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室町の世、京を舞台に貧民たちが土一揆で立ち上がるまでを、一人の青年の成長とともに描いた作品。
主人公は、主を失い牢人となった元侍の子ども。15歳で家族を失うが、一揆を企てる首謀者に拾われ、棒術使いの老人によるアクション映画さながらの厳しい修行を受ける。このあたりはマンガ的で、全体のバランスを考えるとやや冗長。
でも、老人を始め、土一揆の首謀者やそのライバル、遊女など、主人公を取り巻く人たちは魅力的だ。
直木賞候補作だったが、作者の歴史物1作目『光秀の定理』のほうがおもしろく読めた。
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4.0 垣根涼介にハズレなし。確かにワイルドソウルやヒートアイランドと同じ匂いがする。描かれている四人、格好良すぎ。
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時代小説が苦手な人間ですが、自分の中の良本ランキングベスト10に入る面白さでした。
時代小説を敬遠する根本に日本史嫌いが鎮座しているので、これが史実を元にしていると気づいたのは終盤。
でも、時代物で、一揆なんて泥臭いテーマ、 更にノンフィクション(ではないが)が乗っかっているとわかっていたら手を伸ばさず終わっていたかもしれないので結果オーライです。
泥と垢と血にまみれて混沌としているはずの舞台。その中で動き、考え、語る登場人物のキャラクターが瑞々しく爽やかでいとおしい。
特に序盤の泣き虫小僧の才蔵がかわいくて仕方ありません。
時代の波に飲まれて下を向き蹲りやり過ごす。
今も昔も大体の人間はそうやって生きて行くもの。
だからこそ、地面を踏み締め立ちあがり、濁流を正面から見据えて脚を踏み出す人間はより強い圧を身に受ける。
そんな眩しい存在にはなれなくても、その人の後ろの流れが弱まった場所に身を屈めつつも立ち上がり、歩き始める。それくらいの気概を持つことが出来ればなあ、と、片肘をついて寝転がりながらも考えさせられました。
「ワイルドソウル」も「室町無頼」も面白かった垣根涼介。ハードル上がりすぎてて、他の作品読むのが怖いです。
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これぞ垣根ワールド的な作品。垣根さんの描く男たちはどうしてこうもかっこよく子憎たらしく、そして可愛いのだろうか。『ヒートアイランド』の柿桃コンビそしてアキに久しぶりに会いたくなった。
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直木賞候補作ということで何気なく借りてみた。面白かった。一気に読めた。
才蔵、道賢、兵衛、芳王子ら、登場人物がみんな生き生きとして個性豊か。物語の最後には、暁信にすら愛嬌と愛着を感じるようになった。
修行のシーンからぐいぐいと盛り上がり、土一揆のシーンでは期待を裏切らない盛り上がりを見せてくれた。
すっかり気に入ったので、垣根さんの「明智の定理」も読むことにした。
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珍しい室町時代の歴史小説、棒術を得意とした小僧の才蔵が、ならず者の頭(裏)と市中警護(表)の顔を持つ骨皮道賢と知合い道賢の紹介で浮浪の首魁蓮田兵平に預けられ兵平から、これ又、棒術の達人の老人に預けられて修行を積んで一流の兵法者となる。
才蔵、道賢、兵平と3人が愛する芳王子が華を添える。
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面白くて一揆、いや一気読みした。とにかく登場人物がみなとても魅力的、あの馬切でさえ!室町時代という混沌の中から生まれたやたら格好いい無頼のキャラクター達の中にあって、浮世の枠組みの中で怨嗟を吐きつつ己の居場所を死守すべくもがく、案外と常識人な暁信のほうがむしろ印象深い。そして骨皮、蓮田の二人があまりに格好良すぎて才蔵が主人公であることを忘れる。これ講談になったら面白いだろうな。
