花と女学生をモチーフにした少女小説
2025/01/14 17:47
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投稿者:外鰓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
花と女学生をモチーフにした少女小説。
美しく上品な文章に思わずうっとりとしてしまいます。先輩に憧れや好意を抱く女学生たち描写と同時に、別れの場面が多くえがかれている印象で、儚さや切なさを感じました。甘美な没入感を味わえる一冊です。
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りある大正ロマンの実力を見よ!
朝露に濡れたアサガオのように、美しく、清らかで、はかない。
少女たちの揺れる心を流麗な筆致で描き、「女学生のバイブル」として読み継がれてきた元祖少女小説。
とにかく文章がよい。
美しいが、華美という程ではなく、一語一語が丁寧に綴られている。
最初に書かれたのが1916(大正5)年ということで、やや全体に古臭さも感じられるが、違和感なく読むことができる。
表紙画はイラストレーターのさやかさんの絵。きれいです。
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短編集。
大正の女学生達のバイブルだったそうで。
ひとつひとつの言葉が綺麗で乙女でした。
お話もなんだか童話のような雰囲気でとても落ち着いた気分になります。
僕は乙女でも、というかもともと女性ではないんですが、
この本が人気だった理由がわかった気がしました。
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これじゃなくて、新学社文庫のやつです
いまどきの少女にはこういうロマンティシズムがたりないね
恋する相手が少女から少年になったところで、ロマンは失われるものではないよ
中学生くらいの女の子はすべからくよむべし!
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花の名になぞらえた少女たちを描いた短編集。
1話、1話をゆっくり読みたい本。おそらく、1話と1話の間に時間をおいたほうが楽しめる。一気に読み終えるにはもったいない。
ダーリヤと燃える花が印象的。
タイトルの通り、女は花であった。
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『女学生』『少女』の繊細さとか品の良さとか憧れとか、
今はもう存在しないかもしれないその雰囲気に惹かれる。
http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-858.html
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表紙がかなり素敵で凄く気に入りました。
感想を一編ずつ徐々に書いていきたいなと思います。
<鈴蘭>
亡き母の面影を探してピアノを弾きに来ていたオルテノ嬢・・・。
短くも切ない、素敵なお話でした。
<月見草>
長崎の話。
手渡されたのはきっとクロス・ロザリオですね。
おゆうさんの置いていった簪が切ない・・・。
<白萩>
I will leave it to Chance. (運命にまかせましょう)
お姫様との出会い。
お姫様の姿を描きたいゆかりさん・・・。
絵とゆかりさんと言うことで、はやてを思い出してしまったのは言うまでもありません(笑)
切ない出会いと別れの話・・・。
<野菊>
実のお母様との儚い出会いと別れ・・・。
これまた切ない話。
<山茶花>
亡くなられたお姉さまの想い出話。
山茶花の中に埋もれる少女ってかなり幻想的な風景です・・・。
語る瑠璃子さんのお姉さまへの思いが伝わってくるようでした。
<水仙>
支那の少女との幻想的な出会い・・・。
少女は幽霊だったか人間だったか・・・。
<名も無き花>
鳩が導いた美しい少女との出会い。
