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○ 総合評価 ★★★☆☆
〇 サプライズ ★★★☆☆
〇 熱中度 ★★☆☆☆
〇 インパクト ★★★★☆
〇 キャラクター★★★☆☆
〇 読後感 ★★☆☆☆
放浪の数学者十和田只人が名探偵役を務める「館モノ」ミステリ。驫木煬という天才建築家が設計した眼球堂という建物に,各界の「天才」が集まる。眼球堂の作りは図面も用意されているが非常に特異なもの。辺鄙な山の斜面に度肝を抜くデザイン・スケールで建てられている。その眼球堂に集まった驫木と十和田以外の天才は以下の4人
○ 深浦征二
フロイト直系のひ孫弟子で精神医学界では世界的に有名な学者
○ 三沢雪
日本を代表する画家
○ 南部耕一郎
ノーベル賞を受賞した物理学者
○ 黒石克彦
政治経済学者,弁護士。政治家。政界の若きフィクサー
そのほか,十和田只人のアシスタントという位置付けで眼球堂に同行したルポライターの陸奥愛子。眼球堂の使用人の平川正之。驫木煬に心酔する編集者の造道静香。眼球堂には9人の人間がいて,連続殺人事件が発生する。
最初の「事件」は,150ページほど読み進んだところで発生。驫木煬の「死体」が高さ10メートルのポールに突き刺さって,「モズのはやにえ」のような姿で見つかる。驫木煬は本当に死んでいるのか。それとも驫木煬による悪戯なのか。そもそもどうやってこのような状況を作り出したのか。推理合戦が始まる。この推理合戦は各界の天才が集まっているわりには陳腐なもの。このミステリの欠点は,各界の天才が集まっているという設定の割に登場人物がいずれも平凡で天才っぽさが全く表れていない点だろう。
続いて,270ページほど読み進んだところで,黒石克彦と南部耕一郎の死体が発見される。二人の死体は吹き抜けに墜落していた。この段階でクローズドサークルものにありがちな「未知の侵入者」探しが始まる。未知の侵入者は見つからず,翌日,376ページほど読み進んだところで陸奥愛子が三沢雪と深浦征二の死体を発見する。430ページ過ぎたところで,いわゆる「読者への挑戦」が挟まれる。その読者への挑戦状は「問 以上の境界条件に基づき,眼球堂における殺人事件について次の問いに答えよ。「1 どのようなトリックが用いられたのか示せ。」,「2 殺人の実行行為者となった人物を示せ。」というもの
432ページ目から,第5章において十和田只人による推理が始まる。推理のポイントは「眼球堂は不動のものとしてそこにある。」を疑うというもの。すなわち,「眼球堂は動く。」。眼球堂の回廊は回転する。黒石と深浦は,回廊が回転したため,自分の部屋に入ろうとして開けたドアから,吹き抜けに落ちて墜落した。そして,眼球堂のもう一つの秘密を解き明かす。眼球堂は山の北の斜面に存在し,かつここが湖沼地帯であり,山頂と山麓に大きな湖を有する。眼球堂は水が一杯に溜まる。驫木煬を高さメートルのポールに突き刺すのも,水が十分に溜まっていれば泳いでポールまで行けるので可能。そして泳いで眼球堂の建屋まで侵入していた。眼球堂は大理石なので水に濡れているこ���が分かりにくかった。犯人はどこに隠れていたのか。眼球堂のもう一つの秘密。眼球堂には盲点がある。盲点として隠れている柱に,真犯人である驫木煬が隠れていた。十和田は盲点となる場所に向かい,驫木煬の死体を発見する。
エピローグ。エピローグでこれまで読んでいた部分が「陸奥愛子」作の作中作であったことが明かされる。エピローグで十和田は,陸奥愛子が驫木煬の子ども=娘である善知鳥神で,驫木煬の共犯者だったと指摘する。「MUTU AIKO」は,「UTOU KAI」のアナグラム。作中作には,視点の変更(2日目の夜と3日目の夜に三沢雪の視点に移る。)や「真実…」で始まる陸奥愛子=善知鳥神の本心が描かれる。驫木煬と善知鳥神の共犯関係は,むしろ善知鳥神がメイン。善知鳥神が計画をした犯罪だった。
率直な感想として,もっと面白くなりそうだったのにならなかった作品ではないかと感じた。眼球堂という,あまりにも大掛かりなトリックのための館の存在。エピローグで明かされる陸奥愛子=善知鳥神=真犯人という真相。いずれもうまく描写していれば,もっと面白くなったと思う。クローズドサークルものなのに,サスペンス感が弱すぎる。2人ずつ死んでいくということもあるが,全体が冗長でサスペンスを感じる死体発見部分があっさりしすぎ。人間が描けておらず,せっかく,各界の天才がそろっているという設定なのに,それぞれの「天才」がさっぱり天才に描かれていない。生き残った人のパニックぶりもそれほどでもない。文章が稚拙でサスペンス感が薄いと言わざるを得ない。真犯人が陸奥愛子であるという真相のサプライズもとって付けた感じになっている。全体が冗長過ぎるからだろう。犯罪が起きるまでをもっとコンパクトにまとめていれば,違った印象になったかもしれない。
眼球堂の存在は面白い。「斜め館の犯罪」の「斜め館」のようなこの作品のトリックを成立させるための館。東川篤哉の「館島」も似たようなトリックではあったが,このバカミスチックなトリックは結構好み。話が冗長でやや退屈。熱中度は低い。キャラクターも,十和田只人と陸奥愛子がややステレオタイプ。各界の天才はさっぱり天才に見えないと難点あり。総合評価は★3で。
