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著者がローマ史を専門としているということもあり、ローマやギリシアに関する内容が多いが、非常に読みやすく、現代との結びつきというところにこだわりをもって書くという気概がひしひしと伝わってくる。
世界史はほとんどまともに勉強してこなかったが、とてもおもしろく読めました。細かいところを理解するためにも、もう一度読み直そうと思います。
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序章で期待値が上がる。
1. 文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
2. ローマとの比較で見えてくる世界
3. 世界では同じことが「同時」に起こる
4. なぜ人は大移動するのか
5. 宗教を抜きに歴史は語れない
6. 共和制から日本と西洋の違いがわかる
7. すべての歴史は「現代史」である
これらのテーマに合わせて歴史として残っている情報に著者が考察を加えていくスタイル。
地球的な気候変動による文明の発祥説は納得いく感じだったが、この本の量ではテーマが多かった感じで、読み手としては消化不良になってしまった感が残りました。
塩野七生氏の「ローマ人の物語」は、読んだことがあったのですが、その前提知識からすると、奴隷という言葉のニュアンスが異なる感じも。
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世界史を現代につながる学問として捉え、なぜ今そうなっているのか、を歴史からわかりやすく解説している。
世界史を網羅するというより、考え方、見方を教えてくれる本と思って読んだ方がいいかも。
しかし何より、最後にあった「退廃に向かう社会では人は自分にも他人にも優しくなっていく」という言葉が、恐ろしく腑に落ちた。ホワイト企業がいいとか、社員に優しくとか言ってることに違和感を持っていたけど、社員に優しくするのは、上層部の人気取りの衆愚政治につながり、バカを勢いづかせるだけって警鐘が、歴史学者の方から出ているっていうのは、重要だと思う。
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長らく大学教授として研究に邁進し、教鞭を振るってきた著者が、「歴史家」としての視点で世界史を読み解く、なかなか示唆に富む1冊。世界史の予備知識があったにこしたことはないけど、なくてもまぁちょっと調べればわかる、という前提で書かれているかな。
特にふーんと思ったのが、西洋と東洋の君主のあり方について。古代ローマの皇帝に代表されるように、西洋の君主は常に民衆の前に身をさらし、民衆の声をじかに聴き(悪口さえも)、政治に反映していく(しない場合もあったが)。対して東洋では、例えば中国皇帝や日本の天皇のように、御簾(みす)のうす暗い所に“おわしまし“て、めったに人前に姿を現さず、そうした神秘性を権威に結び付ける。いずれもそこから政治体制をはじめ、いろいろな社会・文化・意識のあり方に影響を与えてきたというわけだ。
また、歴史は過去の遺物でなく、常に現代との関連性でつかんでいく、これは巷でよく言われることなんだけど、この本を読むとそそれに納得がいきますね。著者は狭義では古代ローマを専門としているんだけど、そこをある程度もとにしながらも、「広く深く」世界の歴史を追う、その知的な展開に大いに刺激されたわけです。
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本村凌二『教養としての世界史の読み方』読了。駒場のローマ史の人の本。売れてるらしいと手にとってものの、オジ様たち相手のチョロ過ぎな内容。ローマ以外にも精力的に言及されるのはよろしいがちょっとラフすぎないか。加えてスピリチュアルな珍説に石原慎太郎や養老孟司リスペクトはいただけない…
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海外では信仰があることがモラルと繋がってくる。日本では、なかなかそのことを実感することはない。今まで、海外の翻訳本を読む際に、宗教が自然に生活に溶け込んでいる違和感はこの違いなのだろう。国外の歴史も単語で覚えようとするから面白くない。日本の歴史と同様にストーリーを学び、現代と繋げて考えることで世界史がより身近に感じられる。
