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文明は都市、文化は農業と結びつく
農耕は自然条件に限定されるため、特定の地域性と気候風土を帯びる(文化)。異なる風土に対する技術の発明こそが文明である。
紀元前5000年に文明が一斉に現れた理由…乾燥化による民族移動、水辺を求めて人が集まり、少ない水資源をどのように活用するか、から文明が生まれた
また、馬が存在しないと、人と情報の交流が少なくなり、文明の発展が遅くなる
ローマ人と日本人はソフィスティケート(改良)が上手い、ローマが天下を取れた理由
ソフィスティケートする能力は、正直さや誠実さに根ざしたもの
ギリシアのポリスとメソポタミアの都市国家の違い
メソポタミア…乾燥化による灌漑を取り仕切るため、力の強い者が王となり、そこから王中心の都市ができた
ギリシア…最初に王国ができて、その周囲に街ができた
ギリシア人は切磋琢磨し、誰もが国政に参加し発言できる民主政のシステムが生まれた。これがポリスの誕生
ローマは何故帝国になり得たのか?
→独裁政(執政官)、貴族政(元老院)、民主政(民会)が同時に存在したため。
ギリシアは、独裁政→貴族政→民主政といろいろな勢力が権力を持ったため、内紛になりやすく国家が大きくなりにくかった
また、ローマ人の宗教的誠実さが、個より公共を重んじる国民性を生み出し、それがローマを国家としてまとめ上げ、国政システムのバランスの良さが、エネルギーを外に向けることを可能にした
ローマ皇帝と天皇の違い
アジアでは、皇帝は民衆の前に現れない、批判を許さない
ローマ皇帝は、姿を現し、批評も可能
ローマが偉大な国となったのは、寛容の使い方が上手かった(属州にラテン語を強要しない寛容さを見せつつ、レジタンスは容赦なく叩き潰す)
ローマが滅亡したのは、勝者になったことから来る傲慢。軍事費の増大に対し、富裕層が税のがれを測り、公共施設や軍隊等が壊死していった
軍人皇帝の時代における社会的不安の増大が、ローマにキリスト教を布教させた
シンプリケーションが世界同時に起こった
何故イギリスでのみ産業革命が起きたのか?
実は労働力も技術革新も、アジアと同水準ぐらい
説1,エネルギー資源としての木材が不足する中、石炭を算出できた
2,遠隔地の植民地の存在が、本国の余剰人口が引っ越しでき、巨大な市場ができた
民族大移動は、今いる場所より条件がいいところを求めて移動する(多くは気候の変動)。また、信仰の弾圧や奴隷売買のような人為的な強制移動、難民など
受け入れる側は、多くの場合争いに発展するが、労働力の増加というメリットもある
ゲルマン民族の大移動→寒冷化と、フン族の西方侵略により、ゲルマン民族が西に移動。あまりの大量移動により暴動と鎮圧が発生。移民が軍内部にまで幅を利かせるようになり、そのうちに国力を消耗していった。
ローマ帝国の技術は半端ない。地中海という穏健で安全な海で交易を行うことができたため、技術と知識の往来が激しかった。
民族移動の問題点は、大量の異民族流入により、受け入れ先の文化・価値観が変容してしまい、先住民と軋轢を生むこと。
ローマがキリスト教を弾圧した理由…実はローマは宗教に寛容だったが、「お前の信仰を認める代わりに俺らの信仰に口を出すな」というスタンスだった。しかし、キリスト教が、キリスト以外の神はニセモノと言い張ったため、キレて弾圧された。
神々の声が聞こえていたとき、人間は生きる指針など必要なかった。神々の声が聞こえなくなったとき、人間は絶対的な神(一神教)を信仰し、物事を判断するために思想を必要とした。
宗教にまつわる争いは、実は他宗教間の争いよりも、同一宗教内での内ゲバのほうが多い。(カトリック・プロテスタント、スンニ・シーア)
プラトンやアリストテレスは、民主政がポピュリズムに変貌していく姿を見て、民主政に対していい評価をしなかった
古代ローマの共和政は、現在の代議制と、代表を選挙で選ばない(貴族)という点で異なる。
ローマ帝国は、自由民を全てローマ市民として(奴隷以外)認めた。代わりに、国政には貴族のみが参加できた。
ギリシアでは、代表を平等にクジで選んだが、これは人の能力の差が出てきて上手くいかなくなってしまった。平等を重んじたがゆえに、外の集団には市民権を認めなかった。
日本に共和政が根付かなかったのは、皇帝に対して批判ができず、距離感が遠かった。ローマよりも民衆が為政者の行う政治に口を出せないため、民主主義的要素が薄い。
現在の中国は、国内に植民地がある状態。→都市と農村で戸籍が区別され、農村民は都市に移転できないから。
歴史が対話である以上、現在と過去の間にある常識の違いを克服しなければならない。
