紙の本
バランス
2011/10/30 16:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルには「大局観」とあるが、最初から最後まで、これについて書いてあるわけではない。
勝負事で必ず直面する事(挑戦すること、練習、負ける事、運など)について考えた事をまとめたものになっている。
この本には「新しい考え方」といったものは出てこない。
それに「大局観」さえあれば、すべてOK、といった主張もしていない。
昔から言われているような泥臭い事ばかり言っているので、ある種の人には「期待外れ」かもしれない。
ただし、その「泥臭い事」の結果、輝かしい成績を残している、という事実があるので、一言に「重み」がある。
印象に残るのは、タイトルにもなっている「大局観」
相手の手を読み、自分の手を考える事を突き詰めていくのは大事だが、それをやりつつも、そこから離れ、全体の流れを掴む。
「木を見て、森を見ず」に陥るな、ということだが、「木」は見ない訳にはいかない。
「木」と「森」を見るバランスが大事なのだが、そのバランスは経験を積まないと分からないのだ。
ただし、経験だけ積めば「大局観」は育つか、というとそうでもなく、客観的な振り返りが必要。
注意しなければならないのは、この「振り返り」は「後悔」ではない。
「振り返り」が「犯人探し」や「懺悔」の場になってしまう事がどれだけ多いことか。
凡人が一流の人のマネをしようとすると、似て非なるものになりやすいのだろうか。
電子書籍
自分は
2019/06/20 07:14
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
体操クラブに通っているが(といってもサボりがち)ある時
「他人に勝つのではなく、己に打ち克て!」と書いた服を着ている人がいた。本当に強い人は、やはり自分に負けない。そして勝つではなくて打ち克つのだろうな。
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将棋棋士 羽生善治氏による「大局観」をテーマに書かれた一冊。ここ半年で羽生氏を題材に書かれた本を読むのは四冊目である。毎度、毎度、こうして羽生氏関連の本に魅かれるのは、氏の持つ類まれな「自己説明能力」ということに尽きるのである。
本作における最大の特徴に、事例の多彩さということが挙げられる。これまでの羽生氏の本では、ビジネスマンに有用な話材においても、説明は将棋盤の上を逸脱せず、あとは察してくださいというスタンスが見受けられた。しかし本作では、「今北純一」「アポロ計画」「動的平衡」「視聴率」「ハゲタカ」「松下幸之助」「長嶋茂雄」「手塚治」「空海」「アバター」「ジャック・マイヨール」「マーク・ブキャナン」「ブラックスワン」など、説目に使用されている題材が、実に多岐にわたる。羽生氏自身が執筆する著書も、ここ半年で三冊目。インプット/アウトプットともに充実している様子が伺える。
◆本書の目次
第一章:大局観
第二章:練習と集中力
第三章:負けること
第四章:運・不運の捉え方
第五章:理論・セオリー・感情
特に注目なのは「知識とは」というテーマで書かれている部分である。情報社会と言われ、洪水のように莫大な量の情報や知識とどのように対峙するかということに言及している。情報や知識を無数の食材に例え、まず捨てることが肝要と説く。これは多い選択肢の中から選ぶ方が後悔しやすい傾向にあるからだそうである。そして、新たな料理が作れるものを拾いにいく。いわゆる「大局観」とは、空間上に広がる情報の集約化を、素早く、完成された料理のように捉えられること、また、その後の局面を文脈として見据え、時間軸にも広げられることのようである。
「大局観」では常に「終わりの局面」をイメージするそうである。そんな羽生氏も、棋士人生としての「今後の局面」については、常に無計画、他力志向と宣い、突き詰めると「結論なし」というところで、本書を締める。棋風さながらの終盤に繰り出す妙手。まさに、「羽生マジック」である。
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将棋の棋士が書いた書籍は面白いのでよく読みます。その中でも羽生名人の本は読み易いと感じます。当書籍も大局観なる概念を例えを多用し、分かり易く解説されています。書中でも触れられていましたが、受け手のことを考えて書かれているのでしょうか。
『情報や知識はしばしば創造に干渉する』と書かれていましたが、なかなか常人には干渉するほどの知識量はないはずで、間に受けては……、と思うのですが、だからこそ、羽生名人だから知り得る感覚を本を通して知ることが出来るのが、読書の良さでしょうか。
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羽生名人の著作は将棋指南書を除き全部読んでるなあ。この方は文章も理路整然としていて読みやすく、そしていろんな事に気付かされる。あの伝説の2008年竜王戦から振り返り、現在の棋士としての自分を分析されているので、将棋ファンにはもちろん面白く、またそこからビジネスや人生においても通用する様々なアドバイスをもらえる。おすすめの一冊です。
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大局観とは?具体的な手順で、考えるのではなく、文字通り、大局に立って考えることである。パッとその局面をみて、今の状況はどうか、どうするべきか判断する。大局観は、多くの経験から培われるもので、自分以外の人間の過去のケースをたくさんみることでも磨かれていく。大局観は、その人の本質的な性格や、考え方が、とても反映されやすい。
勝ちに不思議のがちであり、負けに不思議の負けはなし。
スマートではないかもしれないが、もがき続けて習得したものは、忘れにくい。
リスクを取らないことが、最大のリスク。
集中力をより深くする方法のひとつは、可視化が難しいテーマについて考えること。
習うより慣れろ!
