紙の本
遺伝子組み換えではなくゲノム編集
2017/01/21 12:17
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本はゲノム編集について記載しています。
遺伝子組み換えではありません。
遺伝子組み換えは確率や手間に問題がありますが、ゲノム編集はそれらを克服しています。
遺伝子工学についての常識や最新技術についてある程度は知っておきたいと言う人にお勧めです。
紙の本
ゲノム編集がわかる。
2017/05/24 19:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
2016年に第1刷が発売になっているため、ゲノム編集の最先端がわかる。また、DNAの説明など生命科学に必要な知識も載っているため、基礎的な部分もカバーしている点も良い。
ただクリスパーという技術の活用は、まだ未知数な部分が多く、記述もある程度未来予測的になるので、5年後に読む、などという使い方はあまりおすすめできない。
しかし、新書とはそういうものだし、生命科学について少し興味があれば、入門書ともなるし、なかなか面白い本であるとおもう。
電子書籍
読みやすいので、足かがりにはとてもよい
2021/01/17 17:52
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投稿者:yamayu - この投稿者のレビュー一覧を見る
入門書としてはとてもよいし、前後の歴史、クリスパーの可能性や、問題提起、世界の動きをおおまかに知ることができる。ただ、個人的にはクリスパーの技術についてもう少し詳しく書かれているとありがたい。次の読書の足がかりにはなったのでよかった。
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KDDI総研リサーチフェローである小林雅一氏が、遺伝子工学・生命科学の分野で、過去に例を見ない驚異的な技術として近年注目を浴び、“神の技術”とも呼ばれる「ゲノム編集」について、一般向けに分かり易く解説したもの。
本書の内容は凡そ以下である。
◆動植物の遺伝子を操作する「遺伝子組み換え」という技術は既に1970年代からあり、遺伝子組み換え作物やノックアウト・マウスの作成に使われてきたが、精度が極めて低く、膨大なコストと期間を要するものであった。
◆これに対し「ゲノム編集」では、医師や科学者らが狙った遺伝子やDNAを構成する「G」、「C」、「A」、「T」からなる無限に近い文字列を一文字一文字ピンポイントで削除したり、書き換えることができ、中でも“DNAのメス”とも呼ばれる「クリスパー」という最新鋭の技術は、“高校生でも使える”くらいに扱いやすく、かつ汎用性に富むもので、要する期間やコストが劇的に圧縮された。
◆クリスパーは近い将来間違いなく人間の治療に適用される。原因となる遺伝子変異が明確に特定されている「メンデル性疾患」と呼ばれる一群の遺伝病には特に有効だが、そのほか「遺伝子治療」、「iPS細胞」、「細胞移植治療」等の異なる技術と組み合わせることにより、何らかの病気(筋ジストロフィーやエイズなど)が発症した患者にも適用できる。がん、糖尿病、アルツハイマー病などの現代社会に多く見られる病気は、いくつもの遺伝子変異が環境要因と相互作用しつつ発症すると考えられているが、グーグルやアマゾン等の世界的ハイテクIT企業は現在、様々な病院や研究機関と連携して無数の患者から集めたゲノム・データを先端AI(人工知能)でパターン解析することにより、複雑な病気の原因遺伝子や発症メカニズムの解明を進めており、ゲノム編集はそれらの病気の治療にも応用できると考えられる。
◆しかし、医療への応用は「デザイナー・ベビー」を意図的に作り出すような「人類の改良」とも言える発想や、ナチスが声高に叫んだ、いわゆる優生学的な思想の復活に繋がりかねず、いずれ人類が真正面から向き合わなければならない極めて重大な問題である。
◆また、ゲノム編集により、人間にとっての害虫(マラリアやジカ熱を引き起こす蚊など)を意図的に駆逐してしまう「遺伝子ドライブ」は、長期的に見て地球の生態系に思わぬダメージを与える恐れがあり、慎重な取り組みが求められる。
人類は、ゲノム編集技術により、動植物や自らのいのち、更には地球の生態系をも変える力を手に入れ、まさに「神の領域」に足を踏み入れようとしているが、その技術の具体的な実態と、人間として我々は今後何を考えていかなければならないのかを知る上で、有益な一冊と思う。
(2016年8月了)
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将来ノーベル賞をとるクリスパーの開発経緯。それによってどのような臨床的な応用がされたか、今後されていくのか。
