紙の本
第4回ハヤカワSFコンテスト優秀賞
2016/12/12 13:28
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
第4回ハヤカワSFコンテスト優秀賞の「世界の終りの壁際で」
大賞がなかった今年のハヤカワSFコンテストの中では一番評価が高かった作品です。
(もう1つの優秀賞作品は「ヒュレーの海」)
第3回までのハヤカワSFコンテストでは大賞が出ていたのにも関わらず、
第4回では優秀賞が2作品で大賞の作品はありませんでした。
ということは、この作品は過去の受賞作に比べてクオリティが低いのかどうか気になっていたましたが、読んでみて感じたことは例年の作品に比べてSFらしくないことです。
本作品「世界の終わりの壁際で」の舞台は、大規模な環境変動に備えて巨大な城壁都市〈シティ〉が築かれた近未来の日本。壁の外側で育った主人公が資金を稼ぎ、壁の内側に入ろうとする物語です
物語が進むにつれて主人公は壁の内側の真実に迫りますが、この作品の世界に訪れる大規模な環境変動についての説明がほとんどないために、シティの設定に納得することができませんでした。
ゲーム〈フラグメンツ〉や人工知能コーボが加わることで、シティの描写に十分なページ数を割くことが出来なくなっていることが問題だと思います。
こういう世界設定なら、ライトノベルにするべきだったと思います。ライトノベルならゲーム〈フラグメンツ〉を軸に話を展開することができると思います。そして、巻が進むにつれて、ゲームとシティ、さらには環境変動との関係を明らかにする手法をとることができると思います。
SF作品にするなら環境変動とシティに絞って問題を展開するべきだと思います。
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終末ものなんだけど、あまり終末感がない。あと、世界観が狭い。当然世界的な問題で作中でも諸外国からの攻撃を警戒してるんだけど、外国どころか東京以外の県、神奈川や埼玉、千葉の気配すら感じない。
あと、こういった受賞作の巻末に、審査員の書評を入れるのはどうかと思う。辛口なコメントが多いし、後読にあれを読まされると、結構萎える。
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世界の終わりの壁際に
ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作品。
読み始めて、どういう世界なのか、何があったのか、いや、何が起こるのかとストーリを追っていくうちに、気がついたら市外のごみごみした廃墟を駆けていた。とても疾走感があり、先へ先へとページをめくりたくなる。
主人公片桐とヒロイン雪子の出会いは全くの偶然でありながら必然にも思える。そして妙に人間くさい人工知能もとい電脳のコーボとも。
常に生死の境をすり抜けていく緊迫感の中で、片桐の最初の相棒である融通の利かない人工知能クリエや余計な気まで回してみせる電脳コーボとの会話は楽しい。
登場人物はどの人間もしっかりと輪郭を持っていて読み応えがあった。実は私は愚かで卑小な正義感を振り回す藤堂が気になって仕方ない。と思うのも自分の中に藤堂のような部分があるからだろう。
世界は終わるかもしれないが、片桐と雪子の未来はまだずっと続いていくに違いない(電脳コーボもね)
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フラグメンツの力を使って這い上がろうとしていたりして、大虐殺が起きたあたりまでは面白かった。
壁の外も酷いけど中も違う意味で酷い、でも俺たちは壁の中で頑張るぞ!的なオチには唖然。
さっきまで壁に憧れていたのも、自分たちを犠牲にして繁栄していると知った今、壁を憎んでいるのも分かる。
でもあの最後は解せない。
途中から主題が変わってきているような気がした。
でも設定自体は好きだった。
フラグメンツは自分もやってみたいと思った。ちょとウィクロスみたいでとても楽しそう。
壁の中の人々の様子は現代を生きる自分たちにも当てはまりそう。
余談だが、壁の中や外と聞くと某進撃漫画を連想してしまう。
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登場人物の内面や言動が少年マンガや少女マンガのそれを超えていないどころか今時の漫画にも余裕で劣る子供っぽさ。著者の内面が子どもなんだろうなーと思う。野望をべらべら話してくれる悪役も子供っぽく、アウトロー組織が実は正義の味方だったって話も子供っぽく、ゲームの動きを実践に生かすという発想も子どものもの。
ただ、なんとなく最後まで読まされてしまう勢いはあった。でも、勢いだけだとすぐに消えてしまうと思う。大人になれと言いたい。
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導入が分かりにくい。
この本を買ってから読み終わるまで2年は優にかかったのでは無いだろうか。
それほど最初で読む気にならないのだ。
だがしかしそれは最初だけである。
ある程度読み進めていくと世界観に惹かれ始めて来るようになり、続きが気になりページをめくる手が止まらなくなった。
この本は一貫性はあるように感じるが、すごい高校生大学生が書きました感、がハンパない。
何故だろうか。
近未来物や(少し)ディストピア物が好きな人にオススメする一作である。
sfを読んだ感はかなり得られると思う。