紙の本
実際の事件から立ち上がる物語
2022/11/15 08:18
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際に起きた事件に驚かされることが多い。
しかし、その事件が何故起きたのか、起こした人はどんな人生を歩んでいたのか。被害に遭った人、周りの人はどんな人生を歩んでいたのか。
私たちには分からない方が多いし、いつの間にか事件のことも忘れてしまう。
吉田修一は小説家としての能力を発揮して物語を立ち上げた。
5編の短編集。
真実ではないと思われるが、それぞれ読み応えがある。
少しの思い違いが原因でもあり、起こすしかないところまで追い詰められたような人がいたり。
平穏に生きている人生にも、何処かで犯罪に進んでしまうような、知らない岐路があるのではないかと恐ろしくなる。
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実際に起きた犯罪を元に作られただけあってものすごくリアルです。
青田Y字路、どこかのアンソロジーかなんかで読んだことある気がするんだけどな、思い出せない…
すごく面白かったのは曼珠姫午睡。あの木嶋佳苗被告の話を元にしてるそうですね。読んでてすごい興奮した。そっと覗き見してるような気にもなるし、自分のどこかに思い当たる何かがあるような…ゾワっとした厭なものがどろっと出てくる感じ。
あと先月マカオでバカラやったばかりなので百家楽餓鬼も面白かったです。
どれも読み応えたっぷりでした。
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それぞれが過去の実事件をモチーフに構成された短編集。
うーん期待が強かったかな。
最初の話以外は、各事件の記憶が思い浮かぶが、犯人が犯行に至った心理や背景を、それほどには入り込めていないと感じる。
短編だから限界があろうが、何となく自分でも想像できる範囲内であったことが残念。
その中でも、山奥の限界集落における村の大量殺人事件は、興味深く読めたが、それでもそういう村人達のある種特殊な感情なりをもう少し判らせて欲しかった。
横溝正史と比べるのは酷かもしれないが、横溝氏の描く集落の姿は凄いなと改めて感じた。
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吉田修一の魅力である「形容しがたい感情を言葉に出来ない感覚で味わう」というものが、よく解る短編集。最高傑作かどうかは判らないけど『悪人』『怒り』と続いてきた「感情」が明確に表れてきてるのがよく解る。
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実際に起こった犯罪をもとに書かれたという「犯罪小説集」
事件が起きるまでの犯人や周囲の人々、状況などが淡々と書かれており、実際の事件がベースにあるせいかリアルだった。
追い詰められていく様が分かるというか…。
何だか週刊誌のような感じ。
短編集なのでもっともっとそれぞれの話を掘り下げて読みたいとも思った。
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実話のような、淡々とした展開。こうして事件がおきていくんだな、と深く頷けました。最後のストーリーが印象的で、うまい構成だな、と思いました。吉田先生のサイン会にこの作品で参加できました。先生の作品読むにはパワーいります、と伝えることができました。先生からもそうでしよ、と同意いただいちゃって嬉しかったです。
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色々な犯罪を取り上げた短編集。
実際にあった事件をなぞっているとも聞いたけど、なんとも救われないモヤっとした物がどれも心に残る。
でも救われなくて当然。
だって犯罪がテーマの短編集だから。
だれが犯人で謎はこう解決して…と言うような話ではなく人の心理の黒い部分がリアルに書かれていて止まらなくなる。
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あまり語られることのない犯罪の裏側、そこに至る過程を深く掘り下げる。
どこでボタンを掛け違えたのか、どこで人間関係に綻びが生じたのか。
まるで自分のことのように、後悔にも似た読後感が残る。
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愛と欲望、夢と挫折、堕ちていく男と女……。
実際に起きた事件を基にして、犯罪者と、そのまわりにいた人々を描いた短編集。
普通の人も、環境によっては犯罪を犯してしまうのかも。
犯罪者に落ちなければならなかった、普通の人の、心の歪んだ脆さのようなものを突き付けられた感じ。
1編1編、読むのにめっちゃパワーが必要でした~。。。
実際の犯罪をこういうふうに書ける人が「悪人」や「怒り」を書いたのだなぁ~、という読後感ですw
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実話を元に作られた短編集。いつもながら、何げない日常からの殺人犯までの道程が自然である怖さ、流石だなぁと感心。でもやっぱりずっしりとした長編が読みたいな。オリジナリティーないし、
やっつけ仕事みたい。
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第一話 少女誘拐の男
第二話 同級生が殺人犯の女
第三話 バカラにはまった男
第四話 限界集落の男
第五話 プロ野球選手だった男
哀しい5つの物語。
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実際にあった事件を元にした犯罪小説短編集。どちらかというと犯罪者の視点からの描写の多い。その話も何とも言えない哀しさが残る。
犯罪には様々な背景や事情があるものの誰も幸せにはしない。
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実際にあった事件を元に、犯罪に至る過程を描いた短編5つを集めた作品集。
マカオのカジノにのめり込んでいく大手企業の御曹司、バブリーな生活から抜け出せずに落ちぶれていく元プロ野球界のスターなど、フィクションとわかってはいるものの、やはり活字を追いながら当事者の顔が浮かんできてしまう。
『悪人』『怒り』もそうだったが、なぜあの人が犯罪を、という直接的な動機をあえて明らかにせず、巻き込まれていく周囲の人たちの視点から語っている。余白を残したこの距離感が絶妙だ。
歌舞伎に影響されたというタイトルは、しっくり来るものとそうでないものとがある。
どの事件にも共通するのは、破滅に向かう途中いくつも分岐点があったはず、ということだ。決定的な悪意はないのに、少しずつ何かがずれて転がり落ちていく。もしもあのとき本人が、もしくは周囲の人が……と思うとやりきれない気持ちになる。
過疎の村で、ふとしたことから村八分ならぬ村十分にされた男が追い詰められていく「万屋善次郎」が、哀しく恐ろしかった。
追記
カジノ解禁法案が強行採決で可決されてしまった。この作品にもあったけれど、泥沼にはまる人は少なくないはず。利益を得るのは誰? 今さらだけど、カジノ反対!
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2005年 今市女児殺害事件 台湾出身 骨董商手伝い
2009年 首都圏連続不審死事件 木嶋佳苗
2011年 大王製紙事件 カジノ
2013年 山口連続殺人放火事件 「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」村八分
2016年 清原和博覚せい剤取締法違反
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2016/12/3
罪を犯した人たちのお話。
なぜこうなってしまったのか、仕方ないと思う人もいれば、罪を犯す羽目になって可哀想に思う人もいた。
元の事件があるのでは?と検索してしまいそうになるくらい、リアリティがありすぎてなんだか気が塞ぐ。と思ったら実際にあった事件を題材にしてるみたい!気になる!