わくわくするような革新的な技術のことがよく分かる良書。
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遺伝子編集技術として革命的な「クリスパー・キャス9技術」を紹介した本。遺伝病の克服など多くの分野での利用が期待されている。クリスパー・キャス9の特長は、「DNA上の狙った箇所をピンポイントで切断、あるいは改変する脅威的な精度とスピード」にあるという。これまでの遺伝子組み換え技術とは格段の差が生まれる。また、これまでの技術がマウスに対してのみ適用可能な技術であったりしたところが、汎用的にすべての生物で使えるようになったことも大きい。
クリスパー・キャス9の説明だけでなく、エクソンやイントロン、選択的スプライシングの話など最新の遺伝子工学の知見を解説した記述も多く楽しめる。チンパンジーとヒトでは98%の遺伝子を共有しているとか、ヒト同士であれば、個人間のゲノムの違いは0.1%でしかない(0.1%でも320万箇所だが)とか、ヒトよりもネズミや稲の方が遺伝子が多いとか、いった雑学的な情報も入っている。SNPやSNVの定義も初めて知ったかもしれない。また、自然界での突然変異は比較的ありふれたものである。いずれにせよ、NHK編の『ゲノム編集の衝撃』よりも細かいことが書かれている。
ダウドナ、シャルパンティエというUSCの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間での特許権の争いにも触れられている。膨大な金額が動いてもおかしくない技術でもあるので、なかなか泥沼的なにおいがしている。
「「全能の技術」を手に入れてしまった私たち人類は、これから、どう進むべき道を決めていけばいいのか? 今の筆者に、その答えは思い浮かばない。あなたはわかるだろうか? 少なくとも、それを考える手がかりに本書がなり得たと願って、その筆をおきたい」と最後に書く。今後ともにその応用事例含めて追いかけらるべき技術でもある。
2016年9月、遺伝子組み換え種子で有名なモンサント社を独バイエル社が買収。彼らが使ってきた遺伝子組み換え技術とクリスパー・キャス9の遺伝子編集技術とは異なるものであることは本書でも解説されているが、こういった合併による巨大化よって、ますますDNAの研究と商用開発も加速していくのかもしれない。
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最近よく耳にするクリスパーCasについてよくまとまっている。
・ノーベル賞間違いなしと言われているが、この技術の特許を巡ってダウドナ、シャルパンティエというUSBの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間で熾烈な競争があるらしい(著者はダウドナーシャルパンティエ組の肩を持ちたいような書きぶりだが、実際の応用が早かったということや米国の先発見主義(論文発表は遅かったが実験ノートを提出して発見は早かったことを主張した)のからみもありフェン・チャンが今のところ基本的な特許を認められているらしい)
・クリスパーは回文構造になっている。すなわち、AGGに対するTCCのように、数十文字の回文がいくつかあり、その間に宿主をかつて攻撃してきたウイルスの断片が挟まっている。
クリスパーの近辺にはCsn1(後にCas9という名前に変更された)というヌクレアーゼ酵素がある。これはクリスパー構造によって認識されたDNA二本鎖を日本とも同時に切ることができる。
従来のノックアウトマウスの作成法では、DNA断片を導入するだけで100万分の1の確率であった。しかも導入は一本鎖にしか行なわれなかったため、その後、マウスを交配して相同組換えをおこして二本ともノックアウトする必要があり、うまくいっても一年がかりの作業であった。クリスパーCasであれば3週間で完了する。
・21000人の患者と38000人の健常者を対象としたGWAS研究によって統合失調症のリスクとなるSNP108個が同定されているが、全てを足し合わせても発症要因の5−7%にしかならない。25万人を対象としたGWASで身長を規定する遺伝因子も697個見つかったが、やはりこれ全てを足し合わせても身長を決める遺伝的要因の16%程度にしかならないと見積もられている。
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「ゲノム編集」という言葉を時々目に、耳にするようになって1~2年。