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面白かった。「乾燥化」「宗教」「民族の大移動」などは特におさらい兼新たな発見という感じでワクワクしながら読めた。
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世界史の本ではなく、世界史の読み方の本。
切り口を変えて考えることで、受験のための世界史ではなく、教養としての歴史の見方が面白かった。
本当は筆者の専門であるローマ史の同タイトルを読もうと思ったのだが図書館で借りられていて、こちらが空いてたので先に読んでみた。そちらもそのうちに読んでみたい。
以下読書メモ:
グローバルスタンダードとしての教養は、古典と世界史
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ 鉄血宰相ビスマルク
文明化に必要なもの=乾燥化 水を求めて川に集まり人口が集中する。水活用システムに知恵を絞る。その記録に文字が必要となる。
ローマはなぜ帝国になりえたか 宗教的誠実さが個より公共を重んじる国民性が国家としてまとめ上げ、独裁政(コンスル)、貴族政(セナートゥス)、民主政(コミティア)が同時に存在するバランスの良さで国内が安定してエネルギーを国外に向けられた。
帝国はなぜ滅びたのか
武士道、父祖の遺風 名誉
ローマ帝国はどうして偉大になったか 寛容
ローマ帝国はどうして滅んだか 傲慢
世界では同じことが同時に起こる
産業革命時の環境は、西ヨーロッパと東アジアでそれほど変わらない。イギリスで産業革命が起きたのは、①人口が多い地域の近くで石炭の産出、②植民地の拡大で巨大市場、③植民地にあ余剰人口を移民させられる。
民族移動は世界史ではよくあること。
人口の増えすぎ、寒冷化・乾燥化→食料不足。信仰の弾圧、奴隷売買。戦乱。
欧米: 信仰心が薄い=モラルが低い
日本: 信仰心が薄いのにモラルが高い その疑問を説明したのが、新渡戸稲造の「武士道」
ジェインズ 3000年前の人類は神々の声が聞こえていた 二分心
神々の声が聞こえなくなり、生きる指針として絶対的な神を必要とした。
SPQR ローマの元老院と民衆という意味。 ローマ帝国の正式名称で、階級的身分的区別も表す。 映画 グラディエーター
共和政 有意の人々の合議制 ローマは代表を選挙で選ぶのではなく、権威ある元老院貴族の合議制。
共和制 近代以降は誰が権威を持つかわからなくなったので、制度を設け、選挙で選んだ人による合議制。
ギリシアは平等を重んじて外の集団に門戸を閉ざし、ローマは特権階級を認めていたので外部の人間をローマ市民として受け入れられた。
歴史はすべて現代史である。
歴史に学ぶと未来が見えてくる。
韓国の研究者 真実を決めるのは世論であって我々が権威決められることではない
中国の研究者 史実とか事実は中国共産党が決めることであって我々が決めることではない
中国は国内植民地政策 都市と農村
お勧めの古典
カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー
戦争と平和 トルストイ
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もともと歴史は好きで、日本史関連を中心に読んでいましたが、今年(2018)から世界史にも興味を持つようになりました。特に古代文明の発祥については歴史の授業でやりますが、その文明はどのように続いたのか、他の文明に吸収されていったのかについて興味があります。
歴史とは連続しているはずですが、どうも中世の前後で断絶があるような気がします、その時点ではアジアが栄えていたので、西欧中心の歴史を学んできた私にとって、ポッカリと穴が開いているような気がしています。
今後はその穴をうめて、歴史を繋がりとしてとらえるべく、今回読んだような本を参考にして理解を深めていきたいと思っています。
以下は気になったポイントです。
・教養がないと、中身のある会話ができない、国際人として、社会人として、教養は語学力以上に大切である(p12)なぜ世界史が教養に必須なのかというと、歴史は人間の経験の集大成に他ならないから(p13)
・人間社会の普遍的な真理を教えてくれる「古典」と、人間の経験の集大成である「世界史」、この二つをきちんと学び身に付けることで「教養」の基礎が築かれる(p15)
