投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
英文学に興味があって、オスカーワイルドの名作ということで読んでおくかと思って読んだのですがやはり現代小説を読み慣れていると少し退屈に感じてしまいました。ただ最後のオチはなるほどなぁ、と驚きました。多少読みにくさはありましたが休憩を挟めば読めないことはありまさん。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
自分が美しい事を解っている人間がその事を利用して欲望のままに生きていくって、凡人からしたらとても羨ましい。
本当に恐ろしいものは美しい。最後の最後までまでとても魅力的な一冊です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
19世紀アイルランド出身の作家・劇作家、
童話も名高いオスカー・ワイルドの小説。
高校生の頃、旧訳を古本屋で買って
積読しっ放しだったことを思い出しつつ、
あまりに有名なため、
読まずしてオチを知ってしまっていたので避けていたが(笑)
まあまあ気に入っている光文社古典新訳文庫にて
第2刷が出たのを機に購入。
予想を遥かに上回る面白さに驚いた。
老若・美醜の問題に囚われるあまり
言動が常軌を逸していく主人公の混乱っぷりは他人事でもなく、
意外に感情移入して世界観にとっぷりハマることが出来た。
男性三人が同性愛の関係にあるのは明白なのだが、
それが罰せられる世の中だったため、
極めて婉曲かつ控え目に描かれているところが
個人的に好ましく思えるのだった。
この新訳は現代的な言い回しで綴られ、
読みやすく、お薦めしやすいが、
解説で紹介されている1950年発表の平井呈一訳の冒頭部分が
うっとりするほど色香が匂い立つような文体なので、
機会があったら読んでみたい。
尚、本書第10章以降で言及される、
ドリアン・グレイがヘンリー卿から贈られて耽読する
「悪書」はユイスマンス『さかしま』である。
[備忘]
岩田美喜「世紀末の夜の子供たち――『ドラキュラ』におけるアブジェクシオンの作用」
(東北大学英語文化比較研究会機関誌《川内レビュー》№3〈2004年〉)
ワイルドと同時代の同郷人ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』と
『ドリアン・グレイの肖像』のテーマ、モチーフの近似性を論じている。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
あらためてオスカー・ワイルド半端ないと思った。筋は戯曲・舞台調で陳腐と言えば陳腐でドラマチックと言えばドラマチックでとにかく飽きさせない。しかし一番の見どころ(読みどころは)ヘンリー卿とドリアンやその他貴族との洒落た軽妙な会話の数々。頭に浮かぶアイテムをつなぎ合わせたら「サロメ」のにおいぷんぷんなんですが、小説だけの言葉、戯曲だけの言葉の使い分けが徹底的だから筋が舞台調でも読み手がしらけずにいられるんだろうなぁ。セリフだけ書き出してトイレにでも貼っておきたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「ゴミみたいな美青年と、コミュ障の画家と、鬱陶しいホモの三角関係ね、要約すると」
それだけ言うと、紅子はバージニアエスに火を点けた。ゆっくりと煙を吸い、満足げに吐き出す。
「……始まる前から終わってそうなメンツですね、それ」
葉月はつい先ほど紅子に勧められた本を両手に持ち、その表紙をまじまじと見ていた。
「あー、そんな感じ。でも終わりは終わりでちゃんと終わってるから、ダブル終わりって感じだよね。意味分からないけど」
「何言ってんですか」
本を裏返し、裏表紙の紹介文に目を通す。
「ワイルドっていうと、サロメ的な萌えが最初に浮かぶんですけど」
「ああ、感覚は近いかも。退廃と不道徳は、破滅までまとめてパッケージングされて初めて、美意識と呼べる的な?」
「私はどっちかというと、幸福の王子のようなシンプルなハッピーエンドが本質で、そのパッケージはちょっとばかし捻くれた裏返しのような気もするんですけどね」
とりあえずこれは借りていきます、と、葉月は本を鞄に入れた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
自己愛と堕落に溺れたドリアンの、醜さを描く作品。
快楽主義者による快楽主義者のための本かと思ったが、ここまで堕落し醜くなっていく人間を描き爽快感がある。
ストーリー自体は予想ができるような内容で、そこを重視すると少し退屈だと思うが文一つ一つにワイルドの考えが込められているような気がして、重厚だった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
勉強不足なもので、オスカーワイルドのあれこれを知らず本書を読んだのですが、最後に解説でそれを知った時に色々と腑に落ちたと言いますか。
話自体も不思議な魅力がありますが、作者を知ることで更に深みが増したような気がします。
ドリアンも確かに魅力的なんですけども、一番惹かれたのはヘンリーですね。
うーん、しかし誰もが振り向く美少年というのはなぜこうもメンヘラちゃんなのか。そこでお腹いっぱいになっちゃったところがありました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
難しいところもあったけど、基本的に読みやすかった。
暗い部屋の雰囲気、晩餐会の雰囲気、劇場の雰囲気、イメージしやすかった。
ぞわぞわするところは夜に思い出してはいけない。(笑)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ある意味、この歳まで読まなくてよかったと思います。若い時分に読めば間違いなく、ヘンリー卿のエゴイスティックな快楽主義、耽美主義に傾倒し、その後の人生がどうなっていたか。(まあ、私はドリアン・グレイのような美男子ではありませんが...)
