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辻調理師専門学校の開校者、辻静雄の半生を描いたノンフィクション小説。著者いわく、作品はモデル小説であり、実話にかなりの脚色を加えているらしい。
それにしても、食べて食べまくる小説。海外旅行がメジャーではない時代、フランスに長期滞在し、高級レストランを食べ歩く。本物のフランス料理の味を自らの舌に覚えさせるためだ。
下手すりゃ、義父のすねをかじった道楽と批判される行い。だけど、結果として、学校は発展し、多くのフランス料理本を出版、日本にフランス料理を普及させた第一人者として成功。
が、その過食で、身体を壊し、食事制限。そして60歳という若さで死去。本人にとって、食べられないことは死ぬほどつらかったんだろうな。
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ノンフィクションが読みたい、とTwitterでつぶやいて、教えていただいた本。伝記に近い小説のかたちをとっている。素材の良さを最大に引き出した調理とはまさにこのことだろう。料理研究家の話だからこんな例えをするわけではないのだが。 見事な筆致。精緻にかつテンポよく。あまりに素晴らしくて、一気に読みたいのを我慢してしまったくらい。この著者の他の本も読んでみたい。とくに広沢監督のとかね。
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辻静雄は明子と結婚して新聞社を辞め
舅である辻徳一の料理学校を継ぐことにした。
静雄は調理師法の施行に即して学校の対象を主婦から調理師の卵にし
経理の山岡亨と共に講師の料理人探しから始めた。
しかし日本の料理人は自分の技術を他人に教えることはなく、
また日本で一流といわれているフランス料理のコックは
本で読むような本格的な料理をひとつも作れなかった。
本物のフランス料理を知るために静雄は明子と共に
アメリカの2人のガストロノームとフランスのマダム・ポワンを訪ね
3ヶ月間苦しみながらフランス料理を食べ続けた。
フランスから帰った静雄はフランス料理の基本を教えるために教壇に立ち
また自らの経験と技術・知識を詰め込んだ教科書を作った。
さらに三ッ星レストランのポール・ボキューズの紹介で
フランス人の講師を招くことに成功し、また生徒の留学も始めた。
フランス料理以外も、日本料理は灘万の元料理長を招き、
中国料理も生徒を現地で修業させて本格的な技術を導入し
本物の料理の発信地へとなっていく。
しかし一校だけ成功する辻調理師学校を他校はよく思わず
山の手調理師学院の金丸を始めとした調理師学校協会が邪魔をする。
これに怒った静雄はフランス料理の有名シェフを3名招いての研修会を開催、
フランス料理の日本普及に貢献したとして
フランス政府から名誉フランス最優秀料理人賞を受け取る。
辻調理師学校は知名度を上げ、
静雄が講師の腕を衰えさせないために開催するディナーや
一流の料理を披露するテレビ番組『料理天国』の出演なども始めた。
しかし味の勉強のために数多くの料理を食べ続けた静雄の肝臓は
命に関わるほど弱ってしまっていた。
装丁:坂田政則
大阪あべの辻調理師専門学校校長の辻静雄をモデルとした小説です。
主婦が学ぶ料理学校から最高の料理人を輩出する調理学校に成長するまでの
試行錯誤と苦難、周囲からの協力と邪魔が描かれています。
そして濃厚なフランス料理の数々!お腹いっぱいです。
無名の調理学校が転進を遂げたのは静雄の人柄に負うところが大きかったのだろうなあ。
何のつてもなくてもアメリカとフランスの料理の権威に手紙を出すところから始まり、
熱心に料理を食べ続けたことでフランス料理の名だたるシェフと人脈が出来てしまう。
静雄が学校を運営するに当たっての決断がまた潔いです。
いい学校とは何かを考え設備を新しくするのではなく家庭との連絡を綿密にする。
本物の材料を使うために授業料をほぼ倍額にする。
自分の目標のためには何が大切なのかという軸がぶれていないからこそ
思い切ったこともできるしそれが成功する。
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いちおうフィクションですと断りが入っていましたが、辻静雄さんをモデルにしたノンフィクション並みのクオリティーと、よだれモノの食べ物描写。フランス料理はそんなに詳しくないですが、フランスで開眼してパンの道に進みつつある今を思えば、あー…って納得してしまいました。おいしいフレンチ食べたい!しかし、読み進めると、なんとなく服部幸應さんを思い浮かべてしまいました。→http://sankei.jp.msn.com/life/news/110110/trd11011001120015-n1.htm
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日本にフランス料理を広めた辻静雄さんの生涯を描く。この当時に海へ渡りひたすら行動する生き方が素晴らしい。コネなしに自分の人間力で人脈を築き上げていくさまがすがすがしい。
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宮本です。
辻調理師学校を作った人の伝記小説的なよみものです。
ここにでてくる辻さんが、まず、
最高の食材をあつめて最高のフランス料理をつくり、
そのことで、最高のものはどういうものかを知り、
その上で、
お金の制約とか時間の制約の中で妥協して
「商品」に仕上げていくという課程が書かれています。
本当に最高のものをお客様に出そうとすると、
費用も時間もかかって、「商品」としては通用しないものになるので、
(「作品」にはなるかもしれないが、「商品」にはならない)
どうしても妥協が必要です。
しかし、最高のものがどこかを知って妥協するのと、
知らなくて妥協するのは違うと思います。
いろんな制約の中で、
しかし、最高のものをイメージしながら、
少しでも最高に近づけようとする、
そういう仕事の仕方をしてほしいという
メッセージを伝えるために内定者に渡しています。
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なんだか読んだことがあるな~と思ったらそういえば高校時代にハードカバーで読みました。
今読んだほうが色々と面白かったです。
組織というものはトップに立つものはカリスマ性が必要だけれどもそれと同時に運営や事務をこなす人が居ないことには組織は発展しないのだな、ということがよくわかりました。昔はそういうことはわからなかったなあ…
とりあえずフランス料理が食べたくなりました…
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会社の先輩に借りた一冊。
特に説明もなく借りたので、あえてカバーもはずさず
(あらすじも読まず)読み始めたら、
辻調理師専門学校の辻静雄氏をモデルにした
伝記小説だったらしく。思いのほか面白くて一気に
読んでしまった!
