電子書籍
何か呆然とした思いを抱く
2017/03/22 21:27
7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tora - この投稿者のレビュー一覧を見る
安倍政権や森友学園問題の背景にある右派団体、「日本会議」について、その成り立ちや足跡、目指しているもの等を包括的に、かつ分かりやすく解説した書。
かなり特異な(といっても戦前戦中の思想と重なる部分も多い)宗教、生長の家(というより谷口雅春原理主義)の恐らくごく少数の熱心な信者が、何十年も諦めることなく、粘り強く、政界や財界、宗教界に働きかけながら、地道な運動を重ねて、自分たちの信念をひとつづつ達成してきた事実に、何か呆然とした思いを抱く。
谷口雅春氏の思想を一部、本書より引く。
「物質はない。われわれが病気であるというのは、われわれが病気だという観念派を送り出している状態にすぎない。ただあるのは『健康の観念』または『病気の観念』ばかりであります」
「すべての宗教は天皇より発するなり。大日如来も、イエスキリストも天皇より発する也」
「先天的に日本国が世界の首脳国であり、日本人が世界の支配者として神から選ばれた選民である」
「大日本帝国は神国なり、大日本天皇は絶対神にまします。大日本民族はその赤子なり」
また、本書は、その活動を資金的にバックアップしているのが神社本庁であることも明らかにしている。
特に大きな貢献をしている明治神宮は、都心に近い一等地に資産価値何兆円にもなるだろう数十万坪を有し、その子会社が神宮球場や明治記念館が所有運営しているという。
このような宗教をバックに持つ政権を我々は支持していくのか。
また、宗教的な動機が裏にある政策を我々は選んでいくのか。
今、それが問われているように思った。
紙の本
日本会議の正体
2016/12/05 17:21
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドラゴンタトゥ - この投稿者のレビュー一覧を見る
我が国が右旋回しているとの論調が多い中、この運動が戦後左に偏り過ぎたなかでの揺り戻しの思潮であること。その根底に神社への回帰であることがよく理解できた。国民運動としてこれからどれほど展開することができるのか、気になるところである。
紙の本
日本会議の実態がよく分かった
2023/08/30 19:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
良く取材されたすばらしいノンフィクションです。日本会議については、はっきり言ってあまりよく知らなかった。胡散臭い感じはしていたが、この本を読んで、その実態がよく分かった。胡散臭いどころか、とても恐ろしい組織である。メディアがあまり取り上げないのが不思議だ。
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たぶん、著者サイドの意向によるフィルターは
だいぶ入っているのだろうと思いますが、久しぶりに
怖い本を読みました。言及するには少し勇気がいるかも
と思ったりします。
右翼系新興宗教の”生長の家”と明治神宮を中心とした
皇国を目指す神社本庁の勢力的なものが結びついたと
されている日本会議。主張は国民主権ではなく、
天皇主権。
政教分離は日本の文化に合わないということでの反対。
現行憲法の改正ではなく、破棄と明治憲法の復活。
家族制度の復古調的な主張。戦前日本・明治日本を
目指すという主張だそうです。
その日本会議が現政権を支えているとのこと。。。
そういやあこの前の選挙特番で日本会議の支持者か
関係者であろう品のよさそうなおばあさんが
”日本を批判し、中国や韓国のいうことを支持するので
あれば、日本から出て行って、中国か韓国にお住みに
なればいいのに!!”という発言。
どこかの候補の神武天皇発言。
自民党役員の女性の暗い、洗脳されているような顔。
安部首相も最近なんか、非常に気持ちの悪い仮面をかぶっているように見えます。最近本屋で見た本の表紙に
安部さんの写真が出ている本があって、マッカーサーや
欧州の独裁者を思い浮かべるような写真に見えくる
感じがして。。。
本当にちょっと怖いのですが。。。大丈夫なのでしょうか?
