電子書籍
ふたりはウラキュア!?
2023/03/18 14:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
kindle版のセールでダウンロードして読了。リアル本でなしに一からkindleで読了したのは初めて。
せっかくなので、このシリーズはこれで読み継いで行こうかな。それにしても、ストルガツキー『ストーカー』が百合SFの元ネタになるとは…。いいぞもっとやれ(笑)。
一人で行ったらヤバい裏世界、最初の出会いで二人セットの能力を獲得して、その使い方を覚えていく。なるほど、変身まではしないけど、『ふたりはウラキュア』と思えばいいのか(違)。
紙の本
やっぱりなんだか気持ち悪い
2018/10/03 21:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
嫁さんが先に読んで。「気持ち悪い。」と言うので、どんなもんかいなと思って読んでみたら、やっぱりなんだか気持ち悪い。
内容だけでなく、登場人物の性格付けや、ストーリーの動きも、「なんだか気持ち悪い。」
しかし、そこが作者の狙い目な訳で、まんまと乗せられましたわ。
すっきりと読めてしまった自分がまた気持ち悪かったりして。
菊地秀行あたりが片手間に書きそうな話しだが、現代の都市伝説を上手く使っていると思う。
裏世界の薄っぺらさがまた何ともいい。
次回作にも期待したい。
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くねくねとか八尺さまとか懐かしいな!と思って読み始めたら一気に読み終わって、続きが読みたい…女の子達の謎もまだまだわからないし、でも都市伝説も同じであんまりしっかり謎は解き明かされないほうがいいのかなとも思ったり。不器用な女の子達が仲良くなっていくのよかったです…
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"「だって、鳥子が呼んでるんですよ!」
思わず熱がこもってしまう。
わざわざ二回撃ったということは、私たちがくねくねを撃った二発の銃声が、向こうにも聞こえたということだろう。
「鳥子がすぐ近くにいるんだから、そこまで頑張りましょうよ」
小桜がげんなりした顔で天を仰いだ。
「コミュ障サブカルオタクに見せかけて依存性サイコパスだったとか、勘弁してくれ」
「いまなんか酷いこと言いませんでした?」
「マジで自覚を持ってほしい」"[p.271]
「ファイル1 くねくねハンティング」
「ファイル2 八尺様サバイバル」
「ファイル3 ステーション・フェブラリー」
「ファイル4 時間、空間、おっさん」
ファイル1~3はSFマガジンで読んだので4だけ。
認識の不安定さの表現がぞくぞくする。怖い。
続きでるかなぁ。
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ネット怪談×異世界ですか…ということで買ってみたけど、『ウは宇宙ヤバイのウ!』の人だったことに気付いて、より期待値が高まった一冊。
うん、なかなかネット怪談的な不気味さとマイナーニッチ感があってよかった!
ネット発祥の怪談を素材としているからか、メインキャラクターたちも妙に人づきあいが苦手で友情に飢えているところがあって、実にそれらしい空気感だった。
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ネット上で有名なオカルト(都市伝説)をモチーフにしたSF小説。
表紙のイラストに加え、ネットの都市伝説を題材にしている時点でラノベテイストなのですが、
都市伝説は好物なのでつい購入して一気読みしてしまいました。
主人公達の喋り言葉も現代語を話し、名前もネット上のハンドルネームのような名前です。
八尺様やクネクネ、きさらぎ駅等有名所を使っているので、都市伝説好きな人であれば「あの話だw」とそれなりに楽しんで読めるかと思います。
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タイトルに惹かれて購入。最近、都市伝説をテーマにした小説が多い様に感じます。大抵の作品は、現実世界が舞台ですが、この作品は異世界が舞台。
それなのに、都市伝説の怪異が違和感を感じさせずに描かれているのは、著者の宮澤伊織さんの筆力が高い証拠だと思います。
個人的には「ステーション・フェブラリー」がお気に入りです。
