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日本のことをもっともっと知りたい。最近そう思うようになってきた。歴史の教科書や、歴史小説などを読んできたが、何か物足りなさを感じていた。
この本は、司馬さんがざっくばらんに歴史について語っている感じだけど、このざっくばらんな語り口が、自分に新しい視点をくれた。事実を客観的に伝えるのではなく、主観的に語る。そうすると歴史に温かみ(人間味)が感じられる気がした。
足りなかったものはこれなのかな、と感じさせてくれた本でした。
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歴史作家の司馬遼太郎が日本という、特異な「国のかたち」についてその持てる知識を駆使して語り尽くす。「日本人は思想はいつも外からやってくる」というエッセイに始まり、日本人を戦争へと導いた参謀本部についてや、日本特有の若衆宿について、「日本」を特徴づけるものについて述べている。
戦争の責任の多くを参謀本部のせいにしているのは少し偏った見方に見えるが、日露戦争後の民衆の暴動がその後の日本を破滅に導いた遠因の1つだとしている点は評価できる。現代社会にも大きな問題を投げかける民衆の問題はもっと追究
されるべき。
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全6巻読了。歴史から導く日本国家論、というか日本人論。昭和初期の「統帥権」についての考察が興味深い。目先の利益 ばかりを追い求めると国家は破滅に向かう。原発推進か脱原発か。司馬がもし生きていたらどっちだったろう。そんなことを考えながら読んだ。
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日本史の好きな人はたまらないと思う。
日本史の苦手な人も、もしかしたら引き込まれるかもしれない。
学校で習ったことだけではゼッタイに見えてこなかった、
だけど知ればとても面白い話ばかり。
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「独裁は日本人の気質にむかない」という見解はスッと入ってくる。
「君臨すれども統治(実際に政治を執行すること)せず」が日本人にとっての理想的リーダ像となっている。ただし、そのリーダには「人格に光がなければならない」。納得。
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私がはじめて読んだ日本人論。難しい部分もあるけど、何度も繰り返し読みたい本。東アジアの歴史も興味深い。
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司馬遼太郎は、
日本が今あるのは、どのような歴史的な形成として
成り立ったのかを 考察する。
国のかたちとは、権力のあり方、歴史、それを支える思想を
読み解こうとする。
思想は 外からやってきた。
仏教、儒教、カトリシズム、回教、マルキシズム、
実存主義など。
そもそも 思想は どのようにできるのか?
古代中国における家族主義が、孔子によって発展した。
大和政権は、古代日本の代表的な勢力となぜなったのか?
その国家のしんとして、『律・令・格・式』と考えた。
日本は、書物を輸入するために 命がけだった。
奈良から平安時代の遣唐使船。
平安末期は、宋学をとりいれた。
室町時代の倭寇貿易も 宋学を取り入れるためだった。
本で、中国の文化を学ぼうとした。
明治維新のスローガンが 尊皇攘夷だけ成り立つことに、
日本の革命のそこの浅さがあった。
攘夷思想は ナショナリズムを高揚させる意味があった。
尊皇攘夷の思想は 宋時代に形成され、日本に13世紀に入ってきたが、
光圀の想いが連綿とつながった。
その13世紀は 日本的な仏教が生まれ、彫刻のリアリズムがうまれた。
開拓農民の政権 鎌倉幕府が成立した。
中国の宋学は 朱子学として大成し、精密化された。
朱子学の理屈っぽさ、現実より名文を重んじる。
それが官学化された。徳川幕府は朱子学を官学とした。
荻生徂徠、伊藤仁斎が、朱子学の空論性を攻撃した。
明治政府が すんなりと決まったのはなぜだろうか?
その思想は 光圀の朱子学的な尊皇攘夷の影響を受けた。
日露戦争勝利から 太平洋戦争敗戦までの 40年は
日本史としては 異質な時代といえる。
司馬遼太郎は異胎の時代という。
海軍の増強。それが 自己増殖して 朝鮮を併合した。
なぜ 朝鮮を併合したのか?
なぜ 満州国を作ったのか?
その理由を、きちんと説明できるものはいない。
日露戦争がおわり、明治41年に、参謀部が 統帥権を持つようになる。
その参謀部が 満州で独自の動きをはじめる。
統帥権の無限性が 続いていく。
張作霖爆殺事件、ノモンハン事変 バカな暴走が続く。
日本であって、日本でない日本がなぜできたのか?
自らの体験と思索を通じて、明らかにしようとする。
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司馬遼太郎の日本人観コラム集、第一巻。おじいちゃんの隣に座って話を聞いているみたいで面白い。
「日本人は老荘を学んだわけでもないのに虚を上に頂きたがる」という指摘に共感する一方で、じゃあその虚が何なのかは自分でもよくわからなかった。老荘について知ればヒントになるのかも。
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司馬遼太郎による日本論。実際に戦争に参加し、その愚かさを実感したうえで、その時代がイレギュラーだったとして、レギュラーな「日本」とは何か?を歴史、宗教、学問等様々な視点から考えていく日本論の第一巻。
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いつも参謀本部のくだりで戸惑う。
他の章ではあんなに慈愛をもって歴史をみているのに。
このギャップは、冷静に戦中を見ることができていないことの証左だと感じる。
歴史の当事者とはいつでもそのようなものなのかもしれない。
でも本当に歴史から過酷な目に遭った者は、
当事者としての自分と客観的な自分とを遊離させているとも思っている。たとえば大岡昇平、たとえば高杉一郎。彼らの著述は冷静でギャップを見出し難い。
だから、司馬遼太郎の参謀本部のくだりは何か偽者の空気を感じるときがある。
でもそんなに悪いこととは思わない。
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司馬遼太郎が、雑誌「文藝春秋」の巻頭随筆欄に連載してきた文章である。
平安から近代まで様々な時代のさまざまな事柄にふれられている。その点はさすがである。
特に面白かったのは次の通り。
-「日本人はいつも思想はそとからくるものだと思っている」言い得て妙。
-数千年の文化と強烈な民族的自負心をもつ、韓国の独立を奪うことで、子々孫々にまで恨みを買うに至っている。
なるほど、と思った。
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「この国のかたち」づくるものに関しての随筆集。おそらく20年前くらいに読んだはず。読んだかどうか判然としないのは司馬遼太郎を読み過ぎているせい。
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面白い。日本の特徴、歴史的な歩みを、文化的、宗教的、教育的側面から記載している。
尊皇攘夷の起こりが、中国宋にあったこと。朱子学と結びついていること。
あとは、昭和の戦争、参謀に対する描写が面白い。第三話もよい。
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著者の小説ファンであれば既に語られている内容も多少あるように感じるが全作品を読んではいない自分としてはなるほどという内容が多い。まだ読んでない作品、既に読んだ作品も再読したいと思いました。著者の歴史観を通して日本、世界を改めて見直せる良著だと思う。次巻にも期待。
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国、日本人というものを構成するに至った歴史的背景を探るとともに、他国との比較なども含まれている。
そして、著者の私感や意見なども随所に折り込まれ、著者の取材と研究の素晴らしさ、ひいては「司馬 遼太郎」観の集大成とも受け取れる。
日本という国、日本人というものに対して、実は誠に浅薄な知識しか持っていない私達世代には、歴史書などよりも読みやすく、とても良い書籍だと感じる。