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力作。
驚いた。日本会議の存在、生長の家。
安倍首相の発言の根拠が腑に落ちた。
もっとマスコミは、広く取り上げるべきだ。
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日本会議という団体(?)の存在を知ったのは最近だった。はじめてその名称を知ったときは、どこかで行われる会議のこと?また随分大袈裟な名前の会議だなと思った。
日本会議が日本の政治に大きく関わっているだなんて思いもしなかった。
現安倍内閣で日本会議(日本会議国会議員懇談会)のメンバーが何人なのか皆さんは知っているだろうか。
青木さんの本によると、内閣総理大臣安倍晋三をはじめ13名。
20の閣僚のうちの13名だ。
官邸の枢要スタッフに至っては5のうちの4名だ。
内閣の主要なポストは日本会議メンバーで構成されているといっても過言ではない。
果たして、日本会議とは一体何なのか。
それが記してあるのが本書だ。
宗教団体生長の家を支持母体に、圧倒的な数で影響を及ぼす神社本庁とも繋がりのある日本会議。
乱暴に言えば、日本会議メンバーになっておけば選挙でとてつもなく有利となる。
天皇信仰が強い生長の家の影響から天皇絶対、復古的で戦前回帰を目指しているとしか思えない考え方、国民主権の否定をしている憲法改正草案内容。
こういったことを追求していることを知らないひとは、とても多いのではないだろうか。
安倍が虎視眈々と狙う憲法改正も、現実となるのは遠いことではないような空恐ろしさを感じる。
自民党の憲法改正草案を読んで背筋が寒くなったことを思い出す。
家族重視、家族間互助といった項目を加えようとしているのだ。
個人主義が過ぎるため、家族内統一を重くする。
要するに、ひとりひとりの意見ではなく家族での統一された意見を持たせようということは、家長制度を復活させようとしているのかと思わせる。
家族の問題は家族内で助け合っていく。
一見いいことに感じられるかもしれない。
しかし、それはつまり、介護などを家族間で抱え込むことにならないか。
ただでさえ家族にひとり病人や老人がいるだけで家族の負担は大きいのに、それを家族内で助け合うとなれば、家族全員で潰れろと言っているように感じる。
この本に書かれていることが全て青木さんの調べた通り間違いないかどうかはわからない。取材の仕方などによっては導かれることも変わるかもしれない。
それでも、取材内容をきちんと明らかにした書き方をしてはいるし、一冊の本にするに当たって思い込みで書いて良いとは思っていないはずだ。
文章の端々に青木さんの考えが認められる部分もある。
ただ、こうした書物を発端にひとりひとりが政治や憲法について考えていくことに意味はあると思う。
日本人は余りにも政治や憲法に関心が無さすぎる。わたしも偉そうなことが言えるほどではない。若い頃は憲法って社会で習ったけれどよくわからないという感じだった。
日本人として日本に暮らす以上、憲法によってわたしたちは護られている。それでいてよくわからない憲法。
もっと関心を持て、知らないところで国が大きく変わるかもしれない。
知らないわからないで済ませるな、見ないふり気付かないふりはやめろ、ひとりひとりが自分の考えを持て。
この本で筆者はわ��したちに警鐘を鳴らしているのかもしれない。
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生長の家が源。左派学生運動の対抗組織として活躍した人々が現在の日本会議の中枢。安倍総理は彼らをブレーンとする中で変容。
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2016年10月読了。
著者が「朝生」に出演していて、この問題周辺(天皇の生前退位問題etc)に関する考え方やスタンスに興味を持ったので著書を読んでみた。以前間から関心のある分野、というよりはそろそろ読んで知識を得ておく必要があるなと思っていた。
245ページ「エスノセントリズム=自民族優越主義。天皇中心主義。国民主権の否定。過剰なまでの国家重視と人権の軽視。政教分離の否定。神社は宗教ではない。」
選挙の直前になって候補者の背景を確認するのではなく、日ごろから政治家の背景(特に誰がケツ持ちなのか)には充分に注意したい。
