投稿元:
レビューを見る
基本は大事な人を見つけたり、改めて発見したり、確認する話・・・かな。恋愛がテーマといえばいいのか。
登場人物が多くいるんだけど、それぞれがつながっているのがだんだん明らかになる。そんな、群像劇風の面白さがある連作。
登場人物の背景がいちいち暗いんだけど、1つ1つの短編がほっこりあったかくなるって意味では、安心して読めると思います。
投稿元:
レビューを見る
偶然の「雨宿り」から始まる、切ないラヴ・ストーリー。ある夜、舞原零央はアパートの前で倒れていた女、譲原紗矢を助ける。帰る場所がないと語る彼女は居候を始め、次第に猜疑心に満ちた零央の心を解いていった。やがて零央が紗矢に惹かれ始めた頃、彼女は黙していた秘密を語り始める。その内容に驚く零央だったが、しかし、彼にも重大な秘密があって…。巧妙に張り巡らされた伏線が、いくつも折り重なったエピソードで紐解かれる、新感覚の青春群像ストーリー。第16回電撃小説大賞選考委員奨励賞受賞作。
《ブックデータベース より》
《2010年2月5日 読了》
投稿元:
レビューを見る
“「……雨、止まないですね」
「そうだな……。雨は嫌いじゃないんだけど……。ちょっと、いくらなんでもこの土砂降りじゃ、傘いるよな」
私は思わず笑ってしまった。
「雨が好きだなんて、変わっていますね」
「……雨を見ていると落ち着くんだ。あと、真っ直ぐに延びた線路とかさ。見ているだけで、なんだか無性に落ち着く」
「線路?電車じゃなくてですか?」
「うん、線路。冬に雪が積もっててさ、そこを電車が走り抜けた後に残る、迷いがないみたいな真っ直ぐな線を、高架の上から眺めるのが好きなんだ。俺、死ぬ時は、線路の上で死にたい。馬鹿みたいって思うかもしれないけど」
少しだけはにかんだように笑って傘を取ると、舞原零央は帰っていった。
変わった人だなと、そう思った。雨が好きだなんて言う人に、私は人生で初めて出会った。線路の上で死にたいなんて言う人にも。
もう少し、雨の話を彼に聞いてみたかったのだけれど。
次の日には梅雨が明け、私はその機会を逸してしまった。
ワカマツさんの絵に惹かれて。
伏線は沢山と。あれ?と引っかかる部分が後に解き明かされていく感覚が楽しい。
視点を変えることによって、以外なところで繋がっている登場人物たちというのも面白い。
ただ少し、内容が薄かったというか、もう少し、紗矢と朱利のやりとりとか多くてもいいんじゃないかなと思った。
登場人物たちの奇妙な関係にはほんと、驚かされたとしかいいようがない。
読み終わったあと、ほっとするような。
あっさりはしていないけどすうっと馴染んでいく、後味が良い、雨の似合う本。
“「私が買った切符は、零央君と一緒ですよ。これからどうしようか、乗ってから考えようと思っていました。だから買ったのは最寄りの駅までの切符です。私には行くあてなんてないですから」
零央は少しだけ考えて、それから一度空を仰いだ。
大きく息を吸い込んで、私を見つめる。
「さっき、好きな人が出来たって言っていたよな」
「はい。言いました」
「それって、結論が出たってことだよな?」
朱利さんと零央君と。
私が迷っていたのは事実だ。
だけど、そう。だけど……。”
投稿元:
レビューを見る
電撃小説大賞の中の受賞作。メディアワークス文庫
の第二弾でデビュー。
基本的にはド直球の恋愛小説。自分のような人間には
ややまっすぐ過ぎて少々ツラい部分もあったス。
所々の台詞や内容には共感もあるんですが、やはり
丸呑みするほど人間が綺麗じゃないんですよね、自分は...。
でも、この結末で良かったと思えるくらいの心情は
持ち合わせていたようです。この展開上、一番の
ハッピーエンドですものね。
登場人物が繋がって行く様はちょっとやり過ぎな感も
あってエピソード自体が宙ぶらりんになっている印象の
残る双子姉妹の姉の方のストーリーが結構グっと来ます。
個人的にはこの話がメインでも良かったかも。
投稿元:
レビューを見る
7人の男女のそれぞれの恋愛模様が交差した物語。それぞれ抱えているものは深刻なんだけれど、不思議とドロドロというわけではない。なんか何処か爽やかでなので新鮮な感じがした。夏音好き。
投稿元:
レビューを見る
