の中心となって戦争に参加するなど、覇権国家誕生の原動力になった。
さらに、国際貿易・金融、多国籍企業といった現代に通じるシステムの成り立ちに深く関与していた。
厄介な、ならず者集団であるいっぽう、冒険に漕ぎ出す英雄だった海賊たちの真実から、世界の歴史をとらえ直す。
[ 目次 ]
第1章 英雄としての海賊―ドレークの世界周航(貧しい二流国からの脱却;“海賊マネー”で国家予算を捻出 ほか)
第2章 海洋覇権のゆくえ―イギリス、スペイン、オランダ、フランスの戦い(勝利の立役者としての海賊;無敵艦隊との戦い―スパイ戦 ほか)
第3章 スパイス争奪戦―世界貿易と商社の誕生(貿易の管理と独占の仕組み;魅惑のスパイス貿易 ほか)
第4章 コーヒーから紅茶へ―資本の発想と近代社会の成熟(コーヒー貿易と海賊ビジネス;覚醒と鎮痛のドリンク ほか)
第5章 強奪される奴隷―カリブ海の砂糖貿易(甘いクスリ―砂糖の登場;イギリスと奴隷貿易 ほか)
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[ 結論 ]
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[ 読了した日 ]
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16世紀のヨーロッパを支配していたのはスペインとポルトガルというカトリックの2大国であり、当時のイギリスは貧しい二流国だった。しかもプロテスタント国家であるイギリスは周囲のカトリック国家からの武力侵攻に怯えなければならない状況で、このまま戦争になればイギリスに勝ち目がないのは明らかだ。どうすれば手っ取り早く強い軍事力を持つ豊かな国になれるだろう。
富国強兵の方法を模索し続けたエリザベス一世が興味を持ったのが「海賊マネー」だ。早速有力な海賊を集めて海賊船団を編成させ、スペインやポルトガルの船を襲撃させた。襲撃した船から高価な商品を略奪して売却すれば現金が手に入るのだ。事実上女王主導の海賊行為だが、さすがに女王が表立つことはできない。そこで民間主導で海賊行為ごとに出資者を募り、秘密裏に女王も大口の出資者として参加するシンジケート方式がとられた。女王が海賊シンジケートの黒幕なのだ。利益が上がれば出資額に応じて分配される。女王の集金マシーンとして大活躍したフランシス・ドレークは世界各地で略奪の限りを尽くし、女王やイギリス国家に巨額な海賊マネーをもたらした。その額は国家予算の3倍にあたるという。
やがてスペインとの戦争が避けられないとなると、海賊たちは集金マシーンにとどまらず、戦闘マシーンとしての使命も背負う事になった。軍事力に劣るイギリスは優れたスパイ組織を作り情報戦を展開し、その情報をもとに海賊がゲリラ的に敵国の船を襲撃して勝利をおさめていった。スペインの無敵艦隊をも破った海賊たちは、イギリスの繁栄に莫大な貢献をしたのだ。エリザベス女王は他国の富を奪うため、そして大国スペインとの戦争に勝利するために海賊たちを大量に動員して活用した。更に海賊を国家の英雄に仕立て上げて人心を掌握したのだ。海賊ドレークは女王からナイトの称号を授かり、特権階級の一員となった。
17世紀に創設され大きな力を持つことになる東インド会社も、設立したのは海賊だった。もちろん主力は海賊船で、当初は略奪とスパイス貿易で富を得た。海賊でもあり貿易商人でもあるホーキンズによる奴隷の略奪と密売から始まった奴隷貿易も莫大な利益をあげた。
16世紀から18世紀にかけてのイギリスはまさに海賊国家であり、その後の繁栄の基を築いたのは海賊たちの略奪行為とそれを国家戦略としたエリザベス一世なのだ。
海賊は間違いなく犯罪者であり略奪は犯罪行為であるにもかかわらず、海賊には英雄とか冒険者などのポジティブなイメージがある。「パイレーツ・オブ・カリビアン」は大人気だが、それも当時のエリザベス一世の海賊ポジティブキャンペーンの影響なのかもしれない。国際政治学者の目から見た「海賊」という切り口で捉えたイギリス史は驚きがたくさんでとても興味深い。「イギリスは紳士の国」なんて誰が言ったのだろう?
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イギリスの急成長の裏には海賊が大活躍していた。エリザベス女王お抱えの海賊たちは略奪を繰り返し、それを国家の財産として持ち帰っていてのちの東インド会社も海賊から構成されているという事実には驚いた。ドレークがいかにして無敵艦隊を撃ったか、国力が明らかに劣っていても地道な作業が今のイギリスを作り上げたことをわかりやすく説明している。
文体もあまり堅くなくてスラスラを読めたのでとても楽しかった。これを機に17世紀のイギリス史学びたいと思ってみたり・・・
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大航海時代の大英帝国、特にエリザベス女王期の王室と、海賊との共存関係 を深く描いている。無敵艦隊の撃破、植民地拡大など、暗躍し成り上がった海賊と、帝国の繁栄に利用した王室。『海軍』が実は『海賊』で、『英雄』が『海賊船長』である事のグレーゾーン。 公私を使い分けた王室の“したたかさ”が結果残った。 腐敗しない飲料として、当時の航海に重用されたと言うワイン。なるほど、海賊が大体酔いどれて描かれるのはそう言う事だったのかと。
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英国繁栄の一端を海賊が担っていた、という興味深い話。
世界史の授業で、イギリスが海賊を使って無敵艦隊を破ったと習ったけれど、何故海賊なのか?と素朴に疑問に思っていた。金儲け、仮想敵国の弱体化を狙って国策的に海賊行為をしていたということならば、海戦に参加していてもおかしくない。
スパイスや茶、奴隷についての話も簡単に触れていて勉強になった。
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ヴァイキングとか世界史に登場する海賊全般を扱うのかと思ったら違った。タイトルは作中でも何度も出てくる「女王陛下の海賊」でよかったのに。
サー・フランシス・ドレーク…マゼランに次いで「世界周航」という偉業を成し遂げた。しかもマゼランと違って生還したので指揮官としては史上初。この結果女王に多額の配当金をもたらした功績でナイトの称号を授与された。幼少期をホーキンズ家で過ごす。
ジョン・ホーキンズ…"女王の金庫番"。王室御用達のエリート海賊。
フランシス・ウォールシンガム…女王の秘書長官(国務卿)。イギリスのスパイ組織の原型を作った。
エリザベス女王下の資金源:
①海賊に盗ませた略奪品の転売
②大物海賊とタイアップした黒人奴隷の密輸
③貿易会社の設立と海外貿易
スパイスが高値で求められた理由について、食肉保存のためというのはあまり根拠がなく、病気や治療のためであったというのが有力。
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イギリスの急成長には海賊の役割が重要だったんですね。
映画「パイレーツオブカリビアン」や「エリザベス」など、16世紀のイギリスの事を知っていると、もっと楽しめる!海を制するものは世界を制する。
同著書「世界を動かす海賊」も読んでみます。