私の中での、文学上のヒーローはこれまでドストエフスキー「悪霊」のスタヴローギンでしたが、ドリアンとヘンリー卿は彼に勝るとも劣らない強烈な魅力があります。どうも私はインテリな悪のカリスマを崇拝する傾向があるようです(笑)。
本書の至る所でヘンリー卿の口を借りて展開されるワイルド節は、世間一般の道徳に基盤をおいた価値観を一蹴し、グレイでなくても惹きこまれる悪魔的魅力に満ち溢れています。確かに、道徳というものは共同体における個人の行動を一定の価値観の強要によって規制することで、共同体全体の秩序を保つための道具であり、美徳というものは常に相手や第三者との関係によって成り立っている、ある意味、個人を抑えることを本質にしていると思います。そう考えると、芸術とは凡人による平均的なアクティビティに対して、独創的な特出した価値であり、強い個性あってこそ高い芸術性が生まれるのであって、確かに芸術と道徳は相反するものかもしれませんね。うーむ、人付き合いと芸術とどちらを採るかといったところでしょうか?
ヘンリー卿にかぶれて快楽と頽廃に溺れていくドリアン。まさに金持ちが暇を持て余しているがための為せる業であり、毎日をあくせく生きることに精一杯な私の目にはまさに憧れの生活です。私が今の状況で真似をすると、単に人生をあきらめ、投げ出してしまったと、グレイの場合とは対極的な陰惨な物語になってしまいますが...
ところで、読んでいてバジル、ドリアン、ヘンリー卿にホモセクシャルな雰囲気を感じて、しまいましたが、ワイルドさんも家族がいるのに同性愛者だったのですね...芸術家って、何故か多いですね。ゲイ術家...
(※ このレビューはまだLGBTが今日程一般でない時分に書いたものですが、記録として訂正せずそのまま載せました。気分を害された方がいたら申し訳ございません)
いずれにせよ、本書は私に非常なインパクトを与えてくれました。原文を読んでみようかな。英語だし。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
THE NOVEMBERSの小林祐介さんが勧める小説と見かけたので読んでみた。第19章で私の人生を揺るがすような素晴らしい言葉を見つけた。指針になるかもしれない。そしてヘンリー卿の言葉に深い意味などないのかもしれないが、突き刺す言葉だらけで頭と心が揺れ動き続けた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
名著中の名著ですね、この作品。
とにかくヘンリー卿の名ゼリフのオンパレードです。
名ゼリフすぎて、この著者どれだけ世間に恨みつらみ持ってんだよ、と思ってしまいます。
で、実際に著者オスカー・ワイルドさんの事を調べたらなるほど納得という感じでした、気になる方はぜひ読んでみて下さい。
僕の中でのヘンリー卿名ゼリフベスト5を残しておきます(ベスト5では全然足りない)。
第5位
若さが消え去れば、一緒に美も失われる。
そして君は自分にはもうなんの勝利も残されていないことを知るんだ。
あるいは過去の記憶と比べれば、敗北よりも惨めになるようなつまらない勝利で自分を満足させなければならなくなったのをね。
第4位
アメリカの女性たちは親を隠すのが得意です。ちょうどイギリス女性たちが過去を隠すのがうまいみたいに。
第3位
何の関心もない相手には、人はいつも優しくなれるものだから。
第2位
そもそも結婚などやめておけ、ドリアン。
男は疲れたから結婚する。女は好奇心から結婚する。そして両方ともがっかりするんだ。
第1位
若さを取り戻すためなら、この世でできることはなんでもするよ。
運動とか早起きとか、きちんとした生活をするとかいうこと以外ならね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
なんか聞いたことあるタイトルと思ったが、昔「プルシアンブルーの肖像」と言う映画を観に行ったのを思い出したわ。検索したらリアル青髭がいた。