マリア様と少女の親和性は高いですよね・・・それは原点においても明らかなわけです。
――CROIRE EN DIEU―― (信じます)
信じます(c)福沢祐巳
<鬱金桜>
素敵なお姉さまとの想い出話。
あわれ、この優しき姉に別れし小さな子の上に、心あってか胡蝶のごとく散りかかりしは、鬱金桜の葩。
ひとたび逝きては返らぬ日の慕しさは、鬱金桜は春を寂しく儚なげに咲き匂うのではあるまいか。いかに若き君達。
美しい文章です・・・。
<忘れな草>
お姉さまへのあこがれを、あこがれのまま終わらせた少女の話。
マリみてのリリアンにもきっと多くいるであろう、普通の少女の想い出・・・。
読み終わった後流れたタイミングの問題か、「Rumbling Hearts ~twin-vo ver.~/栗林みな実&石橋朋子」がもの凄くこの話に合っているなあと思ってしまいました。
もう戻れない あなたの腕に包まれていた 優しい日々 夏の 記憶かすかに 残ってる 小さな花火 消えない 今でも
もう帰れない 傷つくことを ためらっていた 幼い日々 胸の奥で密かに 育ててた 小さな想い消せない 今では
いつか きっとすべてが 優しさになる あの日に見た七色の夢 遥か 遠くの虹で 出逢えるの あなたへの想い 生きてく 永遠に
やがては返らぬ少女の日の永久の思い出によと、その君が手箱の底に秘められようものを・・・・・・。
<あやめ>
雨の日の美しい夢の想い出。
ふさ子さんはとてもいい子。
あやめの花の精、また会える日があると良いなと想う・・・。
<紅薔薇白薔薇>
ロサ・キネンシス、ロサ・ギガンティア。
蓉子さまと聖さま。
互いの永遠の友情を誓いあう少女の話。
素敵です。
<梔子の花>
盲目の美しい少女の、姿とその笛の音色に魅せられた芸術家の話。
少女への思いを込めてのみを振るい、人魚の像を完成させた芸術家の想いが��わってくるようでした。
とても綺麗な月明かりの話。
<コスモス>
華やかなる少女の日々への別れの手紙。
妙様はきっと素敵なお姉さまなのでしょう・・・。
まあ、私でしたらこの後自ら会いに来る妙様を書きたいところです(笑)
さらば幸ある少女の華やかなる日を妙様お送りくださいまし。封じこめしこの一片のコスモスの葩に、いくど涙と共に接吻をしたでしょう。 ――では、妙様永久に御機嫌よう、さよなら。
<白菊>
死を約束された少女。
分かれなければならないのに出会ってしまった二人。
儚い、淡い恋物語。
美しきものよ、汝のまたの名は悲しみである。あわれ、次の世には白菊の花と咲かんと誓いし人は・・・。
<蘭>
幼き日の美しきお姉さまとの想い出。
切ないです。
ああ、永久に忘れ得ぬ愁いの花よ、白蘭! 散りぞな散りそ、散りしきて弱き子の胸ぞ荒すな、と私はひそかに祈りをこの花に捧げましょうものを。
<白梅紅梅>
お互いを慕い合う仲の良い姉妹の悲しい別れの物語。
切ない・・・。
<フリージア>
ミドちゃんが緑さんに成る過程の話。
リボンの色が変わる瞬間が醍醐味ですね。
<緋桃の花>
『物置城のトランク姫』
素敵な先生からの言葉に微笑む少女が可愛いです。
<紅椿>
紅椿が結んだ二人の少女。
哀しい少女の紅椿への思いが切ない話です・・・。
<雛芥子>
寮にありては家を恋う、されど家に帰りて慣るればまた都の寮を慕う、少女なればか、かばかりに憧れ燃ゆる性あるは・・・・・・。
雛芥子姫・・・切なすぎる話でした・・・。
幸せになって欲しかったのになあ・・・。
私の脳内ではゆるゆりのひまさくで再生されていました・・・でもバッドエンドだと切ないなあ・・・。
それでも、なもりさん描いてくれないかなあ。
<白百合>
乙女の心に永久に生ける純潔の先生の話。
その姿は消え去ってもその心は永久に残り続ける・・・。
こうして先生のお姿は見えなくなりました。けれども先生の清い愛の生命を形取った白百合の花が(純潔)と囁いてこの土の上で咲くかぎりは、その花の姿と共に先生の、みこころは私共に永久に生きるのでございます。
<桔梗>
桔梗の舞姫の話。
しかし、どうして着物を預けたまま取りに行かずに街を離れようとしたのか・・・忘れていたとしたら・・・ドジっ子?w