『新海誠系』のようなすれ違いの恋愛模様。
ただこれはハッピーエンド?を迎えるので一安心。
展開が意外だった。王道を行くのかと思ってはいたが当てが外れた。
今後どのような作品を作者が執筆するか期待がかかる。
投稿元:
レビューを見る
この本は、とてもストレートな恋愛もので私にはここまですると思うようなところもありましたが、共感できるところもあったので。とても面白いです。
投稿元:
レビューを見る
100131読了。
20代半ばの男女の青春群像もの。
おもしろかったです。
ひとつひとつのお話も、ストーリー全体もきれいにまとまっています。
さわやかでいい話。
投稿元:
レビューを見る
大好きなイラストレーターさんが表紙を書いていたので、読んでみました。
個々の話ですが、最終的には繋がっているのし、とてもテンポよく読めました。
次の作品も期待したいと思います。
投稿元:
レビューを見る
ダブルヒーローで私はいつも希望カップリングができないんです。
この作品でもそうでした。
そうか、やっぱりそっちとるのか。と、妙に落ち着きながら読みました。
投稿元:
レビューを見る
零央はアパートの前で倒れていた紗矢を助け、帰る場所がないと言う彼女を居候させることに。一ヵ月後、彼女は零央に自分の事情を明かすが、彼にも秘密があり…という話。
途中、零央の高校時代の先輩である双子の姉妹のそれぞれの恋愛を描いた短編も挟んで、通して一つのストーリーになっている。
ストーリーの仕掛けや、登場人物たちの個性や悩みは、ところどころ「それはない」と思いながらも興味深く読めて面白かった。
ラストはほっとできたけど、2人の心理描写がもう少し細やかならばもっとよかったのになあ、と思う。
投稿元:
レビューを見る
切なくて。でも、さらりと心に入ってくる。そんな恋愛小説でした。
いくつかの物語が繋がっていて、最後にはほぼハッピーエンドです。
夏音の話と、朱利の話がお気に入りかな
投稿元:
レビューを見る
雨の日に、職も金も家族も失った美女が居候になる。
突拍子もない設定でどんなメロドラマと思いきや、切ない雰囲気の恋愛短編。
各章主人公を分けた連作形式で単発ではなく、複雑に絡み合っていく登場人物たちの関係が終盤に解くと一本の糸になっていくサプライズもあり。
映画やドラマで観たことある!とデジャヴを覚える展開や、リアルと非現実混在の濃い設定・性格の人物たちに、劇がかり過ぎ、やりすぎ感の否めないと思うけど、直球に愛を訴える人物たちは恥ずかしくも清々しい。
愛した血縁の無い兄に先立たれた夏音の話、創作にありそうな話だけどやっぱりこういうの反則、弱いです。現実感は無いけど、夏音の才女で淡々とした印象に反して愛する人を「それがすべて、それ以外はない」と平然と言ってのけるギャップは惹かれる。
投稿元:
レビューを見る
10/02/28 読了。
アパートの前で倒れていた女性と同居生活を送ることになった青年の話、
亡くなった兄に恋心を抱き続ける妹の話、など
雨に纏わる物語6本による連作短編集。
最初の同居生活のお話の最後に「えー!?」となって
この先こいつらどうするんだと思ってたら、次は全然違う人の話になって
(一応人間関係的には繋がりのある人の話ではあったのですけれど)
肩透かしな気分になったりもしましたが、そこはそれ。
最後はどっちも頑張れ的な変な応援をしているような感じでした。
何はともあれ、この後の皆様が幸せであって欲しいなと思った一冊です。
投稿元:
レビューを見る
人物の心情の表現が巧み。感情豊かに書かれていて、とても好きだなと思いました。ただ一つの物語じゃなくて繋がっているのも楽しい。ただ、本当に個人的な理由で申し訳ないんですが、物語の結末が好きじゃありませんでした。これほどまでに赤裸々に愛を主張しておいて納得し難い。し難いですが思わせぶりな表現ではあるけど、それでもやっぱり胸にぐっとくるものがありました。
『自分にとっては運命の人でも、相手にとって自分が運命の人かというと、そうではないかもしれない』
正論ではあるけどこのことは人を切なくさせる。だから納得し難いのか。単に零央の話が好きだったからかもしれませんが。誰かと語り合いたいようなそんな話。ですがこれ以上書くとネタバレになるのでやめておきます。