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いよいよ来月から、消費税が現行の8%から10%に引き上げられます。わたくしのやうな貧乏人にはつらいのであります。
景気低迷を避けるために軽減税率とかいろいろ画策してゐるやうです。それにかけるカネも相当なもので(5兆円規模とも)、ならば税率はそのままでいいぢやんといふ声も聞こえて参ります。しかしいづれにせよ、来たる空前の高齢化社会を支へる為には、とても10%では足りないともいはれてゐます。
『消費税 政と官との「十年戦争」』は、小泉政権から民自公による三党合意までの約10年間に及ぶ、消費税をめぐる政争を取材した一冊であります。
消費税の増税を口にした政党は、次の選挙で惨敗するので中中表立つた議論が出来ない。自民党の中でも、上げ潮派と財政規律派の間で綱引きをする状況でした。
民主党政権が誕生した時も、鳩山くんは、自分の任期中(四年間)には消費税率を上げないと明言しました。不思議なのは、これをもつて「民主党は消費税を増税しない政党だ」と認識した人が多かつた事。わたくしは、「四年間上げないといふことは、五年目に上げるといふ事だな」と思つたのですが。
今唐突に思ひ出しました。「カドカワノベルズ」といふシリーズが創刊された時、版元は「三年間文庫化しません」と謳ひました。ははあ、三年経つたら続続文庫化する心算だな、と予想してゐたらその通りになりました。
それはどうでもいい。消費税率を上げずに、増加し続ける社会保障費や医療費などを賄える訳がないと誰もが分かつてゐるのに、増税はタブウみたいになつてゐました。実際、本書に登場した関係者たちは、ぞの後灰のやうに燃え尽きてしまつた。
福田康夫(あなたとは違ふんです)・麻生太郎(洪水が安城や岡崎でよかつた)・与謝野馨(超然たる立場で議論していただきたい)・菅直人(自民党案の10%を参考に)・野田佳彦(駅前留学はノバ、駅前演説はノダ)・谷垣禎一(三党合意を是非実現したい)といつた人たち(「社会保障・税の一体改革」に精力を捧げ、擦り切れてしまつた人たち)は皆表舞台から退場してしまつたのです。
報道で発表される裏で何が話し合はれ、何が起こつてゐたのか。ベテラン政治記者である著者の力作ドキュメントであります。
消費税率は最終的に20~25%くらゐまで上げないといけないと言はれてゐます。議論はまだ続くことになるでせう。政争の道具としてもね。
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