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室町時代を私はよく知らず、地味な印象の時代です。この物語も腐った幕府と堕ちた武士に憤る無頼と百姓たちの戦いの記録であり、地味なテーマです。それなのに無頼たちのなんと魅力的なことか。才蔵という少年の可愛らしさたるや。安穏な未来を望めない立場を生きる男たちの、一瞬の命の煌きを描いている、超エンタメ作品です。戦国時代の端初となった、史実と実在の人物の物語とのことですが、魅力的な登場人物たちの他の物語も読んでみたいものです。近江と京都というよく知る地が舞台であることも楽しめました。
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最高に面白かった。光秀の定理もよかったが、これからもっと歴史物を書いてほしい作家さん。中心人物の3人とも好き。室町時代のことをもっと本で知りたいと思った。直木賞の候補だったんだあ。取ってもおかしくない作品なのに。
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時は室町。富めるモノの横暴と飢えるモノが溢れかえった時代。足利幕府の弱体化に伴い、混乱をきたす京の都にて野望を抱く三人のキャラ全開の人物現る。洛中の治安維持を幕府より委任されていたならず物の頭目・骨皮道賢。各地で不満を抱く民百姓を糾合する浮浪の首魁・蓮田兵衛。そして二人に生かされ兵法者として名を馳せることとなる才蔵。野望を抱くモノたちが向かう先。それは歴史に名を刻む壮大な企てが奔りだしていく。。京の都が戦乱にさらされる応仁の乱へと至る背景を、薄き史実から想像と創造を駆使し、全身全霊を傾け描き切った筆者渾身の歴史エンタメ作品。秩序と倫理もなき世界を生き抜く様を、当時の洛中の様子とともに余す事なくスピード感溢れるタッチにて描ききる圧巻の5☆。早くも今年一押しの作品の予感!
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図書館で借りた本。
才蔵は、自分の人生に疑問を持ちながらも、ひたすらに食うことだけに専念して生きてきた。土蔵の用心棒をしていたある日、道賢に見込まれ、連れ去られ兵衛という男に預けられることになる。時代物は読み始めるのに躊躇するわりに、いつも引き込まれて、夢中になって読んでしまう。命をかけて戦ったり、守ったり、生きている人たちの言葉は、ズシンと響く。
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面白かった。登場する男たちが魅力的過ぎる。惜しいのは終盤の盛り上がりにやや欠けたところ。史実から外していないようなので仕方ないのかもしれないが。
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とても面白かった。現代に生きる我々からも理解しやすい理で歴史を描いているイメージ。
特に、唐崎の老人との別れが強く印象に残る。
「堅固であれ。」
あっさりとした、それでいて愛情を感じるシーンが多々あった。
著者の別の歴史小説も早々に手に取りたい。
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とてもかっこよくおもしろかった。
てっきり応仁の乱の話だと思っていたけど、前日譚的なものですね。
飢饉や疫病で苦しむ農民や牢人たちが土一揆起こす話で、わーほんと題材が地味。
それでも確かにその時代その場所で必死に生きて足掻いて何かを成そうとしてた人たちはいるわけで。
この先行きの時代を考えると、ますます世は荒れて乱れて戦国時代に突入していくわけですが、なんか最後は新しい時代の始まりって清々しさがあって、それこそが彼らの生き様なんだなと思いました。
才蔵くんが見出されて修行に明け暮れ成長していく様は、ヒーローマンガみたいでおもしろい。
そうだな、やたらとかっこいい大人に囲まれて戦って少年が成長してく少年漫画の王道を行く話やん。
男たちもかっこいいけど、紅一点芳王子ねえさんもかっこいいよね。
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応仁の乱前の京都,食い詰めた浪人や百姓の小せがれ,浮浪児などをまとめて,世の中を変えようとした男達がいた.伏見稲荷を根城にする骨皮道賢,一揆を画策する蓮田兵衛,用心棒から兵法者へと転身する才蔵,三者三様の魅力で極上のエンターティメントに仕上がっていて,才蔵の修行は怖いようだったが,一気に読んだ.