投稿元：
レビューを見る
古倉さんは最後まで「あちら側」の人間であった。
「こちら側」の人間でいる自分でいる自分は本当に「こちら側」なのか考えさせられたし、
「こちら側」と「あちら側」が紙一重になっている現代日本社会への風刺にもなっていると感じた。
投稿元：
レビューを見る
芥川賞受賞作で、手放しで「面白い！」と初めて思いました。
笑えるし、ぞっとするし、哀しいしで、読んでいて気持ちが忙しかったです。
コンビニバイトのシステムの一部になることで「治ろう」とした主人公は、登場人物の中で一番純粋でした。それ故の生きにくさ、「普通ってなんだろう、まっとうな人間ってどんな人のことを指すのだろう」というを、ユーモアも交えながら書ききっていて、グサグサやられながらも一気読み。
周りからの「幸せ」の押し売りは、本当に残酷。
コンビニで働く描写は長年働いているだけあって、ホント凄かったです。最初の文章でやられた。
投稿元：
レビューを見る
芥川賞受賞作。
古倉恵子、36歳、未婚、大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
完璧なマニュアルの存在するコンビニの中で、コンビニの一部となって生きることにより、世間から外れることのない普通の生活をしているという安心を得ている。
就職、恋愛、結婚、出産、「普通」から外れて生きることの世間の反応、縄文時代から何も変わっていないというのもわかる気がした
投稿元：
レビューを見る
地味な？読んでいるうちに少し変わり者な主人公のコンビニ店員の女性に共感を覚え読み始めました。
自分にとってはさりげない日常の当たり前に過ぎて行く日々でも、知らない者が見るとおもしろい。この主人公が感じる人間の機微、人間観察の記述も共感が持てておもしろいです。主人公の行動、大人にいたるまでの行動が時に当時の大人たちにとって非常識に見えるエピソードが出て来ますが、そもそも常識って何？と考えてしまいました。
投稿元：
レビューを見る
社会学で、見えちゃいけないものは、隠すという表現があったけど、それを思い出しました。
本人は、真似てるつもりでも、周りの人間は気付いてて、あえて言わない、それが大人の社会。
女子の会話のシーンは、私も昔は、よく最近どうなの〜？って聞かれたけど、聞かれなくなったので、もしかしたら、私もあちら側の人間と思われてそう(^_^;)
投稿元：
レビューを見る
人間向き不向きがある。
途中、周りの人間の対応が悲しかった。
自分の人生だし
他人に迷惑かけていないのだから好きに生きるって道を選んだのはいいことだな。と思う。
投稿元：
レビューを見る
不気味な感じ。読み終わった後に薄ら寒い感じを覚えた。
ただ、自分が部品になっているという感覚はわからなくもない……。
文章はテンポ良くサクサク読むことができた。
投稿元：
レビューを見る
面白そうな題材だったので配信開始と同時に購入しました
読みやすい(イメージしやすい)作品のように思えました
頭の中に無意識に存在している、『普通のこと』『一般的なこと』『当然のこと』って難しい
でも最後にちょっと頭を捻ってしまったので、時間を置いて読み直します
投稿元：
レビューを見る
すごくよかったので一気読み。芥川賞作品は過去に順番に読み潰してたときがあったけど、今を描いている作品は「今」読まないとだめだなぁと感じた。
投稿元：
レビューを見る
とても読みやすく、一日であっという間に読んでしまいました。話の設定は面白かったです。
ところで、ふと気がついたのですが、この作品はどうして芥川賞を受賞したのでしょうか？一度、サラッと読み返してみたのですが、どの点が評価されて選ばれたのでしょうか？毎回、文藝春秋で選評が出ると思うのですが、買っていないのでどなたか教えて下さい。
投稿元：
レビューを見る
人間は動物、人間は物。何にでもなれる人間の本質は、人間自身が決めるもの。人生とかいうけど、最終的な哲学にたどり着くまでの、仮面の取り外し。いくら物になっても、動物になっても、そこに自分らしさとか、紆余曲折あってもこれしかないんだって自分なりの価値見出せたら生きてる術になる。主人公の場合、単に自分ができることと仕事内容が合致したから社会的価値が生まれたわけで、そこに気付けたことで主人公が再び生まれた感じがした。主人公は物っぽくもあるし、動物っぽさもあると思ったけど、性的欲求がなさ過ぎて動物っぽさはあんまりなかった。それでも、人間にしかない感情にいきつくラストが潔かった。社会的ステータスに翻弄される人間よりも、孤独で尊い人間らしさを感じられた。
投稿元：
レビューを見る
芥川賞受賞ということで一気読み！
とてもリアルで面白かったです。
普通の人間とはなんなのか考えさせられます。
ただ、洗面器で与えられた食事＝餌
のところは衝撃的でした。
栄養士の視点から言えば、
きちんとした食事をとれば
なにか変わるものがあるのではないかと感じました。
投稿元：
レビューを見る
コンビニ店オープン当初から店長が何度か変わる中、18年バイトとして働いていることだけでも凄い!
古倉さんの口から発せられる言葉はコンビニ自身の言葉であり、体の中の細胞すべてがコンビニのために存在しているという根っからのコンビニ人間。
人間というかコンビニ店員という動物であるのだから、つまらない結婚なんていう選択をせず本能のままに生きてほしい。
投稿元：
レビューを見る
芥川賞作品はなんか読み辛いとかねがね思っていましたが、この作品はけっこう読みやすかったです。題材がコンビニだけに、誰でもなるほどと納得させられる場面も多い。
しかし、テーマとしてはちょっと深くて、分かりづらいかも・・・。「普通」とは何ぞや？「正常」とは何だ？と考えさせられた。
３６歳独身、処女、コンビニアルバイト。それのどこがいけないのだろ？。ただ、世間では普通とはきちんとした会社に勤め、将来的には結婚をし、子供を生んで・・・と考える。そういうことが、果たして普通なのだろうか？小説の中では縄文時代そのままだと表現されているが、言いえて妙である。
物語の中で古倉恵子はコンビニこそが自分が正常に部品として働ける場所だと言っているが、それは普通に会社に勤めている人も同じで、誰しもこの世界の部品なのである。皆、誰でも「普通の人間」という架空の生き物を演じている。という一文には何故か納得してしまった。
明らかに普通の生活が一番幸せなんだとう考えが正しいとは限らない。普通じゃない、人間じゃないと罵倒されて、一時はコンビニを辞めてしまうが、彼女は最後にはまた、コンビニ人間として働くことを望む。なんか切ないし、これからどうなるのだろうと考えさせられる所で終わっている。続きが気になる作品だと思う。
投稿元：
レビューを見る
久々に芥川賞作品を読んでみました。この小説は「普通とはなんだろう」というテーマで著しているようですが、主人公の古倉の境遇は、一読して異常に感じますが、非正規社員が増えている現代なら、ありえそうで少し怖い気がしました。
普通のサラリーマンや主婦などでも抱えている、他人に言えないことを探られるのは嫌なものですが、この小説でも、満たされている人が満たされていない人を探り出そうとする嫌な感じが十分に出ていて、一部ではありますが実体験のように感じました。
