紙の本
一読の価値あり
2017/02/26 21:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょひょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店で興味を持ち、電子書籍化されたので購読。
自民党の高村副総裁と国際政治学者の三浦瑠麗氏の対談録。
平和安全法制をメインに外交、政治について語っている。
基本は高村氏が話し手、三浦氏が聞き手だが、三浦氏の見解も随所に示される。
新書の対談録なので、非常に読みやすく、特に平和安全法制についての高村氏の考え方、および他の考え方がが平易に語られている。
その他のテーマは深く掘り下げられてはいないが、高村氏の現実に真摯に向き合う姿勢は、とかく耳障りのよい話に飛びつきがちな風潮のなかだからこそ、妙に安心させられる。
二時間ほどで読み終えたが、読んでよかったと思う一冊。
紙の本
政治は現実
2017/04/04 08:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブレーブス坊や - この投稿者のレビュー一覧を見る
自民党重鎮の高村氏と気鋭の国際政治学者三浦氏の対談。
安保法制の成立過程の舞台裏をうかがい知ることが出来る。
印象的なのは、高村氏の法律家と老獪な政治家として、そして現実を直視し、実行する圧倒的な実力。
そして、テレビとは異なる三浦氏の対談の進め方。
論調にすべて賛成というわけではないが、期待される学者としての実力が分かります。
学者の範疇にとらわれない活躍が期待されると思います。
内容も本来報道されるべき本質的な議論がなされており、大人として知っておくべき内容が新書のレベルでわかりやすく書かれている。
お薦めの新書です。
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第一章 安全保障の矛盾
安全保障は「確率のゲーム」
戦前の「翼賛勢力」に似ているのはどっち?
「原罪としての敗戦」という考え方
「国益」の縛りがあった方が軍隊の派遣は抑制的になる
個別的自衛権の拡大解釈が孕む危うさ
トランプの「安保ただ乗り論」
SEALDsの学生は「日本のいい子」
「中国の脅威」はどの程度なのか
尊重すべき「砂川判決」の法理
もともと「限定容認派」だった安倍総理
高村説、自民党を平定す
25回にもわたった公明党との協議
「安全保障環境の変化」は理解されにくい
原爆で生まれたアメリカに対する道徳的優位の感情
憲法学者の「領海侵犯」
イメージと現実の乖離が激しい自民党
軍事力の行使にリアリティが伴わない日本
自衛隊の現場に溜まるマグマ
憲法改正は可能なのか
第二章 外交の矛盾
「法理」はキープし、「当てはめ」は柔軟に
米軍駐留の必要性と国民感情の相克
対北朝鮮政策に「正解」は存在しない
「ガツン」とやっても拉致被害者は帰ってこない
「トランプ大統領」で日本外交の選択肢は増える
安全保障論議はなぜ深まらないのか
安倍、石破、小沢の政治スタンス
与党内タウンミーティングという「擬似国会」
集団安全保障の議論はしなかった
北方領土問題は解決するのか
「イラン、ミャンマー、キューバに行きたい」
アメリカのメッセージをイランに言伝
第三章 政治の矛盾
小選挙区制が生んだ「政治主導」
「政高党低」か「党高政低」か
筋金入りの平和主義者・河本敏夫
候補者発掘をどうするのか
政界に自浄作用は働いているか
議員の能力は人それぞれ
許せるポピュリズム、許せないポピュリズム
構造改革を支持する層が投票できる政党はあるのか
「一本の矢」ではなく「千本の針」を
「国益」がタブーだった時代
自民党議員は「お勉強」をしない
国会も「グローバルスタンダード」にせよ
来るべき二大政党制のかたち
なかなか読み応えありました。
根っこから9条2項の改正ないし削除
の正面突破するべきだとおもうけどなぁ
青山繁晴さんは
『現憲法下でも国際法上、拉致被害者の
救出が認められてるって外務省が答弁してる。
自衛隊もしくは警察の部隊で救出できることを意思表示
をすることで交渉が加速するし変わる』
って言ってたんで、奪還しに行けって言ってるんじゃないと思うけど。
三浦さんの半笑いに怒る青山さん
https://youtu.be/qTEY0D8A4Go
三浦瑠麗×高村正彦との対談
https://youtu.be/Cd4RmsaHzfs
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安倍政権がものすごく抑制的な政権だってことがよく分かった。
高村「安倍政権は後方支援にも参加しない方針をとっています。」
三浦「実際に派遣される陸上自衛隊のほうが、性急な派遣に慎重な姿勢を見せた一方で、民主党の中では自衛隊員のリスクを問題にしない方が結構おられた印象があります。彼らは軍事問題をリアルに考えていないので、軍人の安全性という常にグレーである部分を「どれだけ白に近づけるか]という発想がないんですね。」
三浦「軍隊の派遣についても、「民主主義の実現のため」とか「アメリカ、もしくは自分たちが協力しようとしている国の政権がリベラルだから」といった判断に基づくと、縛りがなくなってしまう。自分たちはアプリオリ(=先天的)に抑制的だと思っているから、いざ自分が軍隊の派遣を決定しても、「これは抑制的な派遣である]と思い込んでしまうわけです。
高村「もともと限定容認派だった安倍総理」
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当事者の話は成る程と思う事が多い
ささっと新聞やテレビを見るのでは全くわからなかった経緯が分かる
本論からはずれるけど小選挙区制導入で二大政党時代になるはずだったのがどうして日本では実現しなかったか不思議だけど
政治家育てるのもすごく時間かかるから2つも政党持つより1つにしとくという側面もあるのかなと思った
派閥が教育機関として作用するかはちょっと疑問だと思うけど
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高村さんの聡明さが光っています。政治の世界にこんなリアリストがいてくれると心強い。でも、近くにいると、「ダメだよ、そんな地に足がついてないこと言ってちゃ。今できる最善を考えましょう。」とか、たしなめられそう。
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大臣を歴任した高村正彦と三浦瑠璃の対談本。
高村のちょくちょく入る自慢は鼻に付くが、彼がリアリストで、同じくリアリストの政治評論家の三浦瑠璃との対談は噛み合ってた。
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平和安全法制の文言がどうしてあのようになったのかについて、自民党内において27回、そして公明党の北側氏と直接25回協議した高村副総裁の貴重な証言を中心とした、「安全保障の矛盾」だけでも充分すぎる貴重な対談である。
どうしてあのようなややこしい文言が必要となったのかについて、まともに報道されていない気がするのだが、『砂川判決』の法理に基づいている法律だから、『砂川判決』の文言をなぞっている。ただそれだけだというのがとても良くわかる。(というか、ようやく文言について腑に落ちた)
そして、『外交の矛盾』『政治の矛盾』においても、高村氏の経験に基づく常識論が良く伝わる。三浦氏が大きく叩いているからこそ、高村氏の回答が良く響いている様に感じる。
それにしても、高村氏の安倍総理評はとても興味深い。
理念先行型のロマンチストでは無く、理念は理念として切り離せるリアリストタイプ
『自分は国民に対して自分の新城を率直に訴えさせて貰います。そして、しかるべき地位を得た時には、現実をよく見て国益を考えて行動します』という安倍総理が新人議員当時の発言を紹介しているが、それに対する高村氏の『こいつ凄いこと言うな。単なる国会議員じゃしかるべき地位じゃ無いと思ってるんだ』には吹いた(^^;