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ここにレビューされているみなさんのような知識がほぼなかった自分。「最近日本会議という言葉をちょいちょい聞くけどそれってナニ?」というところから入りました。
恐ろしいですね。宗教と政治の繋がりについてはいろいろ聞いたり自分の意見もありましたが、こんなに以前から深く中枢に関わっていた宗教団体があったなんて、本当に恥ずかしいけれど知りませんでした。
しかし自分の周りを振り返ってみれば、「日本会議」なんて聞いたこともないという私と五十歩百歩の人が大半です。
知らないでいるということは恐ろしいということを久々に感じさせられた一冊でした。何故安倍首相がああいうスタンスなのか、今までもやっとしていた部分がよくわかりました。
たぶん内容としてはそれほどディープなところには踏み込めなかったのではないかと思います。(本当はもっと踏み込みたかったのではないかと推察)新書形式というのも手に取ってもらいやすさもあるけれど、その辺もあるのかなと。
私のように関心はあるけど、この手の本は手に取りにくいとか、理解が追い付かなく敷居が高いなどと思う人にはとても良い書式と思います。
敬遠しがちですが、不安が高まるこれからの日本の変化を注視する上で知っておかねばならないことであると思います。
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日本会議の源流と現在の状況を描き出す力作。
日本会議とは、生長の家という宗教団体出身のメンバーを核として神社界の金銭的また人的パワーを身につけて積極的な右派の政治活動をしている宗教団体。メンバーは多数いるものの、人による温度差がかなりある様に感じた。
安倍総理は元々はそんな思想は無かった様だけど、影響を受け過ぎたらしくかなり右よりに感じる。過去に中曽根元総理は右派を利用したらしいが、最後は冷淡にしたらしい。
ここまで首相が右に傾くのは珍しく、危険であると警鐘を鳴らしている。
右派の活動をしている人に言わせると、左派が活動を弱めており、結果として右派勢力が優勢になっているのだろうと。
著者によるインタビューが所々で引用されており、説得力がある。
重要そうなので以下は抜粋。
日本会議とその中枢、周辺にいる「宗教心」に駆動された宗教右派の政治思想は、自民族優越主義、天皇中心主義、国民主権の否定、過剰なまでの国家重視と人権の軽視、政教分離の否定。(原文ママ)
右と左はバランスが取れてる方が良いと感じた。
現在の政治に不安がある方にオススメです。
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随分と綺麗な資金源と買いかぶりすぎた運動体なんだという印象。左派運動が資金源や本当のオーナーを隠して活動しているのに対してですが。
日本を守る会議
元号を法制化する運動
日本を守る会
宗教右派(臨済宗朝比奈宗源)→神社本庁を軸とする新党系宗教団体
上記二つを統合して、1997年に日本会議誕生
親米愛国(反共が最大の結節点)→ソ連崩壊により敵失
→原点回帰
1.皇室の尊崇
2.憲法改正
3.国防の充実
4.愛国教育
5.家族観の重視
日本会議発足と同時に、政治団体「日本会議国会議員懇談会」を発足
資金源
→会費 約3億8千万円、広告、協賛金
明治神宮、神社本庁
宗教法人が政治活動を行使すべきでないと考えている。一定の距離を置いている。
地方から都市へ(運動の方向性)
→左派運動をお手本にしている
お金に対してはストイック、政治家への支援はほぼない
→いわゆる右翼とは異なる。
谷口哲学(谷口雅春の哲学)←大本教(人名)
→日本会議の中枢…元「生長の家」、その学生組織(生学連)
現在の生長の家は、安倍政権に反対
生長の家は二代目に代替わりしたときに、様変わりした。1985年に谷口雅春がなくなる。
谷口雅春 大東亜戦争は聖戦、明治憲法を復元すべし
↓
谷口清超 真反対、第二次世界大戦は侵略戦争。理想世界(若者向け機関紙)に掲載
左翼から右翼への転向
「日本会議が安倍政権を牛耳っているとか支配していると言うよりむしろ、両者が共鳴し、共振しつつ戦後体制の打破と言う共通目標へと突き進み、結果として日本会議の存在が巨大化したように見えると考えた方が適切なように思える。つまり、上からの権力行使で戦後体制を打破しようと呼号する安倍政権と、下からの草の根運動で戦後体制を打破しようと必要な運動を繰り広げてきた日本会議に集う人々が、戦後初めて車の両輪として揃い、互いに作用しあいながら悲願の実現へと突き進み始めている。」