千里の道も一歩からというように、ひとつひとつの小さな積み重ねによって目標に到達できる。そしてその繰り返しのなかにこそ、大きな真理がある。
情報化社会を上手に生き抜く方法は、供給サイドに軸足を置くこと。
必要な情報、知識というのは、日々刻々と変わっていくものなので、大胆に捨ててしまい、必要なタイミングで拾いあげればいい。
人間の究極の強さとは、ツキを超越すること。
真面目にコツコツと積み重ね、真面目に不要なものを捨てるという作業を繰り返していく先には、深遠な真理がある。
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将棋の話にも関わらず、生き方、働き方について多くの示唆を与えられた。経験を積むに従って得られる大局観。これがあるから、今の状況を理解でき、この場面でどういう手を打つべきかが理解できる。
ツキに対しての所感は秀逸。ツキを持続するためには、後ろめたいと感じることはしないこと。更にはツキなど気にしない強い気持ちが大切。
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プロ棋士生活25年、公式対局千五百局以上を戦い、四百局負けたという羽生善治さん。今も進化し続ける羽生さんが、冒頭いきなり「史上初の三連勝四連敗」から語り始めることに驚いた。棋士にとって大切な資質の一つが「打たれ強さ」だという。「四百局負けたということは四百以上の改善点がある」と語り、長い時間の流れの中で「負けることの意義」や「リスクを冒すことの大切さ」を説く。勝負の結果に一喜一憂しない大局観を持つことが、歳を重ねてなお成長する秘訣であると、企業経営にも通ずる内容。
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羽生さんは、自分の意志が強くどちらかというと頑固な方なのかと思っていたけど、ヒトや、環境の変化に寛大な方だと思った。本質的なものを突き詰めるためには、事実を受け止める余裕と、自分を省みる真面目さが必要なのかなと思う。
真面目は、宋時代の詩人、蘇東坡の「柳は緑、花は紅、真面目(しんめんもく)」から来ている。「当たり前のことはあるが、真面目とは表面的なことに留まらない本質的な意味を知る、理解する。」だそうだ。
直感と閃きの違いの話も面白かった。
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羽生名人が無敵を誇っていたのは、高校生のときくらいだったか。
(実際は今も最も強い棋士の一人であるわけだが。)
人生に対する考え方などを書きつづる。
同じ文章でも羽生名人のような人が書くものでは、説得力というか、含蓄されているものが違う。
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著者の前著「決断力」を読んでから本書を読むことを勧める。
前著からの心境、価値観の変化を感じさせる。ユーモラスになり、より深く深くへと潜っていく。
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いつも注目している羽生善治名人の考え方の一端を覗える新書。
物事を合理的に突き詰めて考えるというよりも、人生の総合力を問われる見地にて選択・判断を下すということである。そのためにはリスクとのつき合い、挑戦する勇気、感情、ミスを犯した場合など人生を鍛える言葉に満ちていて、超一流のアスリートの言葉だけになるほどなあと思える部分は多い。
自分として特に共感した部分は、選択肢を広げ過ぎず、あえて可能性を落とせという話と、「合成の誤謬」の話です。前者はいわゆる仕事がデキる人のバロメータの1つだと自分も思っていたので、賢い人はそうなんですよね。後者は、合理的な判断の積み重ねが必ずしも成功につながらない局面が世の中的にも自分の周りにもあることなので、自分としても最近着目しています。
ただ、本として本書はどうかというと、ひとつひとつの話はよくわかるのだが、例え話がハズしているように思えることが多々あるのと、話の要点がぽんぽん変わるので、論理的に理解しようとすればするほど混沌としてきてしまいました。(笑)まあ、天才の真髄を活字で理解しようとすることが無理ということなんだと逆に思いましたけど。なので評価は本としての評価点にしています。
加藤九段の繰り返しの話と、坂田三吉の端歩が「今にわか」った話は面白かった。
最近は渡辺竜王などの新世代に押され気味なのが心配であるが、これからも新たな境地でもって大いなる壁となって頑張ってほしい。
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羽生さんの経験から、ミスやリスク、直感や集中力といった様々な事柄について意見を述べている本。
選択肢が多いと迷う
無駄な読みを減らすのが大局観
リスクは冒すもの
集中力をたかめる方法
研鑽を積んで大局観を身に付ける
大局観によって「終わりの局面」が見える(見るようにする)
経験談は面白く、棋士には変わった方もいらっしゃるようで、そういった話はさくさく読める。
一方で、大局観についての記述は冒頭のみで、その他のアドバイスもちょっとありきたりかと。
しかしながらさくっと読めたし、以前の著作の「決断力」も読んでみようと思う。
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ほんと羽生さんという人は魅力的だ。この本もその表れのひとつ。大局観というと木より森、一隅より全体などとくくってしまいそうになるが、内容としては細部にこだわった先の到達点を示しているのだろう。
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I think and know that Yoshiharu Habu is a genius and it is regrettable that more than half was not understandable to me.
And it is nice for me to be able to understand partly what he said.
Above all, I was touched to read the passage "I'd like to make my life happy because I chose my career path of professional Japanese chess player".