・江戸後期(1750年以降)とローな時代を比較すると、両者がとても似ていることがわかる、例として水道設備が整っていたこと(p27)
・違いとしては、西洋の為政者は民衆に姿を見せて、さまざまなパフォーマンスを見せる一方、東洋の為政者は、中国皇帝・日本の天皇・将軍のように、その身は常に御簾の向こうにあって民衆の目にふれることは殆どない(p32)
・文化は自然風土の影響下にあるので、その土地では有効ですが、ほかの土地に行くと通用しない可能性があるが、文明は、そうした「地域性」を超越した、ある意味「普遍性」を持っている、文化的なものからどれだけ普遍的なものを作っていくかというところに「文明」は生まれる(p43、45)
・文明発祥に必要なもの、それは「乾燥化」である、四大文明が起きたとき、世界では大規模な乾燥化が進んでいた。少ない水資源をどのようにして活用するか、ということに知恵を絞るから(p49、51)
・ローマとアメリカを比べてみると、どちらも初代から異民族出身の為政者が登場するまで、220年というほぼ同じサイクルで歴史が動いているとわかる。(p80)
・ギリシアは国内紛争でエネルギーを消耗したので大国になれず、国内が安定していたローマは、その分のエネルギーを外に向けられて帝国になれた(p88)
・江戸の人々は、七夕の日に江戸中の井戸を一斉清掃した、江戸には「六上水=神田、玉川、本所、青山、三田、千川」があった、なかでも、井の頭池を水源とする神田上水、玉川上流(羽村)から取り込んでいた玉川上水が本流であった(p102)
・悲劇とは、勝者になった幸運児が敗者に転じたときに起きるもの、敗者が経験するのは悲哀のみ(p113)
・ローマの様な奴隷社会は、きつい労働はすべて奴隷がするので、改良・工夫の努力がなされなかった(p114)
・プラトンが掲げる人間の三種類の趣��、1)知識、2)お金儲け、3)勝利(p115)
・ガンジーの言葉:明日死ぬと思って生きなさい、永遠に生きると思って学びなさい(p118)
・人々が政治に期待しなくなった中、社会的不安を抱えた民衆が心のよりどころにしたのが、キリスト教であった。キリスト教普及は、軍人皇帝時代の社会的不安の増大が大きい(p130)
・アルファベット、一神教、貨幣、は歴史の大きな流れの中で、ほぼ同時に起きている。ある程度文明が複雑化してくると、自然とそれを単純化しようという動きが生まれる可能性を示唆している(p141)
・イギリスは、作業地の近郊でエネルギー源としての石炭が手に入ったこと、植民地拡大で大きな市場が手に入った、さらに土地による人口の制約が外れたので、人口が激増しながらも、一人当たり消費量も上昇する状態が生まれて産業革命が起きた、アジアではこの条件に恵まれず遅れをとった(p152)
・ローマは自分の領土を拡大することで帝国をつくりあげたが、アメリカは手付かずの広大な土地を開拓することで帝国化した(p163)
・1685年にナント勅令は廃止されて再び宗教弾圧が始まる、フランスのプロテスタントの多くが、オランダやイングランドに移住した、オランダへの移住がオランダの興隆に繋がった(p172)
・寛容なローマがキリスト教をを弾圧する最大の理由は、キリスト教徒たちが、キリスト教以外の神々は偽物で、それを信じてはいけない、と主張したから(p186)
・ロシアにとってクリミアは絶対に手放せない。セパストポリ軍港があり地政学的に重要な場所である、この港を失ったら地中海航路を失い、地中海の覇権をヨーロッパと争うことができなくなる(p189)
・欧米人にとって、信仰心が薄いというのはモラルが低いこととイコールである、モラルの背景には宗教的制約があるので(p192)
・人間が明確な意識を持つことになったので左脳が発達し、対する右脳は退化してしまい、神々の声が聞こえなくなったと、ジェインズは説明している。神々の声とは、右脳の声であった、会話は左脳が司り、メロディ・リズムが一体となった歌は右脳が司っていた(p201)
・神々の声が聞こえなくなってきたことで、人間は自ら考えて指針を持たなければならない状況になった、そこで作り出されたのが、全知全能の唯一神でないか(p207)
・現在の状況は、紀元前1000年頃に人間が意識を持ったことから始まっている、現状を打開するには、もう一つ人類が新たなステップに進むことが必要である。異なる価値観を持つ人々がその地域に入ってくると対立が生じる(p230)
