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日頃、新聞やニュースで触れる機会の多い「知的財産権」だが、まとまった形でその詳細を知る機会は意外に少ない。本書は主に海外を舞台に活躍してきた弁理士による「知財」ブリーフィング。「楽しく…」の題名に違わず、豊富な馴染み深い実例により、しかも極めて簡潔でわかりやすく知財の大まかなアウトラインをなぞることができる。
本書でよくわかるのは、知財には著作権や商標権などいくつかの種類があるが、それら個々の権利は、単独では我々が一般に考えているほどには強く保護されていないということだ。随所で述べられるように、これらの権利を重層的に組み合わせることで、単独の場合よりも強力な権益に変換させることができる。そして、ある種のビジネスエスタブリッシュメントの中には、この種の防衛策にかけては極めてクレバーな者が存在するということだ。ピーター・ラビットの例が挙げられているが、その既得権益を守ろうとする執念にには感心を通り越して畏怖さえ覚えた。
なお、本書では全く触れられていないが、衣服や料理等の分野では、知財による保護が極めて弱いにも関わらず、本書に満載されているような争いが全く起きていない。その不思議さとメカニズムを知りたい人には「パクリ経済」(カル・ラウスティアラ著・みすず書房)がオススメだ。
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大変わかりやすいし、過不足なく問題を網羅していると思う。知財系の法律は改正が多いので、定期的にこの種のまとめ本を読む必要があるだろう。
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ちょっと勉強がてらと読み始めたが、あまりの面白さに一気読み。いやー、久々に素晴らしい新書に出会った気分。去年の春先にはやはり現代新書で文明探偵の冒険という当たりを引いたが、老舗新書の中でも一般向けの現代新書らしいいい本。
なにが良かったかというと、第1には著者が読者を本当に楽しませようと思って書いていることだと思う。ともすれば無味乾燥した内容になりがちな法律関連の入門書にも関わらず、至る所で著者の顔が見える。なによりも、著者が疑問に思ったことはジャニーズ事務所だろうがなんだろうが、一応、当たっていてそのやり取りが記されているのが面白い。さらには、これは読者によっては本筋から離れるので嫌う人もいるかもしれないが、話題にした特許の黄金風呂に入ってみたり、美顔器を使ってみたりと好奇心があったらなんでも飛び込んでみた経緯を描いているのも面白い。
そして、なにより最近、自分自信が仕事上、知りたかった著作権関係の問題についても、その回答が得られたことだ。素晴らしい!
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著作権をもっと積極的に活用すれば、経済活性化につながるだろう。著作権の目的は、その利用と保護のバランスの両方に配慮したものだからだ。模倣が許されない範囲を規定することで、ホワイトなゾーンを明確にして、権利者以外にも利用できるようにする。より制度設計を変えたら、知的財産を活用できるだろう。
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身近であったり、興味を持ちやすい話題、裁判例をもとに、知財関係の権利や諸問題を易しく解説している。
珍しく、繰り返して読みたいと思える新書に出会えた。オススメです。
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タイトルどおり知的財産について楽しく学べました。著作権、特許、実用新案権、意匠権、商標権、不正競争防止法、肖像権、パブリシティ権などの「だいたい同じように感じられて、良くわからない」権利を具体的(かつ絶妙な)事例を挙げながら解説してくれる。
・知的財産の世界は感情と法に大きな乖離があるように思える(個人的には)
・商品やサービスを世に出すとき抑えとくべき権利をしっかり検討したがよい
・商標登録をうまく使うと半永久的に権益を維持できる(こともある)
・何か困ればちゃんと勉強したほうが良い
・安易に「それってオレの著作権侵害してんじゃん」などと言わない
知的財産戦略と言う言葉が個人的にとっても好きでした。
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オリンピックエンブレムのパクリ問題は記憶に新しいが、世の中の知的財産はどのように守られているのか。
非常に興味深い内容でネット社会の今だからこそ知っておきたい情報だと思います。
とても面白かったです。
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法務を担当している友人に勧められて。知財というクリエイティブな領域を権利という法律に落とし込む難しさがよくわかりました。知らなかったことだらけ!なにより、この難しそうなテーマを、軽妙な読み物にした著者の存在が独特だと思いました。「あとがき」でも触れていましたが、読みながら感じたのは画像認識するようになった人工知能の創作物の著作権。人間の創作をどう権利化し、どう保護し、どうパブリックドメイン化するか、という本書で取り扱われているテーマはこらからさらに深化していきそうです。