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ネットの都市伝説は存在した。そこは街中から繋がる異世界だった。そこで空魚は鳥子と出会い意気投合し、異世界にいるという鳥子の知り合いを探すことに。
面白いSFだった。何だか訳のわからないモノが襲ってくるしトラップはあるし軍隊まで迷い込んでるしで、次々と厄介ごとが出るのにピクニックのように楽しんでる主人公たちが面白い。
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都市伝説や怪談やネットロアの怖い話が元ネタのホラー小説。
世界のあちこちにある「入口」の向こうの「裏世界」、そこで出会うのは「くねくね」だったり「きさらぎ駅」だったりで参考文献が2ちゃんねるオカルト板だったりする。
正直怖い。
ホラーなんて映画もほとんど見ないのに、宮澤伊織さんだから手を出してしまった…。
でも怖いという感情の学問的解説を聞けて良かった。
あと裏世界の解説はややSF的で助かった。
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文章・文体がいいですね。読みやすいし読んでいてい気持ちいい。次第に明らかになっていく裏世界の設定も説得力のあるもので今後の広がりに期待。今のところまだ登場してないけど行方不明の冴月が存在が一番怖いです。
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”百合が好きな人たちの間には「百合について語るな、百合をやれ」という感覚が共有されていると思うんです”
とあるインタビューでそう語った作家がいた。その作家は配信中のVtuberのチャットの現れたかと思えば、突如自身の人格からワオキツネザルを分離させVtuberデビューしたりしていたが、とにかく信頼できる作家であることは分かった。
だからこそ、極上の百合小説が読めると喜び勇んでページをめくったのだが、私はこの小説が「SF」であり「ホラー」であることを失念していた。
■ホラー
主人公である空魚と鳥子が冒険する「裏世界」は一見するとのどかな世界だが、その実常に死の危険と隣り合わせている。実話怪談をベースとした化け物たちや、目に見えない罠〈グリッチ〉ももちろん恐ろしいのだが、読んでいて真に恐怖を覚えるのは言語や認識が侵される場面であろう。この裏世界に入り込んだ人間は、何らかの影響を受けてしまうらしい。自分では普通に会話をしているつもりなのに、はたから見ると意味不明なことをしゃべっている。そんな風に自分では正気だと思っているうちに何かを歪まされるのだ。目の前に存在する怪物と違い、物理的に防御も抵抗もできない侵略は、それに気づいたときにたまらなく恐ろしい。
そんな危険な裏世界に「二人なら」と挑んて行く姿に百合を感じるのである。
■百合
百合と言っても空魚と鳥子が恋愛をして恋人同士になるとかそういうことではない。百合とは女性同士の恋愛だけを示すのではないと作者も先ほどのインタビューで語っている。
”百合とは何かといえば、“女と女の関係” といえば間違いないといえます。”
”この「関係」とは「恋愛」だけではなく、恋愛をもその中に包み込む非常に大きな“何か” です。この時点でもう、「百合=女性同士の恋愛」という定義は当てはまらないことがおわかりいただけると思います。女と女を結びつける“何か” は「巨大不明感情」と呼ばれたりもしました。2016年くらいに確立した概念ですね。「感情」の動きをちゃんとやるとフィクションの「解像度」が高まるんです。解像度の上がった百合は「強い」。”
個人的にこの「巨大不明感情」という概念がとても好きなのだが、空魚と鳥子の間にも一言では表せないような複雑な感情が横たわっている。お互いに信頼と好意があるのは間違いないのだろうが、感情の矢印がしっかりとお互いに向き合っているわけではない。そのズレから衝突することもあるが、そんな衝突や裏世界の冒険を経て、二人の関係がどのように変化していくのか目が離せないのである。
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都市伝説、ネットロアの類×異世界サバイバル小説。
取り扱っているものがホラーの類いなのでホラーに見えるけれど、個人的にはこれはSFの分類だなと思った。「よくわからないもの」がホラーの真髄だと思うので、それに理由をつけ理屈を立てようとする登場人物の思考回路がSF。みたいな。
