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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
よその家庭を知らない時はあまり疑問に思わないけれど、結婚その他で思い知らされる、平凡極まりない家の珍妙さ。それを房子のように傍観するのか、宗二母のように生活臭い世界にするのか、それぞれだ。
この作品には、どこにでもありそうでなのに、世界で同じものが一つしかない家庭という空間の不思議が表現されているように感じた。
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図体はオトナだけど、精神がコドモな二人が夫婦になって、お互い自分にムリかけないで、目先の問題を先送りしていけばこんなになっちゃうよねーってお話で。とりつく島なし。
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おもしろい。主人公房子のキャラがすごくいい。熱くならず、かといって全く冷めてるわけでもない。自分のことを遠くから眺めてて、気持ちを冷静に分析してる。自分とは全然違うような、それでいて共通点があるようなとこが共感もてるのかも。この人の小説はどれも主人公が魅力的。2008/1/29
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久しぶりに読んだ角田光代さんの小説。
あらすじはこんな感じです。
小さい頃、素晴らしい記憶力を持っていた主人公房子。
でも、大人になった彼女は平凡な主婦になっていて、毎日単調な日々を過ごしていた。
一方、小さい頃から奔放な父親のようには成りたくないと思い、常にビジョンを描いてきた宗二。
だが、大人になった彼は何もかもにやる気が持てずにいた。
そんな二人が始めた結婚生活。
宗二の
「仕事が遅くなった時に泊まるための家を会社の近くに借りたい」
という言葉から物語は動き出します。
宗二の同僚や房子の弟夫妻、そして宗二の母親と関わっていく事で、少しずつこの夫婦の関係が変化していきます。
これといって大きな出来事があるわけでもなく、大きな感情の動きがあるわけでもなく…。
でも、その淡々とした感じがこの二人の関係を表しているのかもしれないと思いました。
今まで読んだ角田作品とはちょっと違った雰囲気で、正直私は1度読んだだけでは作品からのメッセージが理解出来なかったのですが、
他の小説同様「結婚」とか「家族」がテーマになっているところは、注目です。
最後に、この小説の雰囲気を表していると思う文章を書いてみます。
「房子はときどき、自分が記憶装置のような気がすることがある。
自分というものの実体はじつはなくて、今まで見聞きしたテレビ・小説・映画・漫画・見ず知らずの他人の会話、それらすべてが自分の内に蓄積されて田所房子という実体になっているのではないか。」
というもの。
ちょっと変わった男女の結婚生活を覗けた小説でした。
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小説の主人公は「宗二」と「房子」という夫婦だ。
結婚五年目で子供はいない。「宗二」はイベント会社勤務、「房子」は専業主婦。
ある日、宗二が会社の近くに部屋を借りたいと言い出すところから、夫婦間におかしな空気が流れる。
仕事が立て込んで終電を逃した後の寝場所の確保・・
そんな理由をつけるが、彼はそこに心の別天地のような空間をつくる。
これは何となくわかるなあ・・オレも家族でいることは大好きだけど、時々妙に一人になりたいときもある。
しかし、これはやはり男の目線であり、房子には「夫婦であること」を見直すキッカケとなるわけだ。
そして、お互いの母親、そして宗二の会社の「和田レミ」というキテレツな女のエピソードが加わる。
今は「どこを切っても平凡サラリーマン」であるオレ(笑)
オレからすると、この夫婦の考えやドライな関係は、少し理解しがたいところも多かった。
しかし、「夫婦」ってのは、色んな形や約束事があって当然。
「これが正解」で「これが間違い」なんてものもなく、夫婦の間のセオリーは2人しかわからない。
そもそも他人が口を出すこと自体が、余計なお世話なわけだ。
ちなみに「庭の桜」とは、「幸せな家族のシンボル」であり、
「隣の犬」とは「責任を負いたくないという象徴」とのことだ・・ふーん。
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夫が仕事場に近い部屋を借りたことがきっかけに起きたさざ波に巻き込まれた30代夫婦の話。
夢やビジョンが持てないこと、親との価値観の違い…
にもかかわらず、最後に房子が見せる執念のようなものはなんだかこわい。