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ちきりんが推していたため購入したものの、ずっと読めていなかった本。正月を使って読了。
いわゆる知財について、わかりやすくまとめられており、事例も数多かったことから読みやすかった。著作権とそれ以外で、そんな差があるとは全く知らなかった……。常に身近に置いといて、何か気になることがあれば参照したい本。お役立ち度で☆5つ。
事例に対して作者の雑感が付されていて、それにオチもうまいことついていたりしたのも好評価。
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作者さんが実際に特許をとった黄金風呂に入りにいったり、フェイスアップクリップ(美容用品)を買ったり、とろろ芋を食べたりと意外とお茶目で楽しく読めた。
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知財というと特許、著作権くらいしか思い浮かばなかったけれど、意匠権などもふくめた体系的な整理とそれぞれの違いがわかりやすい。
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面白くてためになる、わかりやすい。
●著作権は
・絵画を平面的に撮影した写真については発生しない。
・ちょっとやそっとの文章には発生しない。少しおしゃれなフォント程度では発生しない。
●東京ドーム肖像権??
●怪しい輩のいちゃもんに注意。
ディズニーの著作権は2018年で今度こそ切れそうですがどうなることやら。
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知的財産権に関する、良い導入書です。
とにかく実例が豊富な本です。当事者、特許庁、裁判所といった関係者がどのような判断をして、どういう結果となったかを見ていくスタイルになっています。現実の事例なので、話の背景が見えてなかなか面白かったです。ニュースでも話題になった有名な話も多数登場します。
きっちりとした法律用語を使ったり、実際の条文を示したりということは極力せず、噛み砕いた分かりやすい表現で書かれており、あまり前提知識を必要とせず読めるようになっています。堅苦しくないので、気楽に読めます。
ただ、検索性はちょっと悪いです。目次には、章単位でのページ番号しか書かれておらず、各事例のタイトルがずらずら並んでいるだけですし、索引のようなものもありません。読み通す分には何も問題ありませんが、後から目的の記述を見つけるのが面倒かも。
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本書は、知的財産法の入門書。各種知的財産権の基本的な解説から、それぞれの知的財産権の具体例、裁判となった事例が豊富に紹介されているだけでなく、小ネタも満載で、勉強になるとともに非常に楽しく読めました。
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「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。」
この文言を見た事がある人は多いのではないだろうか。
そう。アイフォンのウェブサイトの最下部に小さく出ている一文である。
これが何を指しているのか知らない方もいるかもしれない。
実はアップル社がアイフォン、アイホンという商品名を利用するために、
許諾を受けていることを示している一文である。許諾をしているのが、日本の企業であるアイホン社。インターフォンの会社である。
実は興味深い事実があって、アイホン社の決算資料を見てみると、ロイヤリティ収入1億円というような記載がある、らしい。
つまり、言い方は綺麗でないが、アイホン社には何もしなくてもお金が転がり込んでいるわけだ。
前置きが長くなったが、本書は、著作権をはじめ、商標権や特許権、意匠権など知的財産権に関して、その項目ごとに豊富な事例をまじえて解説をしている本である。
紹介されている事例を拾っていくだけでも、読み物と十分面白いのだが、知的財産権の分野で仕事をしていきたいと考えている若い世代や、仕事をこなしていく上で知識を仕入れておきたいビジネスマンにとっても、分かりやすく整理できる本だと思う。
まさに、タイトルのとおりである。
実は、お金持ちになるためには、3つの分野がある。
それは、不動産、相続、著作権と言われている。
正直いって、不動産と相続は生まれた家が元々金持ちでもない限り見込めない資産である。
しかし、実は著作権の分野は、モノを生み出す才能さえあれば、誰にでも大金を掴むチャンスがある世界だ。若者が作家やミュージシャンを目指すのはある意味で合理的といえるだろう。
そういう意味で、法律の専門家になるための第一歩にもなるし、野望を持つものにとっても、よき導きの書となる可能性が高い1冊だ。