紙の本
資本主義によって宗教と人類は消滅するのだ!
2016/02/26 21:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
インパクトのある表題を見て衝動買いしました。
世界の宗教に何が起きているかを俯瞰(第1章から第4章)した上で、宗教と資本主義との関係を考察(第5章)、日本および世界の宗教の行方を予想する(第6章、第7章、終章)内容でした。
世界の宗教情勢については「ヨーロッパを中心とした先進国は、キリスト教の教会離れが進行し、無宗教に向かっている。また移民が増えた結果、ヨーロッパのイスラム化が進む一方、経済発展が続いている国々では、プロテスタントの福音派を中心に新しい宗教が勢力を拡大。日本は人口減少社会に突入したことで、宗教が力を失っている」とのこと。
そして「宗教は地域や村落共同体、家族や一族といった共同体を基盤においていて、その共同体を資本主義は破壊する(163ページ)」。また「資本主義社会は、当初、新宗教に拡大の余地を与えても、低成長の時代に入ることで、その余地を奪う」。そして「ロボットが労力を担い、社会のあらゆる側面が自動化された時代において、人間という存在は本当に必要か。人間を必要としない社会には人が生きる余地はない。資本主義こそが、人類社会にとって脅威。宗教が消滅する世界は人類が消滅する世界(240ページ)」というSF小説真っ青な結論でした。
資本主義が人類消滅の元凶というのであれば、いかなる社会であれば良いというのでしょうか。島田氏は案を示すべきです。テーマは興味深く、つかみは良かっただけに、言いっ放しの残念な結論でした。
ところで私事ですが、いずれは墓守ができなくなるので、祖父母・両親の墓を処分したいと寺に相談したのですが、何と3百万円も要求されました。これが葬式仏教の現実です。日本において宗教が衰退しても仕方ないような気がします。
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好著です。
「資本主義の終焉と歴史の危機」という本で我々が当たり前、と思っている資本主義は(特に日本で)すでに終焉し、次のパラダイムを探している、という指摘がされました。
それを全く別の角度、「宗教」という切り口で見ると新しい世界感が浮かび上がります。
宗教的には日本は無神論者が多く、多神教ということもあり他の国とは違う、という分析がされてきました。しかし…日本を含め各国「共通に」、
『経済成長期に宗教(特に新宗教、キリスト教に置ける福音主義など)は勢いを伸ばす」
「低成長期に入ると宗教は停滞・衰退していく」
と主張します。
日本において神は神社にいる。神と日常的に接点を持とうとするとミニ神社である神棚をおいて手を合わせるしかない。
それに対してキリスト教、イスラム教の神は常に人と在る。したがって、経済理論にも「みえざる神の手」などの存在を仮定する。
最後、あまり掘り下げられないで終わった論点ですが、(資本主義は終わったとは言え)資本主義には人が必要であり、宗教が存在する余地が生まれる。これがロボット化がすすみ経済に人が必要なくなった時、宗教もなくなるのか。
日本の高度成長期、地方から都市部にでてきた人々をうけいれ、ふれあいの場を提供し、愚痴や相談できる環境を提供したのが創価学会をはじめとする新宗教だった。いまではその役割を終え、各団体とも老齢化が進んでいるという分析はなるほど、と思いました。
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人類史上初の宗教が無い時代が到来するという予言。宗教離れは日本だけでない。日本の新興宗教の言説については、いつもの本領発揮で楽しく読ませてくれるが、なんとなく同じ言論を繰り返しているような感じを受けて、ちょっと飽きる。新興宗教の信者数減の原因分析は、筆者の考えでしかなく裏付けが感じらず、「そおかぁ?」という部分もある。宗教が無くなった先がどういう社会になるかもっと論じてほしかった。
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島田さん」が言いたいことはわかるが、ではどうしたらいいのかをもっと突っ込んで提案してほしかった。
宗教がなくならないようにするにはどうしたらいいの?
社会主義になった方がいいの?
このまま「自民党・安倍総理」のままだと格差がますます広がって宗教がますます崩壊してしまうのかな~。フッとそう思ってしましました
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宗教学者の島田裕巳が、宗教の衰退を分析する一冊。
現在、日本の宗教は衰退しているらしいが、これは日本に限らず世界的な傾向であり、同時に現世利益的な宗教が台頭してることがよくわかった。
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昭和まで、地域や集落、企業や家族といった共同体に基盤をおいていた時代だった。資本主義によってその共同体は緩やかに解体されつつ、良い意味でも悪い意味でも、個の時代という自由に向かっている。
繋がりをどう再定義するか、が、今後のテーマ。個性=タレント性ではない、というのが発見だった。
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宗教に興味がある方には強くお勧めします。
宗教に興味がある私には非常に興味深い一冊でした。
ただ逆に宗教になんの興味のない人にとっては
非常にツマラナイ本だと思います。