イギリスのEU離脱の背景には、ドイツへの不信感がある。ドイツの侵攻と大戦の恨みと不信感が根付いており、再びEUの中でも発言力を強めているため。
ギリシアは昔からずっとヨーロッパのお荷物であるが、文化的なふるさとであり、切り捨てた場合ロシアや中国が狙いをつけているため、切るに切れない
日本人はこれまで安定した国土に住んでいたため、民族としてのつながりが薄い。今までの歴史では、民族の境界線によって国の在り方が決まってきたことが多い。
民族と国境線の矛盾が、世界各地の争いの火種になっている。
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世界史とあるが、ほぼローマ史だ。
解りやすく書こうとされているのだろうが、東大で教鞭をとられていたこともあって、ところどころにこれぐらい知っていて当たり前だろう的な語句もあり、すらすらと読めるといった類いのものとは言い難い。ただ、ローマをざっくりしるためには、良い本だと思う。あまり難しく考えず、すーーっと私は読んでみた。
恵まれた環境には文明は生じない。四代文明が生まれたのは、そこが乾燥化し、少ない水資源をいかに活用するか知恵を絞ったからだ。人の生存に欠かすことができない水が大きなファクターとなり、人口が一ヶ所に集中し、都市となった。人が多く集まるから、水争いを防ぐための水の活用システムがうまれ、それを記録する必要から文字が生まれたのだ。
ローマ帝国が発展したのは、情報収集力だという。正確な情報を早く集め、整理・管理し、早く発信する。それに重要な役割を果たしたのは主要都市を結ぶ街道だった。また、図書館も多くあったという。スパイ活動も活発だった。ローマ人は父祖の遺風という、先祖の立派な行いを名誉として重んじ、自分も名誉に恥じないように生きなければならないという、日本の武士道にもにた精神があった。ギリシアでも同じように名誉を重んじたが、ギリシアでは敗戦将軍はイキテカエルトしょけいや追放が待っていた。ローマでは、立派に戦った結果なら、生きて帰った時点で既に十分な恥辱を味わっており、責めない、暖かくむかえるという風土だった。そうすると、ギリシアでは、敗戦将軍は死ぬまで戦い、いたずらに損害を増やすか、他国に逃亡するかだったが、ローマの敗戦将軍は味わった恥辱を跳ね返すために次の戦いで大変な努力をするようになるのである。カエサルも多くの敗戦を経験し、その恥辱を大きな勝利に繋げたのだ。これは、名誉に対する考え方が根本的に違うからこそできたことだ。どんな恥辱であっても、それ以上の名誉を獲得することで屈辱は覆すことができるとローマ人は思えたからこそ執念深く物事を遂行することができ、だからこそ大帝国になりえたのだ。名誉挽回、汚名返上という日本の言葉があるように、再チャレンジを認める気風は重要なのだ。
ローマが反映したのは、その寛容さだという。しかし、社会全体のモラルが低下していくと人々が優しくなっていく傾向もあるという。これは、いいかえれば厳しさの欠如とか、優柔不断ともいえる。本当の優しさは、自分というものをきちんと持った人が周りに対して示す寛容さだということを肝に命じないといけない。
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ローマ史の部分は面白い。読みやすい。ただ、文明史観の所は、この人、ジャレド・ダイヤモンドとかよんでないのかな、と思ってしまう。あと、宗教観は、一神教と多神教のステレオタイプで居酒屋の雑談レベルかも。これ欧米の人々が読んで、日本の学者の宗教に対するレベルを推し量られてしまうと不安になります。少し古いタイプの典型的な日本の学者なんでしょうね。とても良いローマ史学者だとは思うし、人柄の良さも滲み出てるので、少し書きすぎました。
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これは歴史好きのためではなく、世界史を一般教養として学ぶ人のためのものだということをまず理解しなければならない。
内容は古代ローマ史がほぼ中心だが、教科書には載らない世界史の裏エピソードのようなものが面白かった。授業中の先生の豆知識のような感じで。。
大学の教授で学生相手に教えているだけに、世界史を面白いと思わせるかに重きを置きつつ今後の世界を考えることへの切り口になることが著者にとって喜ばしいことなのではないだろうか。
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四大文明の背景にあるのは世界の乾燥化。ローマ時代のトイレは、日本の江戸時代と同等の清潔さ。などなどかなり面白かった!
