紙の本
すべての村上春樹中毒に捧ぐ
2002/04/16 04:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カレン - この投稿者のレビュー一覧を見る
みんな、村上春樹のどんなところが好き?
メタファーのセンスの良さ?
物語に常に現れるもうひとつの世界、地下の国の持つ不気味な魅力?
ジョギングとドーナツ、モンキーズと猫を愛する日常を覗き見できるエッセイ?
好きな理由をあげたら、10や20では足りない。
その中でなんといっても、そのシンプルながら実はとても鋭いユーモアがいい。
この本は、村上春樹の著作の中でも特に好きなもののひとつだが、それは内容とはそんなに関係がない。
聖地アトスの描写は秀逸だし、トルコ編でも村上春樹の筆はさえまくっている。
ただ、この本が素晴らしく、ページをめくる手が止まらずいっきに読み終わってしまうほどおもしろいことは、今さら言うまでもないので、ここでは違うことについて触れたい。
この本の中でひとつ、声に出して笑ってしまうくらいおかしい一文があったので、ここに紹介したい。
アトスの修道院で、数々の聖人受難の図を見せられた感想が、
釜ゆでにされている聖者は「この人はちょっと弱ったな、という顔をしているが、特に熱そうではない」、手足を斧でちょん切られている聖者には、「この人はかなり痛そう」、おなかに焼けた石炭を乗せられた人は、「もうどうでもいいやという顔」、わきの下を火で焼かれている人は「なんとなくとぼけた顔でしのいでいる」と、えんえん村上春樹から見た聖人の描写が続く。
この部分を読んでいたのが電車の中じゃなくて良かった。
こうやって私たちは村上春樹中毒になっていく。
だって、他のいったい誰が私たちをこれほど楽しませてくれるというんだ。
紙の本
村上春樹さんの視点で見た世界
2023/06/27 16:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
この人の紀行は独特です。それこそ世界中を旅しているが、どの土地にも深い思い入れを持っていないような気がします。聖山アトスも彼にかかると、珍奇な人々が暮らす辺境といった感じなのが新鮮だった。後半のトルコのほうが旅行記としては読ませどころ豊富で楽しめました。
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村上春樹のギリシャ、トルコ旅行記。トルコが地域ごとにヨーロッパ的なものからアラビア的なものまで文化的な幅があるなんてこれを読むまで知りませんでした。
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東トルコ旅行のお供に持っていた本。時代が違うのであまり旅本としては参考にならなかったけど、東トルコという辺境の地を書いた貴重な本。作者ならではの鋭い視点がおもしろい。
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村上さんのギリシャとトルコの旅行記。でも、いわゆるそんな感じはしなくて、ヒリヒリと読んでいるほうにも緊張感が伝わってきます。旅先で優しくしてくれる人間っていいですね。
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けっこうな冒険紀行文です。私にはできそうにない旅の内容てんこ盛りです。前半はギリシャでの模様が記されています。
旅行に行った気分になれること、うけあい。
小説とはまた違った春樹節も素敵。小説家だよなぁ…と思わせる目線を通して旅をすることができますよ。
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村上春樹の旅行記。ギリシャの寺院、そしてトルコの村々を周った記録。辺境といっても差し支えないだろう場所で生きる人々が何をしているのかが、生き生きと伝わってきていいです。ちょっとおかしくて、所々考えさせられる、そんな旅行記っぽくない旅行記。
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村上春樹の文才は小説以外でも発揮されます。旅先での目の付け所、感じ方を絶妙な文章で記述するので行ってみたくなります。ギリシャに行く予定のある方、是非一読を。
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やはり、村上春樹はうまいなぁ、と思うわけですよ。
ギリシャのアトスでの修道院めぐりとか、過酷でハードなのに、楽しそうに思えるんですよね。文章の力を実感。