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ボリュームのあるページ数と、数学的な事が難しくて、理解・推理していると、なかなか読み進まない。だけど面白い!ラスト30ページはゾワっとしました。
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うーんなんだかよくわからない話だったな。
登場人物に感情移入できなくて…
シリーズものだけど、もう読まないかな。
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文系の私からしたら、未知の世界との遭遇のような理系単語がぞろぞろと。
分からない単語は一つ一つ調べたので、読むのにすごく時間がかかった思い出が。
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動機がよくわからない。
トリックもよくわからない。
回転したら小さい窓に落ちるの?
泳ぐ?
それでたくさん天才を殺したら神になれるのか。
なんで勝敗つけるのかよくわからん。
途中まではワクワクしたから星4つ!
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最後まで読んでしまうのはミステリーならでは。ただ答えが知りたい。というか取り敢えず答えだけでいいので…最後まで読む。でも、それ以外の面白みが残念ながら薄味。うーん、ドラマにするなら、30分位でオムニバス物のひとつとして、深夜のながら見に丁度いい作品かな?
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大きな建造物、密室トリック。
動機なんて些細なことで、具現化出来て実現できる、それが天才なんだなって思う。
え、これで終わり・・って物足りなく感じたけど、エピローグで大満足しました。
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シリーズものなので全部読みましたが、
あんまり面白くなかったかな。。
シリーズを通して殺人トリックが特殊な建物の構造ありきなので、推理を聞いてもあんまりスッキリしなかった。
登場するキャラクター設定は良かったと思う(ラスボス以外)
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眼球堂が円ということで、トリックは想像できましたが、大どんでん返しでしたね…
個人的には好きなジャンルではありますが、評価は高くないのですよね
取り敢えず、シリーズは揃えようと思います
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大どんでん返し!
正直、導入はなかなか惹き付けられるものがなくて「う~ん。」ってなりかけたけど途中からの加速度がすごい。解決編に向かいぐんぐんと十和田のキャラクターも魅力的に見えてくるし、そんな仕掛けが!ってなるし。そして、そんなに謎解きが得意じゃなくても「解けそう」なところがまた嬉しい。
・・・けれども。あとは、読んだ方がいい。
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年に数回、コテコテの推理小説が無性に読みたくなることがあります。
その衝動に駆られて今回手にしたのがこちら。
いかにもミステリー調の装丁が気になっていたのと、程よい厚さで読み応えがあるかなと思い特に前知識なく購入しましたが、読んで正解でした。
私はミステリー通というわけではなく、話題の作品をつまみ食いする程度のミーハーですが、解けそうで解けない絶妙な見せ方、そして最後まで予想を裏切る展開に引きつけられてイッキ読みでした。
探偵役の数学者・十和田のクセのあるキャラクターにも愛着がわき、とりあえずシリーズの次の一冊は読んでみようかな、と思います。
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館モノ、大好き。でもこの眼球堂の殺人は今まで読んできた館モノとは全然違った。要素盛りだくさん!
数学や建築に疎くても、文章が読みやすいので全然苦にならずに読み進めることができました。
それにしてもオチが最高。
堂シリーズ、他の作品もぜひ読みたい!
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初周木。森の民として——まさか萌絵ちゃんと四季博士がフュージョンするとはね…。著者は森博嗣先生からかなり影響を受けていると思われる。文庫のグレー、キャラクタ、世界観など…。とりあえず第二作『双孔堂』も読まなくては!星三つ半。
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蘊蓄が多い割に読みやすいので+☆1個。
大どんでん返しと、感想がちらちら見られたけど、そうかなぁ??
好みの展開だけどね
似たようなトリックを読んだことあったのと、建築物ミステリーの大作を読んだばっかりだったので、びっくりが薄味になってしまった
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なかなか面白かった。同じような作品で一度挫折してたけど、今回は読み切れた。この後のシリーズも、楽しそう感じ。たのしみです。