紙の本
『忘れ物が届きます』
2016/08/29 19:31
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「わたしね」
「はい」
「この庭で、なくしてしまったものがあるの」
──「野バラの庭へ」
過去に置き忘れた謎が長い時を経て姿をあらわし
ふとしたきっかけから解決の糸口を見せる
「私はね」と声がした。
「あの事件で、ふたつの宿題をもらったんだよ」
──「沙羅の実」
ちょっとした会話や小物に張ってある伏線がみごとに回収される
過去と現在をつなぐコージーミステリーの短編が5つ
2014年刊の単行本の文庫化
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トゲのように心に刺さっている過去の事件。それがふとした切っ掛けで浮上してきて、ゆっくりとトゲを抜くように解決されていく。そんな短編集。
収録作のなかでは「雪の糸」が気に入りました。
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今となっては昔のことだけど、解決できないままになっていること。
まさに”忘れ物”。
ふと思い出すと、心の中に小さな刺のようにひっかかっていて…
誰にでもひとつやふたつあるのでは…
そんな5つの”忘れ物”が届きます。
個人的には『沙羅の実』が一番好みでした。
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上質の作品でした。
遠い過去の記憶と
過ぎ去った時の流れをひもとく。
ひとつひとつの物語に感じるものは
読書という行為に通じるおだやかさ。
今までわからなかった謎なのではなく
現在だからこそ読み解くことができる謎。
読み解くことが 人の心の安らぎを生む。
大崎作品は数々読んできたが こんなに
おだやかな時間にひたれたのは初めてだった。
過去の記憶とは
こんなにもいとおしいものだったのか。
読書とは
このような謎解きに似たものだったのか。
とても満ち足りた思いで読了。
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そういえば、あの時の出来事って。。。
と、昔の謎を解き明かすミステリ短編。
トリックが分かりにくい感があるけど、雰囲気が良くって気にならない。
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面白かった。
ほんわかとしながらも、穏やかでない状況の「忘れ物」たち。
どの作品もなるほどと思うと同時にちょっとあたたかい気持ちになる。
でも「沙羅の実」はイマイチわからなかった。
とても良かったのに、私の頭では??こーゆーこと?とかえって謎が残った。
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過去に起きた事件や謎の真相が
時を経て明らかになるお話が5つ。
どの短編も、最終的には
「あぁ、そういうことだったのか」
と思えるオチが用意されているけど、
インパクトはあまりなかった。
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書店員シリーズとは趣の異なる作品でした。
過去を振り返りながら当時の人間関係の機微を解き明かす趣向の短編集なのですが、表紙の雰囲気に惑わされて安易に読み始めたせいで最後まで集中できずに本書の良さをキチンと味わえなかった気がします。
途中で気持ちをリセットすることもかなわず、惜しいことをしました。。。
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過去の記憶を辿りながらミステリーをひも解いていていくというタイプですが、
ぼんやりと記憶が甦っていき謎解きも叙情的になっているので
徐々に胸に打たれる感じで、
今まで読んだミステリーとは違ってじわじわと引かれていきました。
表紙の絵からは想像できないようなストーリーですが、
過去からの記憶の忘れ物がふっと訪れていき、
心の中もタイムスリップされてミステリーのはずなのに
どこか心が温まるという心地良いミステリーでした。
この中では「沙羅の実」、「君の歌」が好きで
学生時代の青春の記憶が蘇り、ほろ苦く懐かしい気持になりました。
特に「沙羅の実」では一番初めの章だったので
ミステリーという観念が無く読んでいたのでラストになり、
どんでん返しのように話がひっくり返ったので吃驚しました。
この作品だけでなく他の作品でもミステリーの気配がなく、
そのまま犯人の解明になってしまうので
またページを戻して謎解きに戻ることが何度かありました。
「おとなりの」は割とミステリーにはありがちな展開ですが、
隣人のような行動が出来るのも感心しますが、