打ちみればその面にも月影うけて咲くや銀泥に輝く一本の桔梗の花、おく露もあわれ紫にきらめいて・・・・・・。
<白芙蓉>
キチガイに嫌がらせを受ける話。
何とも腹立たしい、哀しい話でございます・・・。
<福寿草>
優しいお姉さまとの出会いと別れと再会の話。
福寿草のように美しく・・・。
<三色菫>
幸枝さんがふうらい姉妹のれい子さんで再生されてしまった・・・さっき読んでいたせいか・・・。
実のお父様とのそうとは知らぬ(もしかしたら知っててかな?)の出会いと別れ。
親子とは言え珍しく男女の話ですね。
幸枝さんが義理のお父様とお母様の優しさに包まれて、幸いに過ごされていく事を願います・・・。
<藤>
聖羅さんが素敵です。
無邪気さと美しさを兼ね備えた少女は最強レベルですね(笑)
<紫陽花>
ああ、心をこめて命を打ちいれて、描くや絵筆に染みゆく紫の滴り、隆子の涙に溶けし、薄き紫、金泥ににじみて夢より咲きしか淡い花の影、半ば溶けて夢に入り半ば現つの幻と咲くや、その葩あわれ紫陽花。
最後の文が美しすぎる・・・。
若夫人の素晴らしさと、お俊ちゃんの美しさに見惚れる物語でした。
隆子ちゃんは何故かクロワーゼの湯音ちゃんで再生された(笑)
家族が一人一人減っていって、三人になって、お俊ちゃんも亡くなって・・・家族が一人一人減っていく様が我が家を思い起こさせて切ない、けど紫陽花がとても美しい、そんな話でした。
<露草>
これはもう完璧に姉妹(スール)の話でしたね。
まさにエス。
秋津さんと凉子さんは当然可愛いのですが、
さりげなく一條さんが可愛い・・・。
私の手で続きを書きたいぐらいですね。
私の場合は決して二人をこのままにしたりはしません。
私にはそのような結末は、本来到底耐えられないものなのです・・・。
<ダーリヤ>
看護婦小説。
少女が本物の看護婦になるきっかけと過程を描いたお話。
素敵な決心だと思いました。
でも、春恵さんの道子さんに対する気持ちは、やっぱり真実だったとも思うので、春恵さんの気持ちが切ないなと思うのです・・・。
春恵さんはこれからも道子さんに会う為に病院に通うんだろうな・・・あきらめきれなくて・・・切ない。
<燃ゆる花>
激しい熱情。
貴き二人の想いの果て。
美しい。
魔女は焔の中にその身をやつして、
唯一人の次女と共に、神のもとに召されたのです。
麗しき情熱の、ああ花物語・・・。
<釣鐘草>
姉弟の話。
お姉ちゃんの哀しみが胸を打ちます。
自分と重ねあってしまい余計に切ない気分になりました・・・。
あわれ秋風心あらば紫の花咲き鳴らせ吹き鳴らせ、我が世悲しと鳴れよ、鐘草、鳴れよ鐘草・・・・・・。
<寒牡丹>
大事な事なので2回言いました。
ちはやふるな話でしたね~。
則子様がミクさん大好きなで応援しまくりな所が素敵。
何子の君も良い。
<秋海棠>
マリみてに繋がっていくような感じの話でした。
敦子様の哀しみが伝わってくるようです・・・。
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嶽本野ばら氏の「ミシン」という小説の中に出て来て、興味本位で借りて以来少女小説が好きになりました。ハードカバーの方を図書館で借りたのですが、手元に持っていたくて文庫で買い直しました。
とても綺麗な物語ばかりで、さすが「女学生のバイブル」だと思います。たまに涙がほろりとなる話もあり、「ミシン」の中で人生のバイブル扱いされているのも頷けます。
良い話は、時代を超えていいものだと思いました。
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初夏のゆふべ、ミッションスクールの寄宿舎に集った6人の少女たちが花の名前を冠した物語
を一話ずつ語りだすところから物語が始まります。最初は、7話で完結する予定での連載でしたが、
読者であった大正時代の少女たちの熱狂的な支持に支えられ、54話まで続きました。
54話すべてに花の名前の題名がつけられ、そこに登場する少女の一人ひとりが題名の花に象徴され
なぞらえられた「物語」を与えられています。
中にはあまり有名でない花の名前もあり、目に留まりにくいささやかな花の一輪にも、やさしいまなざし
