怪しげな情報が満載?
2024/09/19 22:47
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ版元の新潮選書で刊行されている小笠原弘幸の「ハレム」と読み比べると同じ対象を書いているのに全然違う。塩野七生のネタ元は「ハレム」に出て来る当時のイタリア人が書いた本か、それを下敷きにした英語かイタリア語の本なのだろうか?ヒュッレム・スルタンは「ロシア女という意味で、ロッサーナと呼ばれた」とある。これはヨーロッパ圏での通称だそうだ。考えようによっては新潮社は塩野七生の本なら中央公論社のような他社で刊行された本まで自社で刊行しているのに食い違う情報が満載の本を出したものだ。塩野七生の本を初めて読んだのが「イタリア遺聞」の単行本なので白けてしまう。「あらかじめ人工的に聾唖者にされた奴隷」についても先天的な人だったそうでスレイマン1世の頃は白人が宦官長だったとか。
第一、塩野七生はハレムの「由来」として「六世紀このかた、トルコのスルタンは、正式な結婚をしてはならないと決められていた。まだトルコ民族が小アジアの流謫の民であった時代、スルタンの妻が敵の捕虜になって以来」云々と書いている。塩野七生が中国史の本を読まないので?突厥の可汗はレビレート婚だった事は知らないとしても、どうしてこんな無茶苦茶な事を書くのだろうか?一夫一婦制が大前提のキリスト教徒かユダヤ教徒が書いた興味本位な本か、それを元にした通俗本あたりを鵜呑みにしているのだろうか?
「海の都の物語」でギリシャの火と火薬を混同していたので変なところを間違っていそうだ。
「第六話 ハレムのフランス女」は小笠原弘幸の「オスマン帝国」によると「これは根拠のない作り話」だそうだ。仰々しく書いた内容が実は「作り話」では困る。
ヴェネツィアのユダヤ人について実は知っているなら何故「海の都の物語」では書かないのだろう?この本で書かれているようにゲットーという言葉はヴェネツィア由来だから敢えて書かなかったのか?キリスト教徒のダニエル・ボンベルクがヴェネツィアでヘブライ語とアラム語でタルムードやユダヤ教徒のみならずキリスト教徒が「神の言葉」と向き合う為にラビ聖書を刊行していたのに。
「海の都の物語」同様、アルド・マヌーツィオが聖書を刊行した事は書かないのでアルド出版社ではギリシャ・ローマの古典か「俗語」で書かれた当時のベストセラーしか刊行しなかったように読めてしまう。七十人訳にはアルド版というのがあるんだけど。「読むことの歴史」には教皇ピウス4世が設立した印刷所でトリエント公会議が「公式に認められた印刷する任務を与えて」アルド出版社から人を「招いた」とあるし。塩野七生が「海の都の物語」で書いた第4次十字軍で「成功を収めた」ヴェネツィア共和国が地中海貿易を制する結果となった「投資」を賞賛するような常識外れな宗教観と矛盾しようが肝心な事を落としては意味がない。
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1970年代に書かれた文章だというのに少しも古さを感じさせないのは彼女の力。レオナルドに愛、とは知らなかった。やはりイタリアと言えば塩野七生。今時の若い著者が霞むな〜
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ローマ人物語をいつかトライしようと思いつつ,まずは手始めに短編からはいってみた.ところがこの随筆はかなり面白い.ちょっとヨーロッパに行ったことがある人だとこんな小話はかなりひかれるんじゃないだろうか?個人的に印象に残っているのは「コーヒーの話」エスプレッソはトルコからやってきたのだ!カザノバは実はベネチアのスパイだったとうい話.それからトルコの愛人部屋ハレムの話,,,実のところ全部面白かったですが・・・
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これも塩野さんのイタリアエッセー。これも面白い。
イタリアからの手紙よりもちょっと好き。相変わらず視点が素敵です。
こんな生き方もいいな
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塩野七生『ローマ人の物語』の影響 第1段。
イタリア史に関してのエッセイ集です。
ローマの話もチョットあるけど、メインは中世ルネサンス期のベネチアがメイン
イタリア史なんて、『ローマ人の物語』しか知らない僕にとっては
チョット判らない事が多かったけど、
この人の文章はやっぱり面白い。
品というか、格調(というほど大仰なものじゃないけど)に加えた
ちょっとしたエスプリが効いてる感じ
