紙の本
江戸の食空間を分かり易く、また興味深く解説してくれます!
2020/03/26 09:58
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、百万都市として繁栄した江戸の多彩で華麗な食文化・食空間について解説した非常に興味深い一冊です。同書によれば、私たちが代表的な「日本食」として知っている天ぷらや寿司、蕎麦などは、かって江戸を埋め尽くしたファストフード屋台から転じたものである主張されています。さらに同書では、庶民の愛した江戸前の味、意外に質素な将軍の食卓、調味料や嗜好品がもたらした食の発展などがよく分かるように紹介されています。内容も、「第1章 江戸のファストフードのにぎわい」、「第2章 江戸の味の誕生」、「第3章 将軍の食卓、町人の食卓」、「第4章 大江戸グルメブーム」、「第5章 究極の料理茶屋、八百善」、「第6章 日本料理の完成」と、どれも興味深いテーマばかりです。
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江戸の食文化を考察する本。
屋台や料理茶屋などの町人文化の発展が今も続く日本料理店の礎となっているという構成。食文化の追求は特権階級の役目であるのが世界標準かと思っていたが、こと江戸については平民が中心となっている。貪欲な江戸の人々のエネルギーを感じさせる本
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江戸の食文化を扱った本なのですが、握りずしやてんぷらや醤油をはじめ、各職業層の食生活や江戸の水道事情、料理茶屋などなど扱う範囲は広く、気軽に読める程度に深いです。著者は食文化論と調理学が専門という事もあり士農工商を身分制度と誤解しているところはありますが、内容にはまったく影響はないので気になりません。時代小説を好む方にお勧めできる本だと思います。ストーリー以外にも楽しめる幅が広がるはずなので。食という面から江戸時代に接してみると、現代からそんなに遠い時代ではなかったのだなあ。と感じられて楽しめました。
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江戸時代に生まれた寿司や蕎麦、鰻の成り立ちや、下りものと呼ばれた酒や醤油などが関東で作られ始める様子がよくわかり、面白い。また、当時の食事の様子を再現しようと、幾つかの文献を手掛かりに庶民や武士、大名の食事が書かれている点は面白い。ただ、もっと当時の食事の様子が臭うようにメニューの様子がわかれば、もっと良いと思う。わからないことも多いと思うが。
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帯文(裏表紙):”多彩で華麗な江戸の食空間を読み解く。”
目次:プロローグ、第1章 江戸のファーストフードのにぎわい、第2章 江戸の味の誕生、第3章 将軍の食卓,町人の食卓、第4章 大江戸グルメブーム、第5章 究極の料理茶屋,八百善、第6章 日本料理の完成、エピローグ、参考文献、あとがき
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2012(底本1998)年刊行。著者は実践女子大学教授。◆ファーストフードが現実に登場した江戸時代の江戸。このように料理が大衆化した一方、かかる裾野の広がりが、会席料理・懐石料理などいわゆる上層の料理にも進歩発展を生み出した。本書は、その江戸期の大衆文化の拡大と、メインカルチャーの洗練化について、料理という観点から切り取る。◇実際「江戸期の料理」をテーマにした新書は他にも多数あるが、その新書(あるいはその元となった論文・先行研究)で言及された事項にも目配せが行き、刊行当時の総決算の趣きを感じる書である。
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ずっと昔から食べられていたように思っていた寿司やてんぷらといった料理が登場し、広まっていった過程を知ることができます。江戸という大都市の文化的な背景が外食文化の隆盛に繋がり、そこから多様な料理が生まれるというのが面白かったです。偏った人口構成が外食のニーズを生み、油や醤油の生産技術の発展が新しい流行を作り、庶民の料理が次第に上流階級に広まっていき…と渋い本ではありますが歴史のダイナミズムを楽しむことができます。
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面白い。
江戸時代にどのように、どんなものが、どういう人によって広まって行ったか。わかって面白い。
参考になりそうな文献のところをまた拾い出したい。