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投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名からしても、何度も映像化されていそうで、パロディーにされていそうな、似た話の似た女優なら何人も思い出せそうな話。はたして楽しめるのか、というのが正直、読む前の感想だった。裏切られた。いい意味で。この青年の切なさと愛と怒りを文章で味わえる喜びを堪能。映像もいいが、やはり小説はいい。
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ドラマ版の方をお薦めしたくて紹介。原作は未見です(おい)。
自分の地位を守るために1人の女性を殺害してしまった4人の権力者。毎年、彼女の命日に1人ずつ4人の愛する人が殺されてゆく。そこには女性の婚約者であった青年の影があった・・・。まぁ復讐劇ですわ。物凄い切ない。ドラマは全5話で、ちょっと淡白で説明不足ですが、良く纏まってて面白いと思います。DVDにならないのかなー・・・。
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飛行機から投げ捨てられた空き瓶によって、ひとりの娘の命が奪われた。彼女の恋人だった青年はその飛行機と乗客5名をつきとめ、…やがて、その乗客たちの妻や恋人に、次々と死が訪れる。
『幻の女』や『暁の死線』ほど知られていないように思うが、個人的には最も好きな作品のひとつ。全編にウールリッチ/アイリッシュ独特の空気が濃く漂う。これは、失われた愛を悼む物語。5つのエピソードは、それぞれが完成された短篇小説のようで、何度でも読み返したくなる。
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飛行機に乗っていた誰かの、ふとした行動から、一瞬のうちに愛する女性を失ってしまったジョニー。数日後、彼の手にはそのとき飛行機に乗っていた客の名簿が握られていた。彼はその名簿に載っている男の妻や恋人たちを残らず殺そうと計画したのだ。―どんな気持ちかね―というカードを添えて・・・。
ウールリッチのロマンス全開の作品。プロットには「黒衣の花嫁」に似たところがあります。
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飛行機から落とされた瓶に当たって死ぬって、この設定どーなの?シュールっつうか、ギャグかと思ってしまった…その後の展開も特に意外性もサスペンスもなく正直、退屈。
ところで、主人公の名前がジョニー・マーで、モリッシーって人物出てくるんだけど、ザ・スミスとなんか関係あるのでしょうか?
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詩情あふれる、それでいて抑制された文体でつづられる切ない復讐の物語。
とってもよかったです。
よかったことが、記憶に残る。
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それは本当に悲しい偶然だった―
ある夜、ひとつの街角で愛する人を待っていた可憐な少女は理由もわからぬまま命を落とす。
原因は遥か上空を飛ぶ飛行機から赤の他人が投げた1本の空き瓶だった。
不幸にも恋人を失った青年は妄執の鬼と化し、原因を作り出した見知らぬ他人の命を一人ずつ狙っていく―
サスペンスの名手、ウールリッチが手がけた血も凍る西洋版仇討ち物語。
ウールリッチらしい無慈悲な結末も相まって、青年の虚しさや悲しみがひときわ浮かび上がっている。
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久しぶりにウールリッチを読んだら解説が小泉喜美子さんだったといううれしいおまけが。
第三者の視点からの詩的な語り口で、登場人物たちの悲劇を過度にドラマチックにすることなく、むしろどこか冷ややかに綴っていく。ドライというのはまた違って、悲しみに慣れて受け入れてしまっているような雰囲気がとても好きです。それなのに、ゆっくり浸りながらというよりは続きが気になってかなり早く読み進めました。章が進むごとにMの復讐は難しくなっていくのにそれでも成し遂げてしまう。どんな方法で、どの相手を?というのも気になりますし、余計なことながら「一番大事な女性」に選ばれなかった人たちは歯軋りしたくなるくらいだろうなぁと勝手に話を膨らませ。そして最後の「この方法は正しいのか」という問いが命がけの絶叫のように聞こえます。悪気がないではすまされない、運が悪かっただなんて受け入れられない、だからって故意に人の命を奪うことは許されなくて、そんな人であってもこんなふうに騙していいとは思えなくて…。
この身動きのとれない苦しい感じが、日常生活での行き詰りと相まって、小説のなかでは訪れる一応の終結に、現実に対応する諦めを分けてもらえる気がします。