あくまでモデル、と注釈でサイドのストーリーが
どこまで真実かわからない。真実だとしたらある個人を
悪く書いている部分も結構あるし、やっぱり物語としての
エッセンスも相当加えているのかな。
いまでいう「フランス料理」が日本に定着する前から
それに心身を注いだ辻氏の物語。
今でこそ有名なポール・ボキューズと友人になり
彼の協力も得て、料理人たちに本場のフレンチをつたえた
伝道師。義父の理解のもとフランスで大いに美食の研究を
重ねる旅をする箇所、生まれて初めて体験することの連続に
驚きを隠せない主人公の様子がものすごく伝わる。
「自分が日本で一番はじめにこれを経験しているのでは・・・」
は、興奮するだろうけど同時にものすごく恐怖だともおもう。
裏切りももちろんあって、でもすごく出会いに恵まれ
真面目にポリシーを曲げずに取り組んで進んだ人だったん
だろうなぁ。普段こういうのはあんまり読まないけど
池井戸潤をよんだ流れで「仕事」「いきがい」
「ビジネス」(仕事とは≠)の文章が読みやすかった。
研究、とか職人とかの意味だと2つは似てるかもしれない。
週末読んで週明けへ英気を養うにはぴったり。
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辻調理師専門学校校長、辻静雄氏の物語。
「辻調理師専門学校」の名前は知っていても、その辻静雄氏が、本場のフランス料理を日本に普及させた先駆者であることは知らなかった。
彼の志に導かれ今があること、そして今も尚、育まれ受け継がれていることに感銘を受けた。料理の道を志す人には是非読んで欲しい一冊。
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辻調理専門学校創設者の辻静雄の生涯をモデルに描いた小説。
一新聞記者だった男が本物のフランス料理と出会い、日本での普及に努めるという話。
抜群におもしろかった。
「本物」を追求して何の意味があるのか?
道楽なんじゃないか?
自己満足なんじゃないか?
経済的な合理性、食文化、人間の強欲、その他諸々がうずまく物語の中で明確な答えが示されるわけではない。
そこに、善悪では語れない人間の奥深さを感じる。
料理は究極のものづくりなのだと思わされる。
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料理の説明が材料と作り方がメインなのにすごく美味しそうに感じる。
スピード感があって一気読みしました、
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久しぶりに一気読みした作品。 自分が奈良県出身なだけに、あべの辻調は、普通に日常の風景の中で見かける、料理のいち専門学校だったけど、当時の日本において、これほど大きな役割を果たしていたことは、本書を読むまで知りませんでした。
著者の過剰な描写を極力排除した筆致は、和食の出汁の世界。フランス料理のことを語っているのに、そこが見事にマッチしてて、実に後味よい作品(無理に料理にこじつけて語らなくてもいい?笑)。
最後に主人公が悟る、人生の境地も大いに共感できる。ごちそうさまでした。
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岩瀬さんのオススメ
たのしみー!
なんてすごい伝記だろう。
学ぶことがたくさんありました。
これをもう一度読む時に、図解するとかなり勉強になるかも!
また、一度ぐらいミシュランのお店に行ってみたくなったし、
本格的なフランス料理が食べてみたくなった。
ワインも初めて真面目に興味を持てたかもー。
p7 『5月のある日曜日・・・』まさに読み始めたときで、ビックリした。
10 ワインと食器を都度選択か・・・
32命を賭けて世界中のおいしい料理を・・・」
33ブリヤ・サバラン『味覚の生理学』
228ハーブティー
249フォンドボーの材料
274『食通の七日物語』
277ヴァンクルリンクスの家具・・見てみたいな。
279調理師学校が学術出版部門を持つ・・斬新な視点
291素晴らしい上司との出会い
295本を書いて以来っ→婦人雑誌や新聞社からの原稿依頼
322マルセル・プルースト『失われたときを求めて』
・・・名著なのだろう。1Q84にも出てきた。
324本を書かせるコトで、隠したがっている秘密を吐き出させる
325教員を育てる
343ライオンズクラブ
486心の傷をなおすには・・・
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20120403読了。
辻調理師専門学校の辻静雄の伝記小説。
今年読んだ小説ではダントツにおもしろい。
深夜急行を読めば旅行に行きたくなるように
この小説を読んだら食べ歩きがしたくなるし、料理がしたくなる。
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料理に関しては全くの素人でありながら「日本一の調理師学校をつくる!!」という決意の元に「辻調」をつくり上げてしまった・・・まさに「意志あるところに道は開く」です。-toshi-