紙の本
不幸で暗い話
2021/03/24 03:45
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「解説」によると「なぜ不幸で暗い話ばかり書くのか」と問われるそうだ。確かに不幸で暗い。もっとも評者は不幸で暗い話は嫌いではない。どちらかといえば好みの部類に入る。それよりもこの作品のサスペンス臭さのほうが気になった。確かに純香は魅力的だが少し設定は不自然だし,あそこで殺されてしまうのも読者としては納得できない。ミステリファンでなければ楽しめないのではないか。そんなにお金のことを気にしながら生活している人っているのだろうか。そして義理の親子関係とはこんなにも難しいものなのだろうか。別世界の覗き見るようである。評者には不自然に思えるのだが…。結論,いつものようにドラマチックな展開で楽しめました。
紙の本
北国、降臨
2019/10/01 14:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:お千 - この投稿者のレビュー一覧を見る
彼女の本は読むたびに、とんな季節のものでも、そこに北国の冬枯れを感じます。
この本も結末に救いはない。そうなる前になんとか出来んかったんか!と思う。
そして、生きることの哀しみが、じわーと広がって又、
彼女の本を捜してしまうという悪循環(?)作品を
続けて読むと疲れるので間に食のエッセイや紀行文など挟むのがお勧め(笑)
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覚悟はしていたけど、
重く苦しく悲しかった
それでも、桜木さんの小説は
読もうと思わせてくれる力強さがある
純香を思う、気持ちや葛藤
寝たきりの母親と息子の静かな駆け引き
なみだがとまらなくなりながらも
ゾッと背筋が寒くなったりして
人の心の奥底のこわさが辛かった
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大人の男と女、ある時は自ら共鳴し、そしてある時はすれ違う。そんなどうしようもない、滑稽ですらある交わりが一人の純粋無垢な女性を媒介にして饒舌に語られる。ちょっとした心の揺らぎや迷いを掬い上げる言葉の数々が鋭く迫ってくる。
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書道教室を開きながら書家として名を上げる日を切望する秋津と、そんな彼と認知症の義母の生活を養護教諭の仕事で支える伶子。
危うい均衡の上に成り立っていた夫婦の生活に、林原と純香という兄妹が静かな波を起こす…。
全体的にどんよりとした、閉塞感が漂う作品だ。登場人物たちの機微があまりに繊細過ぎて、一読しただけでは単なる息苦しい物語という印象に終わってしまう。
かといってすぐに読みかえすのも少ししんどい。しばらくしたら再読したい。
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桜木さんらしい抑えた筆致は林原兄妹と秋津夫妻が出会ったことで、何かしら不幸なことが起こることを最初から予感させる。信輝、伶子、龍生の悩み揺れる心理描写に、いつ不幸が起こるのかと身構えながら読んでいる部分がありました。若干引っ張りすぎで冗長かなとも思えますが、1か所だけ純香の視点を入れたのは効果的だったと思う。彼女の才能が明らかになった時点でオチは予測できたけど、これから先、どうするのかなと余韻を持たせる終わり方だった。
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2013年に刊行された単行本の文庫化。
指定管理者の職員で市立図書館館長となった林原信輝、その妹で知的障害を負い一緒に暮らし始めた純香、純香の書の才能に嫉妬する書家秋津、秋津の妻で夫と認知症を装う義母を養う養護教諭の怜子、林原の中学の同級生で恋人のように兄妹に心を寄せる里奈。
純香はその「無垢の領域」で、彼らが互いの関係に屈託を抱えていることを明らかにしてゆくが、冬の川に落ちて死んでしまう。
行き先の見えない恋愛物語?は最後の3ページでいきなりミステリーになってしまう。
いつもながら作者が淡々と綴る女性の心情表現には、はっとして心に残る言葉がおおい。
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釧路で図書館長を務める林原。野心的な書道家秋津とその妻であり養護教諭の伶子。三人の男女の間に林原の妹・純香が現れ、その無垢な存在が彼らの心の奥に隠していたものを剥き出しにする。
どんよりとした暗い雲を抱えたような登場人物たち。結論を常に後回しにした行く末のような気がする。ちょっとしたエピソードに出てくる、妊娠した女子高生の自分で生きていこうという強い気持ちが、若さなのか性格なのか。
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書道を生業とする秋津龍生とその妻の伶子、図書館長の林原信輝とその妹純香らによる物語。桜木紫乃の描く北海道は相変わらず鉛色の空が支配している。色々と気になる伏線はあるのだが、物騒な終わりかたにならなかったのは良かったような、消化不良なような。読み終わって、いい意味でモヤモヤが続いている。
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純香と龍生の母、それぞれの家庭が持つ闇の部分をうまく表現している。
最後がすごい純香からの龍生へのプレゼント!
こんな展開があるなんて!!!
桜木紫乃のすごさを見た。
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なぜ純香を死なせてしまったのか?正直納得がいかない。
秋津夫婦と信輝の心理描写は多いのだけれど展開がなく、話の全体的な盛り上がりにも欠けているので退屈に感じてしまった。
伶子と信輝が不倫関係に陥ってあれやこれや…というある意味分かりやすいドラマを想像していたらそんなこともなく、介護疲れの秋津が母を殺めるでもなく…
ラストはつまり秋津は純香の贋作をしていたということなのか?ちょっとよく理解できず…
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一気に読みました。
主人公は、いったい誰だったんだろうか?
それほどに、そのぞれの登場人物の心の動きが描かれています。
読了後の不思議な感覚をまたこの小説でも感じました。
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桜木さんの作品を順不同で読んできて13作目。
心理サスペンスとあるように、書道家夫妻と図書館長のこれでもかと心情を掘り下げ描いており、作品としては相変わらず筆力にぐいぐい引き込まれ面白い。
でも好きじゃない。
でもこの三人が気持ちに蓋して取り繕って生きてるようで、自分は嫌いなんだろうと思う。
そして、登場する母親の全てが受け入れられない。子より自らの芸の力がそんなに大事なのか?
一人も希望が見える人が居ない悲しいお話…
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うーん...。純花という無垢の存在によって、大人たちの本音、生きづらさ、哀しさ三者三様が浮き上がる、というのは面白くて、途中までは展開が気になって読み進めた。けど、結末がなあ...。何も解決しないままフェードアウトで読後感が悪い。
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主人公は誰だったのかよく分からない話。
書道家の彼だったのか、その妻だったのか。
それとも図書館館長の彼か。
それぞれの感情と思惑が絡み合い誰も得しない人間関係だったな、と。
書道家の彼は最期報われたのかと思いきや、全然そうじゃないという。これから先、書道家として生きていくには何とも酷な最後。幕切れだった。
芸術の才能は遺伝子で受け継げないのか?
母から娘へつながるが母から息子ヘつながっていない。
才能が有りすぎる母親を持つ子供と言うのはある意味とても不幸。