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また村上春樹。今にして思うと、トルコが今までの旅の中で一番、「使いみちのない風景」をいっぱいため込んだ場所かもしれない。思い出すことがいろいろある。
同意:トルコのパンはおいしい。→ おいしい。本当に。別の本で読んだが、あるフランス人は、トルコのフランスパン(いわゆるバゲット)は、フランスのそれよりもずっとおいしい、と感激したそうだ。昔ながらの釜で焼くからだろうか。本当に味わい深いパンなのです。
異論:トルコの犬は恐ろしい。→ 私は辺境ではなく観光地にいたからか。私が出会ったトルコの犬たちは皆すごくのんびりとおだやかで幸せそうでしたが。タイの犬は湿気と暑さのせいもあって皮膚病でただれてるは、日中はピクリともせず寝ているのに夜になると目を光らせ、まさに野犬。それからすると考えられないくらいのんびりしているように見えたんだけどなー。 (1999 Dec)
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読書中、アトスの浮世離れっぷりに俗世間を忘れた。普通に旅行記としては面白いけど、村上春樹らしさは希薄かも。
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大体からして、こういう写真とか書画とかを作家が始めたら、『あーあ、終わったな』とか思いません? 芸術家気取りは鶴太郎だけでええっちゅうねん! って感じで。
ところが、この紀行文は読ませる。緻密に書き切ろうという文章ではなく、気になったところを切り取って書きましたって文章なので、写真の風景を自分でも確かめたくなるんですわ。これ読みながらマルボロ吸ってた、懐かしき学生時代。
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いつもと少し違う文章の雰囲気に一瞬春樹じゃないかと思ったけどやっぱり村上春樹でした。p50?〜この音の響き方ばかりは、テープに録音して聞かせてもたぶん伝えられないだろうと思う。それはあらゆる状況を含んだ音だからだ。状況を響かせる音だからだ。アトスの夜の深い闇、沈黙、我々とは違う時間性、満天の星。?p70?僕には宗教のことはよくわからないけれど、親切のことならよくわかる。愛は消えても親切は残る、と言ったのはカート・ヴォネガットだっけ。?p75?かくのごとく、旅においては物事は予定どおりに順調には運ばない。何故なら我々は異郷にいるからである。我々のためではない場所ーそれが異郷である。だからそこにあっては、物事は我々の思惑どおりには展開しない。逆に言えば、物事がとんとんと上手く運ばないのが旅である。上手く運ばないからこそ、我々はいろんな面白いもの、不思議なもの、唖然とするようなものに巡りあえるのである。そして、だからこそ我々は旅をするのである。?p180?〜どちらを選ぶかは、個人の自由である。あまり楽しくない自由だけれど。?p184?〜旅行について何かを書くときには、とにかくなんでもいいから細かいことをすぐにメモすることが肝要なのだ。?p185?〜こんな餓鬼に負けてたまるかと思う。そんなもの存在しないと思えば、存在しないのだ。存在というものは認識を基盤としているのだ。?ね。やっぱり春樹でしょ。でも珍しく影響されなかったな…影響されなかったというのは、ギリシャにもトルコにも行きたくならなかったということ。内容自体はおもしろかったんだけどさ。
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内容(「BOOK」データベースより)
「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へ―。雨に降られ太陽に焙られ埃にまみれつつ、タフでハードな冒険の旅は続く。
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-存在というものは認識を基盤としているのだ。
ギリシャ正教の聖地アトスとトルコを巡る旅。
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おもしろい!!!!!!!!!!!!!
修道院で出される料理をミシュラン風に評価したり、
トルコ人の人懐っこさを必ずしも肯定的に受け入れる
わけではなかったり。
とにかく村上春樹の表現は、やっぱり素敵です。
カフソカリヴィアの猫のところが特に好きです。
比較的古い本だけど、その当時の国際情勢を頭に
入れながら読むと中東のピリピリ感がリアルに
想像できて、より一層楽しめると思います◎
もし自分が男だったらアトスに行きたいと思うだろうなー