男も女も大変です
2017/02/12 17:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:megu - この投稿者のレビュー一覧を見る
わかりやすいので、ジェンダーに関する本を読んだことがない人にお勧めの本です。
介護などの対人サービスの賃金が低い理由や、欧米と日本の性別役割分業の違いなどにも触れています。男性がクラブやキャバクラやメイドカフェに行く理由もわかりました。
以前、婚活パーティーに参加した時に、婚活パーティーでは男の価値は経済力、女の価値は若さだと痛感しましたが、この本を読んで、「やっぱり・・・」と思いました。
「らしさ規範」から逸脱しないように生きるか、異性にモテなくても「自分は自分」と思って生きるか、どっちにしてもしんどいなぁ。いつか「らしさ規範」が変わる時が来たとしても、その時は今と違う種類の人が生き辛くなるんだろうなぁ・・・など、いろいろなことを考えながら読みました。
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男女のモテ、非モテの非対称性を主眼に置いた分析を行っている。日本においては、男性は収入とモテに相関関係があるが、女性は相関性が低い。面白いのはイギリスではそのような調査項目が設けにくいとの点であった。収入とモテの分離に励んだが故のジレンマなのかもしれない。
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男性と女性とは、様々な場面で平等に扱われるのではなく、非対称な判断基準を持たれる対象である。性別の事故認識とは決して先天的に決められている者ではなく、その性別らしさを社会的な文脈の中で徐々に認識させられていくものである。自分が男性であるか女性であるかという、規範意識を証明するための様々な社会学的な行動を説明しているので、とても興味深い。ジェンダー論として深いところまでいかないかもしれないが、私たちが生活している中で表面化している性別の非対称性や悩みどころを分かりやすく分析してくれている。
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女性が男性的な行動を起こすことは許容されるのに対し、男性が女性的な行動を取ることは奇妙な目でみられるという非対象性の謎を、仕事能力に関するアイデンティティ(=「できること」)と性的魅力に関するアイデンティティ(=「もてること」)から考察した本。
男女の性自認の形成の在り方を、近代社会において子育てに関わるのは‘母親(女性)’であり、子供は母親と同じか否かという点において性自認を身に付けるという観点がとても面白かった。実際に子供が接する大人は圧倒的に女性が多いという現実において、フロイトの理論よりもよほど筋が通っていると思う。
また、女性らしさ/男性らしさというステレオタイプが消えきれないのは、女性らしさ/男性らしさというものが存在しているからこそ、それを真似るだけで性自認が容易になるからだという指摘も面白い。単純に女性らしさや男性らしさという概念を消してしまうのではなく、女性らしく/男性らしくありたいと望む人と、そんなジェンダー規範から脱却したいと望んでいる人が互いに認め合える世の中になっていければいいと思う。
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山田昌弘『モテる構造ー男と女の社会学』
「できる男」と「モテる男」は一致するのに「できる女」と「モテる女」は互いに独立関係という「非対称性」を社会学的に考察
本書を読むと、女性として生まれたことはラッキーだったかも、と思えた(性自認、チョロドー)
らしさ規範
近代社会のアイデンティティ問題
男性の性的アイデンティティの脆弱さ
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タイトルで買ってしまったが、内容は、きわめてまじめな社会学。「できる男はモテるが、できる女はもてるとは限らない」ということを、男女の非対称性を論じながら説く。じつは、ちょっとはモテたいと思って買ったが、この本を読んだからと言ってモテるようにはならないと思う。
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男は仕事ができてもてないともてることにはならないらしい。女性がもてることの前提には女性らしさが必要らしい。したがって、キャリアもあり女性らしさも求めらりる女性は生きづらいらしい。
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企業にいると、仕事がデキる=モテる の図式は
身に染みて感じる。
ただ、会社に肩まで浸かった男性って定年後は相当悲惨だと思うよ…
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らしさ規範を利用し、男/女に見られようとするのか。従うのではなく。男は「できる=モテる」だが女は「できる=モテるではない」という指摘はなるほどと思う。むしろできない方が女はモテる。マリリン・モンローが出ていた「紳士は金髪がお好き」を思い出す。あえてできないように振る舞うという処世術は確かに存在する。でも私は中性的なものが好きだ。だからか、過剰な女性性や男性性を感じてしまうものやそれにとらわれている人は苦手だ。
