紙の本
虚偽と真実
2016/12/15 20:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
どのような場においても虚偽と真実が入り混じるが、タイトルのとおり医療現場における虚偽と真実をえがいた短編集である。細やかな心理描写など、人間の心理や人物の真相が分かるなど面白い小説である。
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医療現場では人は自分の「命」と向き合うことになる。それが病であれ事故であれ、「何か」が起こりそこにいる。そこにあるさまざまな小さくて大きな「嘘」たち。
命を救うための嘘、命を守るための嘘、そして命をかけた嘘。深くしみる嘘たちに読後、温かいため息が出る。
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医療の世界を舞台に描かれた6編の短編集。バレーボール選手の妹と医者の姉、研修医と指導医など、様々な人間関係を短編におさめてしまうのは、さすがな感じ。さらっと読める1冊。
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絶好調の短編ミステリの旗手・長岡弘樹さん。今回のテーマは医学。『白衣の噓』というタイトルは、挑戦的かつ挑発的だ。
「最後の良薬」。興奮する患者をなだめるのも、医師の腕の一部。愛想がいいとは言えない医師が、やっかいそうな患者を任された。その真意とは…。二重の企みがあるとだけ、書いておこう。その知識は、もちろん僕にもなかった。
本作の一押し、「涙の成分比」。医師である姉と、バレーボールの代表選手である妹。残酷な運命のいたずら。姉は、妹の願いを聞き入れなかった。姉へのわだかまりが、完全に感謝に変わる日が、いつか来る。来てほしい。
「小医は病を医(なお)し」。幸運にも、心筋梗塞から生還した男性。運ばれた病院の同室にいたのは…。偶然とはいえ、彼の真の病が取り除かれ、ほっとしたのではないか。中医はもちろん、大医など滅多にいないものだ。
「ステップ・バイ・ステップ」。こういうミスは、実際にもよく聞くけれど、わかった時点で正直に言えばいいのに…というのは一般人の感覚なのか。発想も短絡的なら、告発方法も回りくどい。続く「彼岸の坂道」も、うーむ…医師一家に生まれるというのは、大変なんだろうけど…。
最後の「小さな約束」も…確かに、歯止めは必要だ。だからといって、このように逆手にとるとは。後半3編については、長岡さんの描く医師像に、違和感を感じた。ミステリとしてはともかく、医療ミステリとして読むのは、得策ではないかもしれない。
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長岡さんの本は「傍聞き」と「教場」と「赤い刻印」しか読んでないけど、トーンは同じような感じですねー。
悪くはないけど、特にどうということもないような・・・って、これじゃ前回とおんなじ感想やんっ!www
短編6作から成っている1冊だけど、いわゆる医療ミステリーってのとはちょっと違う感じ。
私は「彼岸の坂道」がよかったかな。
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医療界を舞台にした短編集。どれも良いのだが、これといったのがないな。
2016.11.5
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短編集。6編。
医療界を舞台にしたミステリーだが、医療そのもののではなく、人間心理に重点が置かれている。
ラストはどれもハッピーエンドというより、もの哀しさを感じさせる。「嘘」が嫌味にならずに使われて、人間のよさをうまく描いている。
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医療ミステリ短編集。でも医療そのものよりも、人間の心理に重点が置かれている印象の物語です。そしてたわいのない会話の中にも、伏線がこれでもかというほどどっさり仕組まれていたのに驚かされました。あれもこれも、ラストにこれほど綺麗に繋がってくるだなんて!
お気に入りは「最後の良薬」。これが一番予想がつかない結末でした。でも読み返してみると、確かに……!
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(図書館本)医療にまつわる6つの短編集だけれど、それぞれに何故だか暖かみを感じる。ただ単に病気を怪我を治すという医療現場を描いたのではなく、そこで働く医師及び患者の細かい心の動きや心情を鋭く描いた作品になっている。
ラストの「小さな約束」にタイトルの「白衣の嘘」がよく表現されていると想う。自分の犯した罪を隠しながら、愛しい人に自分の臓器を提供するために、自殺より事故を模倣して弟を目撃者にさせるというストーリーは心打たれる。ただ、近親者の臓器提供は法律上できないという事も初めて知った私としては、もう少し勉強しないといけないなあと想った。
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病院を舞台にした様々な趣向の短編が6篇。読者を試すかのような伏線,そこから周到に仕組まれた謎解き…。「うまい!」と思うが後味は良くない。読み疲れするのは自分だけかな? 欠かさず読んできた作家さんだが途中で断念。
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医療系の短編集。
久坂部羊、帚木蓬生などの作品が好きなので、それに比べるとサラッと読めて深さがない。
けれど、医療系を読み慣れてない人にとっては、グロテスクな描写などはないので、読みやすいのかも。
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医療がテーマの短編6編。それぞれのお話には救いがあって読後感も良好です。特に最後の「小さな約束」は爽快でした。
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短編集で、サラッと読めた。が、なんかそれ以上でも以下でもない感じでした。「ステップ・バイ・ステップ」「彼岸の坂道」はよかったかな。
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医療を舞台にした短編集。最後の良薬は、嫌がらせをする終末医療の患者を担当することになった医師の驚きの結末。事故に巻き込まれた姉妹の涙の成分比など、全てがスッキリ終わるわけではなく、そこはかとない心情が残る。
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医療現場を舞台にした、医療従事者たちの周りに起こった事件などを紐解く短編集。どの話も軽い感じで読みやすかった印象。その中に、病院に関する事件の起こった背景を医療関連などから紐解き、謎を解決していく。関わりのある人々の心情なども事細かに表現されていて、病院の特性からも、病気から見えてくる苦しみ、それで亡くなってしまった時の家族の悲しみ、回復した時の本人や家族らの喜びも表現されている。バレー選手と姉との話で、病気により、後ろ向きになった自分が、姉が亡くなり、遺志を継ぐのに医学部に入り、前向きになった姿が良い。