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知的好奇心を刺激する楽しいトピックが並んでいたけど、特に葡萄酒について教養が深まった。(2007.1.7)
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カテゴリ小説にしたけどほんとはエッセイ。
イタリアの日常や印象深いできごとを丁寧にすくう文体が、安らぐ。
眠る前に読むのに最適。
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トルコのハレムの話がおもしろかった。そのころの時代のゴシップなどを想像するのは楽しい。
俺も塩野さんみたいに借景できるアパートを借りてみたいものだ。
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ゴンドラの話とハレムの話、スパイの話が印象に残っています。
本気でアメリカにも大使が居れば、凄く興味深い報告書を書いてくれたと思いました。
でも、世界史習ってないとわかんないよね、全体的に。
素直に楽しめる雑学でした。
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イタリア、主にヴェネチアの歴史とその中で生きていた人々の痕跡を辿る。
ヴェネチアから始まり、今に続くものは意外に多いものだと発見させられた。
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エスプリ豊かな女史のエッセイ。読んでて気持ちいいです。
米国の地中海研究者がダニエリ(超高級ホテル)に泊まったと聞いて私も次の取材は絶対ダニエリに泊まる!と言い出したり高所恐怖症なのに遺跡に登ったり、葡萄酒の見極め方を語ったり。
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イタリアの過去、そして現在について、その歴史文学については何冊もの良書を書かれている著者が自らの体験も交えて記したもの。
特に興味深かったのは・・・
●第一話「ゴンドラの話」と第十六話「家探し騒動の巻」
僕自身が09年2月に新婚旅行でイタリアに行ったのですが、その時立ち寄ったヴェネツィアとフィレンツェについて書かれていた話。
「確かに言われて見れば疑問」だったことをこの二話で書いてくれていて、非常に身近に興味深く読めました。
経済効果と効率が優先し、便利で新しいものが最大の価値を持つ日本と違い、その歴史的な遺産を頑なに守り抜ける環境があるイタリアを羨ましく感じます。
●第十三話「ある出版人の話」と第十四話「語学について」。さらに第十八話「聖地巡礼」
500年以上も前のヴェネツィアおよびイタリアにおいて、例えば文庫本の発刊や言論の自由であったり、例えば言葉の壁を乗り越えようとする商人(ビジネスマン)であったり、半分観光地と化した聖地エルサレムにガイド付きでツアー観光する人々であったり、全く異世界で考えも全然違うと思い込んでいた当時の人々が、実はテクノロジーの差があるだけで本質は現代の我々と殆ど変わらない考えや嗜好、また努力を原動力に動いていたと教えてくれる話でした。
イタリアに1度でも行ったことがある人、歴史に興味がある人にはお薦めします。
その光景を想像し、思い出し、この地に足を踏み入れたくなります。行ったことがある人は特に。どの著作もそうですが、著者の優雅で教養的で、その場の空気感までリアルに伝える文章には惹き込まれます。雑学や暇つぶしではなく、1話1話ゆっくり、マイペースでじっくり味わいながら読んでほしいです。
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塩野さんの視点、ってクールでカッコよくて、好きだ。とは言っても、最近はちょっと読まなくなってた。でも、このあいだ篠田真由美読んで、無性に読みたくなったのだ。イタリア繋がりなんでしょうか(笑)
いつかは、ヴェネチアへ! 思いはつのるばかりである。
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塩野七生のエッセイ。オスマン・トルコ帝国のハレムの話。ハレムのフランス人女性。大帝スレイマンの寵妃、ハレムで唯一皇后になったロシア人女性。『オデュッセイア』に隠された真実。現代に生きるスパルタ人。
2010年2月22日購入
2010年8月20日読了
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歴史、文化、宗教などなど幅広く、深く書かれてあって知識になる本だと思いました。
読んでいて塩野七生さんの探究心が伝わってきます・