この本を読むことで改めてジェンダーについて考えることができた。
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キャッチーなタイトルとは裏腹に、中身はとことんがちな社会学の本。男/女が同性/異性を判断する際のクライテリアとは何か、そのベースになっている3つの社会規範とその非対称性。結果的に、できること(仕事能力)とモテること(性的魅力)の二大アイデンティティに集約される社会的課題が男女それぞれに与える影響など、根源的な解説にはじまり、女性の社会進出が活発になりつつあるニューエコノミーにおける趨勢や、フロイトやチョドロウとの関連にも触れている。日本とその他の国の違いに係るリーズニングには若干疑問が残ったが、その他は大変興味深かった。
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明らかに狙ったタイトルと帯
婚活時代というムーブメントをつくった当人が
その現象を俯瞰している感じ
端的にいってしまうと
男女平等が進んだからこそ
双方の求める理想像にズレ、齟齬が生じている。
というジレンマだという事を痛感。
それなのに一世代前の理想像にしがみ付いている
【良妻賢母、モーレツ社員】など
多様性を認める事は簡単ではないが
多くの人に理解を深めていってもらう事を願う。
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男は「デキる」=「モテる」だからとにかく仕事に邁進すればいいが、仕事がデキない男はモテもしないしとことん悲惨になる。女は「デキる」=「モテる」は成り立たず、それぞれの象限にそれぞれの在り方がある。あと、女性の68%が400万円以上の年収を望むけど実際には未婚男性の25.1%しか400万以上の年収がないそうだ。
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日経で見て 夢をかなえるゾウ的な オモロそうなものを期待したらあからさまにタイトルにつられた感じでおもんなかった。。
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キャッチャーなタイトルの割に中身は重厚な社会学のテキスト。同僚の方から勧められた一冊。山田さんの本を読むのは3冊目になるが、日本における男女の恋愛、家族観に対してとてもわかりやすく説明してある良本が多い。
端的に言うと、モテる男性はできる男性である。男性にとってモテることとできることはリンクしている。一方で女性の場合はできることとモテることの関係性は薄い。日本社会はこのバランスを社会に積極的に取り込んできた。結果、未だに男性優位な社会が多く、女性の社会進出は進まないと筆者は述べる(筆者はこれを前近代的と言っている)
生物学的にも男性は競争の生き物であるけれど、それがどの局面でも如実に現れる。結果、一部の持てる人間と、持てない人間が生まれてしまう。現代日本では賃金の低下、非正規雇用の増加により後者の男性が増加傾向にある。
女性の場合はできる女性でもそれがモテることに直結せず他の方面でのスキルが必要とされる。具体的には家庭的な面が強調される。結果、多様な生き方は許容される(キャリアの道、専業主婦、女性同士の共同体)が、男性のように仕事だけで評価されないジレンマがうまれている。
第7章 ケアは女性の役割か?は興味深く、ケア労働(看護師や保健師、介護士)は女性の割合が圧倒的に多い。それを自分は今までは社会的なバイアスがさせているのかと思っていたが、実際は感情が関わっているようである。女性からのケアは男女共に気持ちよく受けられるが、男性からのケアは男女共に嫌悪感をいだくというものだ。
感情が関わるということは生物的な本能や生存に必要な要素が関わってくるということだし、性区分といかに社会が付き合っていくかは本当に難しい問題だと感じた。
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背が高くてスポーツに優れている男性は女性に好かれる一方、背が低くて運動おんちであっても男性に好かれないということはない。できる男性は女性にもてるが、できる女性が男性にもてるとは限らない。本書では男女に関わる非対称的な感情に焦点を当てながら男女それぞれの生き難さを考察する。たとえば自殺率、ホームレス数、ひきこもり人数などは圧倒的に男性が多い。中高年の男性の自殺が多いのは、リストラや事業失敗などで、できると評価されていたその評価を失ったことが原因。近代社会における男性の生き難さは、彼らが「できなければモテない」という世界に生きることにある。常にできなければいけないというプレッシャー。女性より男性の方が生き難いというのは、このプレッシャーが大きな要因となっている。他方、女性には女性独自の生き難さがある。こちらの方もしっかり検証されている。男女それぞれのモテる構造を理解しがら自らの処世に活かしていきたい。