「右派が勢いづいたと言うより、左派がいなくなっただけだ。」
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日本会議とは何か?と読んでみたが、よく知らなかった生長の家、創始者谷口雅春の考え、神社本庁と憲法改正をめぐる現政権との関わりなどよく理解できた。
(私は若い時に谷口雅春の生命の実相を少し読んだことがあり、その生命哲学は肯定的に評価しているが、過度な天皇崇拝国家主義的な考えには驚いた)
安倍晋三は知性を持った本当の右翼、保守ではないと個人的に思っていたが、それも氷解した。
安倍晋三には、そんなに深い政治思想はない!と理解できた部分を以下に一部抜粋。
私(著者)は最近、取材で安倍の成蹊学園時代の同級生や知人、恩師、会社員時代の上司、同僚らに片っぱしから話を聞いたのだが、政界入りするまでの安倍に現在の政治スタンスにつながる気配を感じ取っていた者は皆無に近かった。少なくとも、現在の政治的スタンスにつながる知性を鍛え上げた様子も、政治史などの知識などを積み上げた形跡も、ほとんどみられなかった。
そんな安倍を会社員時代の上司はこんなふうに評した。
「子犬が狼(日本会議など宗教的復古的な人たち)の子と群れているうち、ああなってしまった。僕はそう思っています。」
※カッコ部分は筆者記入
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左派ジャーナリストによる「日本会議本」。
日本会議のテーマ
①天皇、皇室、天皇制の護持とその崇敬
②現行憲法とそれに象徴される戦後体制の打破
③「愛国的」な教育の推進
④「伝統的」な家族観の固守
⑤「自虐的」な歴史観の否定
「かつては”危ない勢力”と認識されていた者たちが、いまや立派に見えてしまっている。」
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勉強になりました。成長の家と日本会議がこのように結びついていたとは。驚きの連続でした。とともに、狂気を感じました。著者がインタビュー相手に敬意をもって接し、丁寧に記事を掲載すればするほど、その特異さが浮き彫りになりました。是々非々で共感できる箇所はありますが、なぜこんな極端な考えに至ってしまうのか。もう洗脳としか言いようがないです。
著者も仰っている通り、主張していることが、明治維新~敗戦までの75年間での事象を日本の有史以来の姿と考えている浅はかな歴史認識に立脚していることが、一番の問題のように感じました。昔は良かったと言う居酒屋談義にしかなっていません。
本当に考えさせられました。都議選で惨敗したとはいえ、日本会議をバックにした安倍政権のやりたい放題にならないことを祈るばかりです。
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海外に出てもほとんどの町ではWi-Fiが使える今日ではスマートフォンを手放すのは現実的に難しい。たったの数年前は自分の現在位置やそこの治安などはガイドブックや片言で話す現地の人からの情報、すれ違った時部と同じような旅行者の進言。そしてコンパスと地図、大事なのは空気だった。そらがいまでは読むことが不可能なアルファベット以外の病気のバス停に乗り込んでもGPSで捕捉できる。信じられないかも知れないが地図のログデータを残すのも手間がかかる時代が昨日だったのだ。
便利なことこのうえない。しかし現実には大した意味を持たない情報という体の落書きを受け取っているにすぎないのもまた真実である。
この本は随分前に耳にしたものであり、恥ずかしい言い方だが日々の生活には直接的には関係ないように思えるが国家の外枠、もしくは中枢に確かに存在する物事を仔細に辿った一冊である。
文頭に関係ないようなことを書いてしまったのは、つまりは手にしながらもなかなか読むことができなかった事への言い訳なのだ。
国内でも携帯電話が圏外になることなどほぼない生活の中でまるで通信から遮断されざるを得ない状況は自ら携帯電話の電源を切るか、もしくはそもそも電波の存在しない場所へ行くしかない。
僕の場合、今回は山であった。登山の背嚢(端的にザックですね)の中に寝袋やテント、食料や酒とともに放り込み夕方ごろから静かな雨の音を聞きながら読了。そして電波のはいらないスマートフォンは大袈裟なメモ帳と化しているわけです。