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飛行機から誰かが投げ落としたビンが、最愛の恋人の命を奪った。心を狂わせてしまったジョニー・マーは、その飛行機と5人の乗客を突き止め、彼らに同じ思いを味わわせることだけに人生を使う。止めることの出来ない、綿密に計画された犯罪。一方警察は、僅かな手がかりから次の犠牲者を突き止め、犯行を食い止めようとする。哀切な思いの果てに繰り返される理不尽な復讐劇はどのような結末を迎えるのか。
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翻訳を通しても、都会的で洗練された文体の強度を失わない稀有な作家の一人、ウールリッチ/アイリッシュ。1948年発表、ブラックシリーズの代表作でもある「喪服のランデヴー」では、その耽美なレトリックがすでに完成しており、序章と終章における溜め息が出るような情操の表現を味わうだけでも読む価値がある。上空を通過した飛行機の乗客が投げ捨てた瓶の直撃を受け、逢瀬の待ち合わせ場所にいた恋人を殺された男。その無残で凍てついた心象風景を綴っていくプロローグは、ウールリッチならではの世界観を形作っている。
本作は凄まじい怒りによって復讐の鬼と化し、狂気の淵へと墜ちた若者ジョニー・マーが、真犯人を特定できないままに対象となる5人の男を探り出し、躊躇うことなく地獄の底へと突き落としていく物語だ。脈略無き不可解な連続殺人を嗅覚鋭く追う刑事も登場させるが、メインで描くのは、緻密な計算のもとに遺恨を晴らすべくジョニーが対象5人に加えていく報復の顛末である。推定する加害者を単に殺すのではなく、ジョニー自身が味わった悲劇と同様の苦悩へと陥らせる。その非道/冷酷ぶりは極まっており、罪のない人々までも犠牲にしていく若者には、いつしか同情よりも畏怖感の方が強まっていくだろう。
捻りを施した構成の妙とサスペンスフルな展開で読ませる秀作であり、ウールリッチの魅力が存分に溢れている。ノワールの先駆であり、ラストシーンにおいて自らも暗黒へと堕ちていくジョニーの絶叫が重い余韻を残していく。
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いやはやアイリッシュ、もといウールリッチは設定がすごい。発表後60年近く経った今でもその設定は斬新だ。
ある街で愛し合う若い男女がいる。非常に初々しい二人の間にやがて悲劇が訪れる。ある飛行機から落とされたビンがたまたま彼女に当ったのだ。最愛の女を失った彼は廃人となり、やがて復讐の鬼と化し、同日同時間に同場所を通過した飛行機に乗り合わせた乗客全てに同じ苦痛を事件の起こった5/31に味わわせるのだった。
この設定を読んだだけでもう早く読みたいと思うのは当然ではないだろうか?
しかも唄う詩のような美文は健在で今回も陰惨な内容ながら幻想的な衣装を纏いながら物語は流れていく。
しかも成される復讐は5つあり、それら全てが極上の短編小説のようにスパイスが効いているのだ。
顔の見えない主人公ジョニー・マー。彼のした事は非道で許されないことだが、彼のされた事もまた同じである。深く哀しみを湛えて復讐を成す彼が到達する最後は恋人ドロシーに扮した警察見習い生。その再会で彼は至上の悦びを発散する。
最後死ぬ前に救われたのか?
私は救われたと思う。いやそう信じたい。
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なんとも凄烈で悲しい物語だ。貧しいが惹かれあっている男女、二人は幼馴染で同じ店の前でいつも待ち合わせをしている。やっと結婚のめはながついた時、5月31日の夜、娘は空から落ちて来たビンが当たり死んでしまう。男は復讐を誓う。「黒衣の花嫁」の男性版とでもいうような設定。
事故が起こったのは第二次大戦中か直前か、戦後にもかかり男は飛行機に乗っていた者5人と飛行士をつきとめる。殺す相手がその男達ではなく、その男達が大事に思っているその相手、というのが「黒衣の花嫁」と違うところ。自分と同じ喪失の悲しみを味わわせるのである。・・分かるが、相手の女性はかわいそうだなあ。しかし物語の筆致がそのちぐはぐな感情を凌ぐ。最後の一人の所で横浜が出てくる。発表は1948年で、その大戦後の時代感も感じる。
文庫本の表紙は浜田泰介とあり、有名な日本画家らしい。この表紙のために描かれた絵ではないような気がする。ビンに当たって死んでしまった恋人は地味だがかわいい、口紅などつけていない描写。
1948発表
1976.4.30発行 図書館
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残るのは無だけなんだよね…
飛行機から落ちてきたものによって
愛しい人を失う羽目になった男。
やがて彼は姿を消し、
その狼藉に関わったものたちを
不幸に貶める復讐鬼へと変貌したのです。
1人を除いては巻き添えですね。
なぜ一人を除いたかって?
こいつがバカをやったために
鬼を目覚めさせたから。
彼だけは相応しい最悪の復讐を
受けることになっています。
もちろんこの復讐は許されるわけもなく
最後はね…
本当マナー守れよマジで。