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「対岸の彼女」が面白かったので、
すぐまたこの著者の作品を購入。
一見平凡な、
でもどこか不思議な夫婦の物語。
これもなかなか面白く、
しばらくこの著者に
はまってみようと思った。
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夫婦って、家族ってなんだろう?愛でも嫉妬でもない、なにかもっと厄介なものをど真ん中に抱えて、私たち夫婦はどこへ向かうのだろう?3LDKの家はある。35年ローンの家がある。居間にも食卓にも無駄なものがいっさいない、清潔で静かな家はある。なのに自分はほっつき歩き、宗二は4畳半を借りている。
ゼロにゼロを足してもゼロにしかならない。
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面白いが、既婚者にはリアルすぎて怖いので☆1つマイナス。
この人ってこういう(怖い)のが得意だったんだと、
ここ最近読んだ2冊で新発見。
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うっとうしくて、しつこくて、相当おかしな人間だと思ってた和田レミが、
最後の方ではマトモに見える。俗っぽく思えてくる。
というのも、房子と宗二、ふたりとも、現実味があるようで全くない。
終始ふわふわしてる。
何もかもうまくいってないようで、それでいてぴったりおさまってるような、
なんとも言えない、不思議な感じになります・・・。
ただ、この二人も、第三者の目から見れば、どこにでもいる普通の夫婦なのだ。
人間、「本人にしか知り得ないこと」がほとんど、なのかもしれない。
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さっくり読了。なーんにも、得るものもなければ、なーんにも、残らない。なぜなら、あまりにも「普通」だから。
結婚5年目、子なし三十代半ばの夫婦宗二と房子の物語。この二人が、あまりにも自分の境遇と似すぎているので「ああ、あるあるそんなこと」なんて感じにしっくりとなじんでいく。会社の近くで部屋を借りたいと言い出す宗二、子どもの頃抜群の記憶力を持っていた…ということでテレビにまで出た房子、宗二の浮気相手のレミ、宗二の母、房子の両親…たち家族だったり家族じゃなかったりした人々が交わって、また離れていって、また交わって…という感じ。これを「怖い」と解説では評されていたけれど、あたしは全く怖くない。まさに自分の生活そのものだから。サラリとすぎていく日常が、一見不満を抱かれそうだけれど、あたしは一番の幸せだと思う。夫婦はプラスでもマイナスでもなく、ゼロでいい。ゼロがいい。そして最後に、笑えればそれでいいのではないかと思わせてくれる一冊。
ただひとつだけ、羨ましかったのは房子の「カメラアイ」。
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とてもつまらない人生を送ってる人っているんだなぁと思った。
こういう人だったら結婚も通常の生活に生きがいや楽しみってないんだろうなぁ。
なんか読後が空虚な感じ
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特に得るものがない小説だが、日常生活の細かい描写なんかはさすが角田光代と思われる。
こういう生産性がない主婦は世の中に多く生息しているんだと思う。
一応最後で一歩踏み出すのかなと思わせてくれたところは良かった。
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宗二が仕事で遅くなったときのためにアパートを借りると言い出した。
合鍵を渡された房子はその家を何とはなしに探すが
見つけたいとは思わなかった。浮気でもしていた方が楽だったのか。
がらんとしたアパートを非日常的といって気に入るレミや
生活道具がないといって百円均一で家具を揃える宗二の母。
このアパートは夫婦の間のゼロを表しているのかもしれない。
特に問題はないはずなのにしっくりこない夫婦。
家っていう器がすごく問題になっているようだがよくわからなかったー
ただないものねだりじゃないけど空虚感みたいなのはたまに感じる。
けどこの表現は私のものとは違う。
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10/11/05読了 日常生活の中にあるどろっとしたものやあまり触れたくないようなものを、そのまま正しく描いている様な。それは良いとか悪いとか言える性質のものではない気がする。