・ローマは、独裁政・貴族政・民主政というギリシアが一つずつ行ってきた三つの政体をバランスよく組み込んだ政治(共和政)を行ったので、国家を大きく成長させることができた(p239)
・ローマが開放策を取ることができたのは、国内に歴然たる身分の区別があったからである、ギリシアは平等を重んじたが故に、外の集団に対して門戸を閉ざした(p249)
・今の中国は、国内が本国と植民地によって構成されているようであ���、大都市が本国で農村やそれ以外の都市が植民地に見える(p259)
・地政学的には、日本はイギリスに、中国はドイツに匹敵すると考えると非常にわかりやすい(p268)
・気温低下による作物減少、それに伴う人口減少、その少なくなった人々がローカルな地域社会にこもることで技術や商業ルートが失われたのが、中世の時代であった(p283)
・本当の優しさは、自分というものをちきんと持った人が周りに対して示す寛容さである(p298)
2018年8月18日作成
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・文明発祥には、馬と乾燥化が必要
・なぜローマ帝国では蒸気機関の知識を持ちながら産業革命が起きなかったのか?奴隷が居たから技術革新の必要が無かった。
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『教養としての「ローマ史」の読み方』ほどのインパクトはないが、筆者の視点からの歴史観が伝わる。なぜゲルマン民族の大移動が起きたのかなど、興味深い。
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世界史を俯瞰する時のモノサシ、考え方を著者の専門であるローマ史を中心に事例を通しながら解説。
恥ずかしながら、ローマ帝国の盛衰を初めて知る。
宗教の対立、民族移動の背景等も、原因は案外シンプルでありだからこそ根深く、今日になっても解決は至って難しい。
歴史は現代のフィルターを通してみる、という事は重要でもあるし、それこそが歴史を知る面白さなのだとも思う。
古代人は右脳で神のお告げを受けてた、という話はなかなか理解出来ないし。
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筆者がローマ史好きで誇りに思っていることが伝わってきた。
この本を読むことを通して、歴史に対する新しい視点を持つことができた点はよかった。
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非常に面白かった!
「ローマ史には人類の歴史が全て詰まっている」ー読んでみてなるほど、確かにそういう一面もあったのだなという気がしてくる。読みやすい文章に説得力がある。
古代の人々は神の声が実際に聞こえたのではないか、という考証は興味深かった。
ただ、たまに検証された「定説」なのかこの著者の「主張」なのかが分かりづらいところがあったように感じた。
確証のない仮説を事実として扱ってしまいかねないので、書き方には注意が必要だと思う。
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【感想】
うーん。たしかに面白いんだけど、読んでいる途中から大きく感じた「これじゃない感」。
世界史といえば世界史なんだけど、自分が期待していた読み物とは全く違った。
個人的には、世界史の教科書的なものを期待していたのだが、この本は「なぜ人類が発展したのか」といったことがテーマになっており、どちらかというと「サピエンス全史」チックな内容の本だった。
世界史の基礎的なお勉強をするためには、かなり不向きな1冊でした。
読んだ後、日常で使用できる知識・教養には直結しない1冊だったかなぁ。
【内容まとめ】
1.グローバルスタンダードの教養とは、「古典」と「世界史」である。
人間社会の普遍的な真理を教えてくれる「古典」と、人類の経験の集大成である「世界史」、この二つを学び身につけることで「教養」の基礎が築かれる。
2.文明はなぜ大河の畔から発祥したのか?
「文明は都市」「文化は農業」と密接に結びつく。
文明という言葉には、そもそも「市民」という意味が含まれている。
基本的に、国または市民の集まる都市を前提としたものである。
3.恵まれた環境に文明は生じない
乾燥化が文明発祥の大きなファクターを占めている。
何故いち早く土器を生み出した日本が、「文明」と言える段階に至らなかったのか?