を捧ぐ著者の視線を感じられます。繊細なようでどこかしなやかな「少女」の魅力をあますことなく感じ
られる硝子箱の中の少女時間をごゆるりとお楽しみください。
はじめに
返らぬ少女の日の
ゆめに咲きし花の
かずかずを
いとしき君達を
おくる
『花物語』 序文 (抜粋)
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花のように儚く淡く、今にも消えそうな、それでいて芯の通った少女たちの物語。
彼女らは大人の汚さにも気付き始めていますが、まだそこに染まってはいません。
ほとんどの物語は少女としての最後の時間を描いたもののように見えます。
友人や恩師との別れ、新しい出会い…
センチメンタルな結末は、一つの時代の終わりを告げているのではないでしょうか。
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美文という言葉がまさにぴったり。
全体的に胸をきゅうと締め付けられる切なさが漂う。
「水仙」「白芙蓉」「三色菫」「福寿草」「燃ゆる花」「寒牡丹」がお気に入り
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その幻を追って走りゆく豊子をふいに犇と抱きとめた優しき腕があった。この腕が与えられないならば、豊子は円内を幾度走りまわるとも知るを得なんだろうに。
はっと息をこらして危うく倒れようとする豊子を抱き寄せて、耳もとで近く囁く声、
『おめでとう、もう大丈夫! 第一着!』
と――さながら、谷間に落ちて気絶した勇敢な冒険者の唇に女神が哀れんで星の雫を滴したごとく――
2013/07/22-08/08
2023/07/29-08/09
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吉屋信子の美しい文章が好きです。
心に残る映像がひとつずつ、という感じ。
(前巻の)前半の作品の方がすっきりしていて好きだった。
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女学生の文化が好き。間違いなく今の自分には感じ得ないものだから。
どきどきしたりきゅんとしたり。女の子っていいなあ。
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LGBTQの本棚から かん子ストック
第31回「花物語」
この前、ラーゲルリョーフのことを考えていて、日本では誰かいないか、と思ったら、いました!
大物が!?
といっても、いまや、このコラム読んでる人のなかですら、読んだことある人いるのか?
といささか心もとない気持ちにさせられますが
「花物語」
の吉屋信子が……。
わずか16才でデビュ ーした吉屋信子は、いまのYA作家第一号というか、ラノベ作家第一号というか、ユリ作家第一号というか……。
少なくとも作家だけでご飯を食べられた第一号ではないかと思います。
多感な女学生を主人公に、それぞれを花にたとえ、女性同士のロマンスを描いた(昔はS、といってた)短編集が「花物語」ですが、花の飾り文字が見えるような文体と中身に大昔読んでたいそう辟易したものです。
当時は、妻には貞淑で有能な家政婦を求め、性的な部分はお妾さんやプロを求めるのが普通の男たちの、というよりエリートの男たち、だな、びんぼーにんはそんなことできないから、やり口でした。
それに従って、女学校をでたら顔も見ない男に嫁がされ、愛してももらえず、愛人を作られ、といった運命にある、一定以上教養のある教育を受けた娘たちが絶望して夢中になったのも無理はなかったとは思いますが……。
そういう男たちに対して、そ~んなに“清純であれ”というならいいわ、わたくしたち、一生清純でいますから、と彼女は、ある意味最高に過激にケンカを売ったわけです。
ベストセラー作家になり、家を何軒ももち、女性と暮らし、レズビアンであることで知られていた彼女が暮らした家がいまでも鎌倉にあり、記念館があるはずです。
「花物語」はまだ本が図書館にはあるはずです。
興味のあるかたはどうぞ。
2017年12月11日