ハチミツとクローバー（９） みんなのレビュー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：かっぱ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

いよいよ最終章に突入の第9巻．
森田の過去とはぐみの受難が描かれる．

後ろからドロドロの波に襲われ絡め取られる森田の兄・馨．次作「3月のライオン」で多用される心象風景の描写の萌芽が見られる（夫が「『3月のライオン』は一手指すごとにキャラが吹雪の中とか彷徨い始める」と揶揄するが，その心象描写の的確さが美しいんだっつーの）．
悪役の側の心理まで共感できるほど描けるからこそ作者は群像劇の達人なのだと思う．

天才・はぐみの受難も胸を打つ．
今までの悩みと次元の異なる悩みに直面するはぐみ．本人の不安に引きずられてしまう若者たちとぴくりとも動じていないかのように振舞える花本との対比が印象的．今の私は花本より年上だけど，私の近しい人に同じことが起こったとして花本のようにどっしり構えることができるだろうか．できないだろうけど，「かくありたき」という気持ちだけは持っていたい．