紙の本
トリニティ本当のスタート
2017/04/30 12:35
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投稿者:鯉狂い - この投稿者のレビュー一覧を見る
組織において誰かを『余人をもって代えがたい』と考え始めた瞬間、組織が緩やかに死に向かって動き始めるという。考えてみれば単純だ。その『スペシャル・ワン』とていついなくなるのか?分からないのだ。本書においての溝畑かまさにそれに思えた。
何度も危機を乗り越え掴んだ栄光の後の崩壊が、わずか一年で訪れたのも、ものの悲しさを感じさせる。が、溝畑なしに大分トリニティ、トリニータは迅速にJ1には来なかったし、カップ戦とはいえ結成10年余りの地方クラブがタイトルを手中に収めることはなかったと思う。資金調達力、インフラ整備における溝畑の能力は特筆すべきものだし、死に物狂いで働いた彼の同動機・背景は実に心を揺さぶられた。だが『溝畑という劇薬』は効果も凄まじかったが、結局副作用も同様だったということ。
彼去りしのちこそが本当のトリニティでのフットボールクラブの運営のスタート。大分がより愛されるクラブになることを願う。
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官僚が地方の自治体にやってきて、その間、好き勝手にふるまって、多額の負債を残して国に帰っていった。残された人たちには怒りしかない。さて、なぜこのようなことが起こったのか。
…という本かと思ってました。
木村さんのように事実をきちんと調べて伝えてくれる人がいる限り、中途半端な情報をうのみにするのはやめようと思います。
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今、地方のJリーグの社長と言えば、長崎の高田社長だろうけど、その昔話題となった大分の溝畑社長のことを取り上げた本。ピクシーやオシムの旧ユーゴの著作なんかで有名な木村元彦さんが書いた本で、どん底の2010年に出された本をもとに加筆して新書化。
丁度絶頂とどん底の瞬間は駐在で日本にいなかったから、ネットで事実を知った程度だけれど、世間に知られる事実の裏側にはいろんなドラマがあったんだなと。
破綻がなければ2010年に金崎夢生がグランパスに移籍することもなかっただろうから、グランパスの初優勝もどうなっていたか分からないとも思ってみたり。
その後、J2/J3と各地に広がったJリーグチーム。昨年始まったBリーグもしかりだけど、身の丈をどう知るのか、いかにやり過ぎないかっていうのが肝心なんだと思う。成功したら○○社長のお蔭。失敗したらワンマン経営だと糾弾。難しいね。
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本編はホントに面白くて。改めてこのクラブのサポーターでいられた幸運に感謝しかない。この本では美化しすぎな気もするけど、一方で彼がいなかったらクラブは存在しなかったというのは紛れもない事実。2021年の今だからこそ、感慨を感じたり面白がれたりするのだけど。
ただ、もちろん本書の元々の範囲外ではあるけど、2010年から2015年までが語られてないどころかさらっと黒歴史のように書かれているけど、2013年の県民を挙げての寄付活動とJ1昇格は2009年の転落からの一つ区切りとしてはっきりと存在しているということだけ言っておきたい。それがあったからこその2016年以降の飛躍があるから。相変わらず社長は県からの出向者だし、ここで指摘された課題は変わってはいないのだけど。(その出向社長が優秀っていうのが、またややこしい話でもある)
語りたくなるマイクラブがある喜び、それに関しては感謝してもしたりない。