それは、日本が自然環境に恵まれ、人口の集中も起きず、少人数の集落でも安定した社会を長く営むことができたからである。
4.ローマの歴史の中には、人類の経験のすべてが詰まっている。
ローマの歴史は興隆、発展、安定、衰退という、いわゆる文明においての起承転結の過程が非常にはっきりとしている。
ローマ史は、世界史においてブランド品といえる所以である。
【引用】
p12
・グローバルスタンダードの「教養」とは?
「古典」と「世界史」である。
人間社会の普遍的な真理を教えてくれる「古典」と、人類の経験の集大成である「世界史」、この二つを学び身につけることで「教養」の基礎が築かれる。
p14
ドイツ宰相・ビスマルク(1815~1898)
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
直訳すると、「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む」。
p42
・文明はなぜ大河の畔から発祥したのか?
「文明は都市」「文化は農業」と密接に結びつく。
文明という言葉には、そもそも「市民」という意味が含まれている。
基本的に、国または市民の集まる都市を前提としたものである。
混同される言葉に「文化」がある。
文化の語源にはラテン語の「colere」、「耕す」という意味があり、文化はその土地の自然や風土の影響を色濃く受けるものだということがわかる。
p46
・「四大文明」が通用するのは日本だけ?
古代エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明の4つ。
最近では四大文明のほぼ同時期やもっと古い時代にいくつもの文明があったことが明らかになり、「四大文明」といった言い方はあまりされなくなってきている。
p53
・恵まれた環境に文明は生じない
乾燥化が文明発祥の大きなファクターを占めている。
何故いち早く土器を生み出した日本が、「文明」と言える段階に至らなかったのか?
それは、日本が自然環境に恵まれ、人口の集中も起きず、少人数の集落でも安定した社会を長く営むことができたからである。
p58
・ソフィスティケート
今あるものを工夫し、改善し、創意工夫をしてより良いものを作り出す能力のこと。
ローマ人と日本人の共通している特徴。
能力の真髄として、今あるものをごまかさないで改善していく「誠実さ」が挙げられる。
p78
・ローマの歴史の中には、人類の経験のすべてが詰まっている。
ローマの歴史は興隆、発展、安定、衰退という、いわゆる文明においての起承転結の過程が非常にはっきりとしている。
ローマ史は、世界史においてブランド品といえる所以である。
五賢帝のような立派な皇帝がいるかと思えば、暴君の代名詞である「ネロ」、変人のエラガバルスなど、色んな支配者が登場する。
また政治システムも、王政→共和政→独裁政など色々なスタイルがある。
またアメリカの前大統領オバマのように、異民族出身の為政者が登場するなど、現代と同じようなサイクルで歴史が動いているのも面白い。
p85
・ローマはなぜ帝国になりえたのか?
一つは、ローマという国の国政システムが非常にバランスが良かったという点。
ローマはギリシャと違って独裁を嫌い、政体の循環がなかった。
また合理性を好むローマ人は、権力がある程度集約されていたほうが物事が合理的に進むことも知っていた。
二院制を当時から持ち、国内のバランスを整えることで争いを減らし、外に向けるエネルギーの量を増やしたために帝国になりえた。
また、ローマ人の宗教的誠実さが、個より公共を重んじる国民性を生み出し、それがローマの国家としてバランスが良くなった。
p157
・なぜ民族は大移動するのか?
問題の一つは「食糧不足」。
人口の増加や、寒冷化・乾燥化といった気候変動。
人々が飢えないためには温暖な気候かつ、水辺の地域に移動する必要があった。
p195
人間にとって神とは何なのでしょう?
私は、人間にとって神とは一種の「理想」だと思っています。
人間というのは、理想に近づこうとする宿命のようなものを背負っています。
行動するときに、実際その通りにできるかどうかは別として、理想的な行動をしようとするのもそのためです。
つまり宗教とは、人間が神という理想に近づくための方法を示すものだといえるのです。