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コテンラジオというpodcastが気に入ったので知識の補完できないかと思って読んでみたところ、最初の方は近しいものがあってとても面白かった。
読みすすめるに連れ、古代ローマを専門とする著者が専門外のことを書いてる部分が増えて、感想や想像が増えてきて辛くなってきた。想像で断定しない真摯さはあるものの書籍というフォーマットで専門外の割合が増えるのは悩ましいのと、【高齢者が話す専門外の知識は情報が古い】ことに改めて気付けたのは良かった。
知らなかったことが色々書いてあるのは面白かった。ジャガイモやトマトは元々ヨーロッパになかったとか、逆にアメリカに馬がいなかったとか。
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歴史を順番に説明していくような教科書ではなく、「こういう切り口で各地域の歴史を比較してみると」というものなので、飽きずにわくわくして読めた。
西洋と東洋で、君主に対する見方が異なるのが、なるほどと思った。西洋では、君主は民衆に姿を見せパフォーマンスをし、人気を集める必要があった。そのため、民衆に近い存在で、民衆は文句も言える対象だった。一方で東洋の君主は、姿を見せずミステリアスで畏怖の対象だった。
この辺りの歴史が、いまの国民性の違いにもつながっていたりするのかな、とぼんやり思う。
あと、3千年前の言語が確立されていない人間は、心の中に神の声を聞いていたかも知れないという説は、刺激的だった。想像がなかなかつかないけど、ロマンがある。
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もっとアカデミックな内容かと思って読み進めましたが、歴史を通じて人間の生きざまそのものに対する示唆が随所に書かれていました!
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教養としての世界史とあるが、特にローマをルーツとしている欧州人の思想、常識について述べられている。著者の専門が古代ローマ史ということもあり、何かとローマの話を引き合いに出してくる。
名前ローマ史でええやん!となる。
ただ、強い専門性はないので世界史をルーツとしたグローバルスタンダードやちょっと世界史を読み直そう、勉強し直そうという人におすすめの本。
考え方の切っ掛けやヒントをくれる。
私は中国史や東南アジア史も好きだったので、ん?となった。これら、特に後者は全く触れられない。
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ありがちなタイトルですが、素直に釣られて手に取ってみました。
時系列を辿るのではなく、「文明の誕生」「ローマの興亡」「民族の大移動」といったテーマごとに俯瞰的にトピック的史実の連関を論じていきます。ただその内容はというと、はるか昔私が高校の「世界史」の授業で習ったものとそれほどの差がなかったように感じました。
著者が説く史実の読み解きには、もう少し踏み込んだ背景の紹介や根拠の説明が欲しかったですね。
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世界史はとても気になるけれど、学生の頃苦手だったので読み切ることができるか心配だったけれど、audiobookで聞いて正解。本で読んだら、知らない単語がたくさんあって読み進めることができなかったと思う。
内容はとても興味深かった。宗教のことも、文明のことも、正しく分かっていなかったので勉強になった。ローマ史についてもっと知りたい。
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全体を通して理路整然とされていていとても読みやすい。世界史には非常に苦手意識が植え付けられていたがもう一度勉強し直そうという気にさしてくれる書籍です。
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乾燥化すると、人々が水辺に集まってくる。少ない水資源を知恵を絞って活用しようとする。環境が厳しくなったことで文明が生まれた。四大文明。
ギリシアの民主政は100~150年間ほどで短期間。僭主政の期間の方が長い。民主政は4万人ほどの少人数だったから可能だった。▼サラミス開戦。下層民が戦争参加。発言力上がる。→ペリクレス時代
SPQR ローマの元老院と国民。ローマ帝国の国名。
※「四大文明」「五賢帝」という言い方は日本独自のもの。
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面白くはあったが、途中くらいからちょっと違うかなという感じがしてきた
古代ローマ史に全ての人類史は凝縮されていることをいくつかの事例で説明しているがややこじつけ感も否めない印象
ただ、サピエンス全史的に人類史をいくつかの視点で捉えようとする取り組みは面白いが、もう一つ深めて欲しかったところ(論考が著者の主観に少し偏っている印象もある)
にしても、文明が登場した理由の一つに「乾燥化」があるというのは衝撃的に面白かった。環境的に恵まれていることは人類を発展させないのだ。
あと、一神教が登場した理由として文字の発明があるのでは、というのも面白い考え方。もちろん文字の発明は階級支配ともつながるし階級支配と一神教というのは結びついていると思うが、文字の登場によって左脳が右脳を抑制するようになり神々の声が聞こえなくなった、というのはほんとに興味深い。
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木村先生の本はどれも分かりやすく、勉強になります。「かつて人間は神々の声が聞こえていた」という見方、これは当時の感覚で歴史を捉える、ということなのでしょうが、そう考えれば腑に落ちる点もありますよね。他方、常に「いま」のフィルターがかかって歴史を見ている、という指摘も納得。歴史の見方を教えて頂きました。先生に現在のウクライナを解説して頂きたいくらいです。