本編→肖像画を描かれて「ふーん」ってな感じだったドリアン。新しいお友達に「絵は美しいままだが、君は老いて醜くなっていく」と言われ、本能的に「いやや!歳とるのは絵の方で自分はずっと変わりたくない」と願いその通りになってしまう。内容は短編で収まると思うが、世の中の自分か好きな物の羅列と会話で増量。文章は素晴らしいが物語とあんまり絡んでないという。スリラーなのかね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
老いるのも残酷だが、自分だけ美を保ち続けるのも残酷なんだなぁと思った。
飽きさせないストーリー展開に加えて、ヘンリー卿の毒舌などでワイルドの人生観を堪能できた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
▼ウディ・アレンの「レイニー・デイ・イン・ニューヨーク」を観ました。大好きな1本。主演のティモシー・シャラメのためのような映画でした。
▼うーん。イケメン。すごい。しかも系統としては、トム・クルーズとかそういうのぢゃなくて、アラン・ドロンとかヘルムート・バーガーとか、ヴィスコンティ系というか渋澤龍彦系というか三島由紀夫系というか倒錯系というか…。ドリアン・グレイ系です。若くして破滅とかしないか心配です。
(それはそれとして、ウディ・アレンは過去のセクハラ疑惑で糾弾されまくってしまっているようなので、ひょっとしてこれが劇場で観るウディの新作体験としては最期になってしまうのだろうかと思うと感無量。ウディ84歳、クリント90歳が、生きてる監督ではいちばん好きです)
▼「ドリアン・グレイの肖像」ワイルド。光文社古典新訳文庫、仁木めぐみ訳。初出はアメリカで1890年。有名な小説で、「読んだ気になっているけれど読んでなかった本たち」の1冊。
▼著者のオスカー・ワイルドさんは、アイルランドのダブリンの医師の息子。幼い頃から天才で、オックスフォードを主席で卒業。ギリシャ語、フランス語も堪能で、在学中から詩人として活躍。卒業と同時にマスコミ社交界の寵児に。欧州、米国で一世を風靡した後に、同性愛で投獄され、出獄後は失意の中で没落し。最後は梅毒で46歳で死去。実にナントモな生涯。唯一の長編がドリアン・グレイ。
▼読了したのが昨年なのでうろ覚えですが。貴族の息子で美貌の青年ドリアン・グレイ。どういう美貌かというと、つまりは「ベニスに死す」のタッジオ的な、ヤバい系の美青年。(ベニスに死す、も、映画して見て無くて原作は未読ですが)。インテリで悪魔的な友人の誘い文句にのって、実に世紀末的に堕落した人生を送っていくんですが、見た目が歳を取りません。その代わりに、彼の肖像画が見にくく老いていく…。という戦慄のファンタジー悪徳ホラーみたいな物語。
▼正直言って、2020年現在の感覚で言うと、やや冗長です(笑)。文学研究者でもなければ、もはや多感な青年でもない読者としては、ふんふんと飛ばし気味に読んで、そうやって読んでいくと実にオモシロイ小説でした。美を追究して傾倒していくと、モラルと人情から大きく踏み外していく…という。まあ、「金持ち」が「美」に向かってマジになると、ということですが。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「なんと悲しいことなんだ!僕は歳をとっていく。そして恐ろしく醜い姿になっていく。この絵は若さを失わない。…反対だったらいいのに!いつまでも若さを失わないのが僕の方で、この絵が老いていけばいいのに。…」(P56)
3月は古典に触れようと思います。
そんな矢先に、読もうと思ったのがこの本でした。
人間、いつまでも若々しくありたいもの。しかし、鏡に映る自分は日を追うごとに歳を取って行きます。
主人公である、美少年ドリアンもそう思っていて、画家バジルが描く自分の姿を見て、冒頭の言葉を言い放った。
何気なく、情動的に出た一言。しかしこの言葉が彼の人生を大きく狂わせることとなったのでした。
絵の中の自分は、少しずつでも確実に、彼が行う悪行とともに醜く歪んでいき、その一方で「本当の」自分は全く変わらないまま…。
理想であった、絵の中のいつまでも変わらない自分の姿が、いざ、現実となってしまった今、彼の心の中の恐怖が、文面を通じて伝わってきます。
ただ、そこに絶対に起こり得ないという、共感しきれなさがあって、そこがなんとももどかしい。
気持ちはわかるんだけど、分かりきれていない…。
そんなもどかしさを味わいながら、頭を巡らせながら読み切りました。