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考え方や意見は常に対立する事でバランスが取れている。人間が生まれつき本能の様に考えを持って生まれるわけではないのだから、誰しも教育環境や家族の影響など、外部の作用で考え方が確立する。
政教分離の原則は守られるのは当然だが、様々な考え方の人が集まって国家を形成するのだから、意見対立は当然だし、何かしらの宗教に心酔する方々も国民だ。宗教とまで言わずとも、同じ考えや意思を持つ個人が固い信念の下に集まれば、ある意味、熱気や熱狂は宗教染みて見られても仕方ない。団結したり熱い議論を交わす事で、生き甲斐や仲間意識を求める人もいるだろう。
またその様な熱気を集団の力として利用しようとする政治家も合理的と言えばそれまでだ(心底信仰心を持っている人が果たしてどれくらい居るだろうか)。
結局、原則があったとしても必ずしも守られない状況に陥る事も当然想定されている。
右への力が働けば、左に戻す力が強くなり、その逆も然り。政治に限らず会社の中にだって存在する。
本書は日本会議の成り立ちや考え・主張を時系列に見ていくには丁度良い。かなり否定的な目線で語られてはいるものの、読み方によっては双方の考えに納得できる部分が多くある。政党もそうだが意見が100%全員同じなんてほぼあり得ない。だから誰しも集団を自己の利益に利用する部分はあるだろう。本書をある集団の形成過程を見るより、書かれた年度の戦後70年の時代の流れを読み取る参考書としてみると面白い。意外?にも外交の話は多くないので、戦前・戦後、団塊世代と素の日本人が外部(国外ではなく、あくまで国内の社会・教育・家族)影響でどの様な考えを持ってきたか追う事ができる。
読み進めると、考え全てに賛同できないと前置きした上で言うなら、寧ろ日本会議並みの行動力や強い信念を政治家が個人の考え・意見として持ちながら活動した方が良いのではないかとさえ感じる。
ついでに言うなら、どこの国でも愛国心教育やその国の確固たる歴史観ぐらいは持っていて良い。国旗がどうとか国歌がこれとか決まってなければ愛国心が育たないなら決めれば良い。けれどそれって本当にそうなのか、なければなし崩し的に愛国心が失われるのか。WBC優勝に感動し、テレビに釘付けになって応援してたじゃないか。