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従来とは異なる「街の評価方法」が必要なのはわかる。しかし、ひとつの市町村の中でも全く異なる地域があるので、統一した評価を下すのは難しいのはないだろうか。
私の住んでいる町がランクインしていないのが悲しい。良い街なのに。
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純粋に中立的立場で都市について世に提案
住みたいまちランキングは住んで幸せなまちとの相関関係が低い。
官能都市
人間の生身で工学的指標ではなく動詞で評価する。関係性と身体性の指標。
武蔵小山りゅえる 暗黒街
立場は関係ない。話の面白いやつとキャラのいいやつは人気者。立場をわきまえてスマートに飲むやつは嫌われることなく一定の陣地を確保。
再開発によって均質化が進む状況
車優先、道路拡幅、木造住宅の取り壊し、広い区画、高層住宅、高度利用
ルコルビュジェ、輝く都市、垂直田園都市
ジェイコブス、用途の混在、小さな街区
お互いよく知らない人間同士の緩やかな関係性こそが都市の本質
ヤンゲール
まちのことを、アクティビティ、空間、建築という順序で考えるべし。
センシュアスシティの評価軸
多様性が承認されるかどうかの軸
関係性
1 共同体に帰属している
地元、帰ってきたな感
2 匿名性がある
1人を楽しむ、自分の価値観で生きる自由
3 ロマンスがある
素敵な人がいて、出会い、触れ合う
4 機会がある
文化、経済的成功、人がリアルに交流
身体性
5 食文化が豊か
オーガニックなローカルフード
6 まちを感じる
ゆっくり眺める風景、人の活動
7 自然を感じる
心地よい風、触れる自然、星空
8 歩ける
通りで遊ぶ、寄り道
東京の順位が高い。文京区が一位
大阪も評価高い。北区が二位
ベッドタウン的な区や市は評価低い。
夜の評価方法がカギ
地方都市はアジアをみるべき
瀬戸内をエーゲ海に見立てる
センシュアスなまち
1 多様で雑多な飲食店
2 使い勝手のよいチェーン店
3 商店街やセレクトショップ
4 美術館やライブハウス
ジェイコブス
都市には極めて複雑にからみ合った粒度の近い多様な用途が必要で、しかもその用途が、経済的にも社会的にも、お互い絶え間なく支えあっていることが必要
ジェイコブスの多様性4原則
1 用途の混在、狭いエリアで
2 小さな街区、入り組んだ路地
3 新旧建物の混在、経済的選択肢
4 十分な密度、絶えない人通り
センシュアスシティの視点でみた問題解決
地方創生には都市の楽しさを
インバウンドには夜の楽しさを
空き家問題にはコンテンツリノベーションを
不特定多数の平等は機会損失
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作者が、再開発によって、いくつかの街が「消えゆく」現状に危機感を覚えていること、再開発後の街はどこも似ていて面白みに欠けると感じていることに共感。都市を考える際の新しい指標が示されており、これからの日本の都市を考える上での大きなヒントになりそう。
官能評価:感覚や情緒的経験をだれにでもわかる言葉で表現すること/日本の再開発はコルビジェの「輝く都市」という100年前に提唱されたコンセプトをもとに行われている/「ヴォアザン計画」はスポンサーが自動車メーカーで、内容も自動車に都合のいい内容/ロードサイドの計画は、欧米の都市計画をまねて開発されたもので、景観が似たものになりがち/「ヴォアザン計画」のような都市開発は、そぞろ歩きには退屈/官能都市の評価に「関係性」「身体性」の二つの軸を採用/「関係性」のキーワード:共同体に属しているか、匿名性・ロマンス・イベントなどの有無/「身体性」のキーワード:食文化、街や自然を感じられるか、歩けるか/「夜の経済」を含めた街づくり/海外で評価をされている都市は開発規制をされているところが多い/アメリカの都市でもサービスが経済の中心になりつつある/重視すべきは、付加価値を帯びた観光産業/地方が世界を相手にする発想/ まちで一番遊んでいる人の評価が高まる/一泊数万円で宿泊する層がくるようなまち/センシュアス度が高いほど、多様性がある/ジェイコブズの 4原則①混合一時用途の必要性②小さな街区③古い建物の必要性④密集の必要性/「連担建築物設計制度」で区域全体を一つの敷地として扱い、幅員を広げず地域の不燃化//
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都市ランキングというものは多々ありますが、本当に住みたいまちはどのような所か、ということを新たな視点で集計をとり、その結果を考察する一冊。これまでのランキングが、施設などの数値をもとに点数化していることが多いため、実際の住む人の行動をもとに指標化するのは、興味深い内容でした。
一方で、このランキング上位は、都市部が多いため、それをどう捉えるかはあると思いますが、様々なランキングの結果を踏まえた都市を検証することが必要です。
▼都市に人口が集中するのは先進国に共通の傾向で、世界の経済発展とともに人間は今後ますます都市に住むようになると予想される。
▼いったいなぜ人は都市に集まるのか。都市に住む魅力とは何か。そもそも、そのように人々を惹きつける都市とは何か。
もっと単純に自分がどんな場所に住みたいかを考えてみると、都市という場所の本質や都市のことを考える意義が見えてくる
