年の瀬の濁流に揉まれ、気がついたら珍妙な峠を歩いていた
2017/10/29 21:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
年の瀬の濁流に揉まれ、気がついたら珍妙な峠を歩いていた。不思議な文体である。シュールな舞台設定である。そして、何気なく悲しさが満ちている。太宰治がシュールになったような感じがする。実際小説の中に太宰が出てきますし。町田康の小説の中でも一番難解なのではないかと思う。
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今、まさしく炊飯器を購入するか悩んでいる折、壱万円程度のものから拾万円のものまでありその違いは何なのかわからずに購入に踏み切れずにおり、そしてホームベーカリーに至ってはすでになくてはならぬ家電になっているので、うまい具合に焼ける遣り方を伝授してやりたくもあり、はたまた自宅リホームもあれやこれやと思い至ること多く、さすが町田先生、私のツボをしっかり押さえて離さない、のではあるけど、最近物語の最後に必ず訳のわからない疾走をするのには、先生の心中を察して切なくなるのですが、あまり突飛過ぎて好のみではないので、もちっとキレイにならんものか
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近年時々ある、読んでてツラいマチダに当たってしまった。
アル中の酩酊のようなダラダラとした独白が続き、人生という珍妙な峠をベロンベロンになり一緒に渡っているような長編。
ここは踏み込んでいい領域じゃないけれど、分量でいうと半分くらいの中編だったらもう少し楽しめたかも知れない。
でもマチダはこういうのを量産してるうちにたまに大傑作を生み出すようなところもあるので、今後に繋がってくれたらファン冥利につきる。
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心の迷いと葛藤、求める安らぎと真実。欲するものは手に入れたいけれど、手に入れたところで満足できない。人の心は難しい。
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読んでいるとどこかに移動した感があるけれど、結局どこにも行っておらず、ならば居心地良く滞在しようと工夫するものの、一向に居心地良く身がおさまらず。毎日に困難が多い。話のあちこちで、同じシーンに出くわしたことがあると思わせる他人事ではない読後感です。
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また、最近おなじみになりつつあるエッセイ風味のやつかなー、と読み進んでいると途中から一転して怒涛のあちら側の世界に突入、そして没入!!みたいな。
宿屋めぐり以来のキタコレ感、じゃないでしょうか。
キタコレ感にたどり着くまでが結構長いので、ポストロック的カタルシスも味わえます。
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バイ貝の続き。2冊続けて読むのはちょっとつらかった。おもしろくてもつらい。バイ貝の方がおもしろく読めたな。
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金がなくなり歳末の濁流に押し流され珍妙な峠を彷徨うこととなった主人公。珍妙な峠では、金を払って何かしようと思った瞬間、まるでこちらの頭の中を覗き込んだように、それを商う店が現れる。どこからともなくお金が現れ、お金というくびきからは解放されたが、煩悩という心のくびきに支配され始める。東の空にはどす黒い雲がかかっており、その雲から逃れるように西へ西へとひた走るも、決して越えることができないのが珍妙な峠。最終的にいきついた果てが個人の意識を変容させること。表面的なものに惑わされない確かな目と確かな心の大切さをしみじみと実感させられた。
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一言でいえば、たわいない話です。
うだつの上がらない主人公の男が珍妙な峠に迷い込み、次々と珍事に出くわします。
それだけ。
いや、本作に限らず、町田康の作品は常にたわいない。
民主主義もTOPIXも地域活性化も婚活も元気も健康も健康寿命も食育もスローライフも、およそ世の中で「真っ当」と言われるような類のものは、町田康の作品にはただの1ミリもない。
それが、私が町田康に強く強く強く魅かれる理由。
「真っ当」なことどもに背を向け、一人荒野を彷徨い歩くような清々しさが、町田康の作品には横溢しています。
しかし、そこには当然、「単独者」としての苦悩が付きまといます。
本書もそうです。
たとえば。
ある時は正直であることを信条にヤフオクで入札を続けますが、敗北が続いて打ちひしがれます。
またある時は、ホームパーティーを企図してホームベーカリを購いパンを焼きますが、本物のパンとの違いを厭と言うほど見せつけられ、失意のどん底に突き落とされます。
それだけならまだしも、大枚をはたいて購入した家は、有名な建築デザイナーの作った家を模した、いわば贋作でした。
苦悩を引きずったまま珍妙な峠道を登る主人公に、私は最後まで感情移入して読了しました。
皆さん、どうぞ読んでください。
読まない?
そんなに暇じゃない?
あ、そうですか。
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うーむ、町田作品ってこんな読みづらかったっけ?
そういう意味では町田作品の中では異色なのか?
その割には文体は通常運転のような・・・
読む側の俺が変わったんだろうか
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これバイ貝の続編なんか。バイ貝読んでないわ。
マックブックまでのくだりと、最後家をDIYしだしてからラストまでのたたみかけるとこがよかった。特に最後は町田康の雰囲気めっちゃ出てた。
パソコンピューだのパーソナルコンピだの響きのよい(?)ことばをぶちこんでくるし、町の喩えなども素晴らしいです。ほんとにいつ何を読んでもことばの組み合わせが凄まじい。
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自由に書いてるなあ。ちょっと長くて疲れたが。
(2021/01/01)気付かず再読していた。感想はほぼ同じ。
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200頁辺りから町田節炸裂、みたいな感想を読んで確かにそうかも。町田さんの文章は、悪夢に迷い込んだような独特の世界観と意味不明なフレーズで読む人を選ぶ気がしますが、自分はたまに無性に読みたくなる時があります。なぜだろ?
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装丁買い、まさかの装丁オチ。
途中脱落しそうになりつつ、先達のレビューを信じて頑張った。
たしかに終盤の混沌には勢いがあったが、頑張らなくてもよかったかな、と思った。
帯の『(略)人生、実践あるのみである。それで俺は、ホームパーティーを開こうと思った。』を読んで手に取った瞬間が本書のハイライトであった。