元ネタのネットロアや都市伝説を知っていると面白さ倍増だとおもう。大好きなのですごくツボだった。
恐ろしいけれどどこか美しい異世界でサバイバルが楽しい。怖いんだけれども二人でいればなんとかなる感が強い。
登場人物がみんなどことなく不器用。特に主人公ふたりは見ていてもだもだいらいらする位に不器用でぎこちないのだけれども、衝突したり味わったことがないモヤモヤを抱えたりしながらもゆっくり、少しずつ仲良くなっていく過程が良かった。
すごく面白かったので続きを読みたい。
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ネットのどこかで「最高の百合」という評価があったので読みはじめたのだけれど、その推薦書きは「ハッピーターンの粉を使った世界一美味い肉じゃがの作り方まとめ」とか「マクドナルドのチーズてりたまが神の食べ物過ぎて毎日食べられる」みたいな意味だったみたいだ。この煽りで膨らむ期待ぐらいの味わいは保証できる作品である。作家はなかなかの腕前だ。
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ファンタジー。SF。冒険。連作短編集。
「八尺様サバイバル」「ステーション・フェブラリー」はSFマガジンで既読。
挿絵もあり、ほぼライトノベル。
SFとしては、ストルガツキー兄弟の『ストーカー』が近いか。
ホラー、怪談、百合、ガンアクション(?)の要素もあり。
気軽に読むには良さそう。
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「くねくね」や「八尺様」などの異形が跋扈する、世界の裏側を探索する少女二人の怪異譚SF。異形の描写はやや写実性が曖昧なものの、暗さではなく明るさをベースにした裏世界の描写は異世界感が際立っており、現実では無い場所を想起させる秀逸な描き方だと思う。下手な暗闇より不自然な明るさのほうが何倍も怖く、その明るさの恐怖を踏まえているからこそ、裏世界の夜はより恐怖が増大するというのは上手い描き方であった。
ただ惜しい点もいくつかあって、それは裏世界の夜での恐怖体験が少なかったことだろうか。怪異による精神汚染や、くねくねの突起が生えるなど、生理的な恐怖感もよかったが、もっと色んな方面で怖がらせても良かったような気はする。確かに美少女二人が毎回発狂寸前まで追い詰められるのは良かったが、登場人物の数も少なく、被害者も同様に少ないため死の恐怖は薄かった。また怪異の及ぼす影響もやや半端で、手と目という「認識」と「接触」の能力を得たというのは面白いのだが、人目を引く以外に、現実世界で何かしらのデメリットがあってもよかったと思う。ドロップアイテムや常識が足がかりにならない世界で、唯一怪異を「見る」や「触れる」といった常識的なラインに引きずり落とすことのできる対抗策になるというのはいいのだけど、悪影響も見てみたかった。やはりそれは対比表現の問題であり、裏世界と比較して日常を安全にしてしまったせいで、やや裏世界の恐怖の「持ち越し」を拒んでしまったせいだろう。裏世界には侵入するのではなく迷い込むという体裁をとっているのが良かっただけに、裏世界から日常というベクトルでの侵食も欲しく、日常が崩れ去る恐怖も読んでみたかった。ホラーではないのでそこまでの恐怖は要らないかもしれないが……。あと全てを根源的恐怖への知覚や認識の問題にしたのは賛否両論あるかもしれない。SF好きとして理屈が欲しい気持ちは分かるが、正体不明の恐怖が解き明かされていくのはやや冷めてしまう部分もある。こういうアプローチを試みるのは好きなのだが、個人的には完全に法則の違う別世界として独立してくれていたほうが望ましい。
もう一つの要素である百合は中々のもので、友達や恋人といった風に、関係性が固定されない百合描写は素晴らしい。また死線を越えるたびに絆が深まるというのも丁寧に描かれている。怪異を銃で撃退するのは、怪異に対して物理的な抵抗を想像した人間なら爽快感があるだろう。くねくねを発狂寸前まで見つめながら、マカロフをぶっ放す様はケレン味がある。ただその代わりというわけではないが、怪異に魅せられて廃墟探索に行く人間の心情は凄く上手く描けている。恐怖心というものと同様に探究心もまた根源的なものである。色々と惜しい部分も多い作品ではあるが、次巻以降も読んでみたいと思う。