正直言って、本書を読むまで私は恥ずかしながらゲノム編集と遺伝子組み換えの違いを理解してはいなかったし、遺伝子やDNA、ゲノムに染色体といったそれぞれの用語が定義するものの区別もついていなかったが、それらの疑問が氷解するよう、最新の情報とともに分かりやすく説明してくれている。
科学的な理屈を最低限、キッチリと解説しつつも、門外漢に理解不能なレヴェルに陥らない、絶妙なバランスで書かれていると思う。
技術的に"できる"ことであるならば、その極限に挑み、押し上げ続けるのは研究者の性であろうし、また存在意義でもある。
このゲノム編集という技術に関しては、当然そこに「倫理」という別の枠組みを導入すべきなのは間違いないが、それがどこまで機能するのか、疑念は拭い去ることはできない。
ここまで技術は進んでいたのか、と先達の功績に感動を覚えるとともに、来るべき未来にうすら寒さのようなものを感じてしまう、そんな一冊だった。
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クリスパーという技術はちょっとすごい。
大げさに言えば農業革命、産業革命、IT・AI革命に匹敵する遺伝子革命になり得るだろう。
人間というものは、理念や目的なんかではなく、技術が歴史をドライブしていくのだと改めて痛感。
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グーグルやアマゾンといったIT企業が取り組んでいると書いてあったから興味があって読んでみたのだけど、ITは全く関係なかった。
ゲノム編集というものを自分は全く知らなかったのだけど、遺伝子を簡単に修正できるという革新的な技術らしい。生物学は全く感心がなかったけど、結構すごいことになってるんだなぁ。よくわからないけど、高校生でも短期間で使えるようになるんだとか。とりあえず、鼻炎とアトピーを治したい。
なお、シンギュラリティーで有名なカーツワイルは、シンギュラリティーの起こる2045年まで生きるために250種類ものサプリメントを飲んでいるのだとか。それって、余計に体に悪そうな気がするのだけれども……。
遺伝子の数と知能の数は比例しないということに結構驚いた。人よりも、マウスや稲のほうが多いぐらいらしい。
後、自分のALDH2の遺伝子はA(アデニン)なんだろうなと。下戸で、お酒飲めないし(コップ半分飲むと吐くことがあるので、もう飲まないことにした)。
それと、妊婦が極端なダイエットをすると、生まれてくる子どもが肥満になりやすいというのも驚いた。理由は、胎児の間に栄養不足でも生き残る性質になったため。てっきり、逆なのかと思ってた。
まあ、これだけすごい技術なので、そのうちノーベル賞をとるのは間違いないとのこと。残念ながら、日本人は候補に入らなさそうだけど、ノーベル賞候補となる技術を先に知っていることによる優越感に浸っておこうと思う(ただし、ゲノム編集のきっかけとなったクリスパーというものを発見した人は日本人らしいので、ありえなくはないとのこと)
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純粋な科学技術は日進月歩で進んでるんだろうが、遺伝子治療の倫理問題とかGMO規制とか、結局は技術の外側の問題が厄介で難航するのが現実世界。
原子力開発の二の舞は避けたいよなあ。
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人類はクリスパーという名の優れたメスを手に入れた。しかし、どこを切ればいいのかを示す地図は未だなく、その公算も立ってはいない。
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従来の遺伝子組み換えと違い、目的のDNAを的確に切り貼りできる技術が開発されました。
これを用いれば、怪我・病気に強く、知能や体力や容姿が優れている強化された人間を作り出すことも理論上可能です。
簡単で確実な技術であるため、自分を改良、自分の子孫を改良、人造遺伝子によって生まれる完全に近い人間の誕生、などは遠くない未来の話となるかもしれません。
SFの世界が現実となりつつある今、参考となる一冊。
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話題のゲノム編集技術がもたらしうる未来について。一般読者にはわかりやすいはず。専門家にとっても社会と新技術との向き合い方を考察するのにとても参考になる。
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★科学道100 / まるで魔法
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