少年同士の固い友情にも胸を打つものがあり好きな作品です。
推理小説のような伏線があるわけでもなく、
そこから推理が始まるというのがこの本の面白い味かとも思いました。
それと文章からどことなく品の良さのようなものが漂い、
読み終わった後も心が和み余韻も味わえました。
こんな風に過去の忘れ物がふとしたところが訪れるのが
良いのか悪いのか・・・
ふと自分の人生も振り返りたくなる作品ばかりです。
大崎さんの本はこの本が初めて手に取りましたが、
他の作品も読んでみたくなるような作品ばかりだったので
引き続き読みたいと思います。
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表紙が何とも言えずに可愛い。
この表紙から、どんな郵便配達人が、どんな思いや手紙を宛先に渡すのだろうか?と、、思いつつ読んでみた。
5話からなる。
「沙羅の実」不動産の営業マンが、訪れたのは、結婚間近の娘を持つ住宅。
そこで父親が、自分の小学校のクラスの隣の担任教師であった。
事件のあった話を回想するが、、、事故の場所にあったのは、営業マンがもっていた傷の入った沙羅の実。
しかし、最後の場面で、その持ち主は、友人の物で、今の営業マンは、婿養子になっていたのだった。
同じヒロシという名前がだったし、、、
「君の歌」卒業式の帰りに、高崎に、呼び止められた芳樹は、中学の時に起きた事件を思い出さす。
芳樹のいとこの弥生のおてんばぶりが、後に引けなくなった結果だけど、この仰げば尊しの歌で、「やお 励めよ!」と、応援歌とむすびつけている。
「雪の糸」喫茶店での2人のカップルの話。
彼女が、ビデオ時間を1時間後らしたのが、彼が電話かける時間をも遅れたことが要因になって、友人が、選択した結婚について、、、桜の木と共に語られる。
「おとなりの」小島邦夫は、10年前の事件の話で、現場には息子のカードが落ちていて、疑われたことを思い出す。
息子が熱を出し家で1人で休んでいた時のアリバイが、はっきりしない時に、無口な隣の奥さんが、口添えをしてくれたのだ。
犯人は逮捕されたが、10年の歳月が、人を成長させている。
「野ばらの庭」チドリ企画という出版社の香留は、外山志保子という自分史を聞き取りに行く事になるのだが、、、
話は、志保子の兄と美人の統子さんと結婚するものと思っていたのが、突然統子さんが、逃げ出すことになって、兄は心を痛め、早死したことから始まるのだが、、、逃げた統子さんの相手は、自分の事だけにしか頭になかったし、その友人も然りであったのだった。
復讐の為に、したのは、、、
そして、志保子さんは、その前に無くなるのだが、、、インタビューしたいた志保子さんは誰?、、、と話は面白いが、人生を狂わせたのは、悲哀である。
1話と5話は、人生残り少ない時間に、昔の腑に落ちないこと結論に結び付けようにして、過去を暴き出すのだが、、、それが良かったのかどうなのか?と、考えさせられる話である。
しかし、物語として、どの話も、面白かった。
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ちょっとした謎解きの短編集。
どれも小気味良く、落ち着いた語調で楽しく読み進められた。
最後の「野バラの庭へ」が一番素敵だった。
良い作家さんを見つけた気がする。
他の作品も読んでみたい。
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とっても可愛い表紙からファンタジーかと想像していたらミステリー。面白かった。どんどん引き込まれて夢中で読んだ。
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表紙のはんわかした雰囲気からは、少し違う短編集だった。
時の流れに任せて、放っておいた過去の謎。それわ解き明かす物語。
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短編集。
「忘れ物」というよりも、その当時はわからなかった事実が時を経て明らかになっていく物語。
過去に何があったのか。
事実はどんなものだったのか。
わかったところで起こってしまったことはなかったことには出来ない。
過ぎてしまった時間ももとに戻ることはない。
それでも事実は事実として受け止めることで、すっきりすることだってあるかもしれない。
きっと「いまさら」ではなくて、「今だからこそ」と思える人たちの物語なのだろう。
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過去に思いを馳せ、謎めいた1日の真実を紐解く。
沙羅の実は、最初よく分からず何ページか戻った。さりげなく表している真実に切なくなる。雪の糸では、彼女のいたずらで第三者が踏み留まることができた姿が朧気に表現されていた。野バラの庭へは、奥底にある恨みが見えた。