▼『Sensuous City【官能都市】』
・「官能」の本来の意味は「感覚器官の動き」。「感覚の」「五感の」「感覚を楽しませる」「五感に訴えかけるような」
・「官能都市」が意図するのは、人間の生身で都市を評価してみようという目線
▼ジェイン・ジェイコブズが発見したのは、お互いよく知らない人間同士の緩やかな関係性こそが都市の本質であるということ。それを育む「用途の混在」や「小さい街区」として知られるストリート性が都市の魅力の源泉であるという、21世紀の都市論を方向づけたコンセプトにつながった
▼今日本中で進む都市の均質化は、およそ百年前の思考(ル・コルビュジエ型の「ヴォアザン計画」「垂直田園都市」)を後生大事に掲げる都市計画の後進性がつくりだした
▼都市生活者のアクティビティ、基本的な活動を測るための指標(=「都市に生きている」とはどういうことなのかを考えること)
①「不特定多数の他者との関係性の中にいる」こと:関係性
②「身体で経験し五感を通して都市を知覚する」こと:身体性
▼センシュアス・シティ・ランキングの指標
-関係性の4指標
①共同体に帰属している②匿名性がある③ロマンスがある④機会がある
-身体性の4指標
⑤食文化が豊か⑥街を感じる⑦自然を感じる⑧歩ける
▼ジェイコブズの都市の普遍的原理
『都市にはきわめて複雑にからみ合った粒度の近い多様な用途が必要で、しかもその用途が、経済的にも社会的にも、お互い絶え間なく支えあっていることが必要』
→「ダイバーシティ(多様性)の受容」
▼ジェイコブズの都市の多様性を生み出す4原則
原則1:混合一次用途の必要性
原則2:小さな街区
原則3:古い建物の必要性
原則4:密集の必要性
▼センシュアス度の高い都市の4原則
原則1:住宅、オフィス、商店、飲食店が狭いエリアに混在している
原則2:入り組んだ小さな路地が多い
原則3:古い建物と新しい建物が混在している
原則4:いつも人通りが絶えることがない
→およそ50年前に提唱さ��たジェイコブズの4原則の正しさはセンシュアス・シティの特徴として検証される
<目次>
第1章 フォーマットが先行する日本の都市計画
第2章 センシュアス・シティ・ランキング
第3章 センシュアス度で全国のまちを測る
特別座談会 新しい評価軸としてのセンシュアス(林厚見×木下斉×島原万丈)
第4章 センシュアスは幸せの実感値
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都市を官能評価するというのは面白い試みだと思った。文京区がぶっちぎりの一位というのは、ぱっと見以外だったが理由を読むと納得。実際に住んでいる人の住んでみての評価と照らし合わせても、官能評価が実態を表していることがわかる。ただ、この評価基準を都市計画としてどのように落とし込んでいくのかはすごく難しいように思う。
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メインは独特の観点からランクづけされた都市比較と詳細かつ具体的な解説だろうけど、とても興味をはひかれたのは、ナイトタイムエコノミーに関する考察。
超・個人的には「夜は寝るもの」だけど、先進国の現代社会では大きな金額が動く、無視できない要素だろう。夜の経済に正面から取り組む「ナイトメイヤー制度」とイギリスの「パープルフラッグ認定」、日本も参考にしたらいいと思った。カジノだけがIRじゃないよなあ。
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ホームズ総研は、2021年9月に「地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論」というレポートを公表しており、地方創生の成功には寛容性が重要であると主張されている。ということを知りつつ図書館で発見したので読んでみた。
本書は2016年の発刊なので、今から5年前でちょうど地方創生が始まったころである。ここで扱っているのは、住んで幸せな町について、既存のさまざまなランキングはハード先行でアンケートがとられていることに疑問を持って、「官能性=センシュアス」を重視したランクづけを行っている。
それはそれで面白いと思いつつ、結局はひとそれぞれ重視するポイントが違うので、そんな町の官能性を求めない人もいるだろうなとも感じた。「住んで幸せ」はかなり個人差があるので、どんなランクをつけても賛否両論だろう。
巨大団地をよしとする考えがコルビュジェ的なものであり、海外ではジェイン・ジェイコブズが考え方を変革することで人間同士の緩やかな関係性こそが都市の本質という考え方にシフトした、というのは興味深かった。
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従来の住みたい街ランキングは都市のハード面、特に商業施設や公共施設の数・規模を基準としていたが新たな指標を打ち出した、とのこと。用途指定やコルビジェをベースにした高層マンション、歩車分離した大通り、広い公園へのアンチテーゼも含まれており、思いの外読み応えがあった。東京五輪を契機にインバウンドの視点によって都市が再評価され、センシュアスさが恒常的に指標に加えられるような未来があればよかったのだが、昨今の情勢によりその機会が失われたことは残念に思う。欲を言えば、東京、横浜、大阪以外の都市も行政区やより細かな地域毎のデータを参照できると、地域性や多様性がより深く感じられたのではなかろうか。