京の街に息づく、人の優しさ
2017/06/14 18:31
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投稿者:asako - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に、でも丁寧に読みました。中村さんの筆致にほどよく酔いながら、読んでいるあいだはゆったりと幸せな時が流れていました。
若葉の健気さ、親友の凛々しさ、若葉を取り巻く大人たちの生き様。作品なのだけれど、いま、阪急電車に乗って京都に行けば、若葉に会えそうな、そんな気にさせてくれました。本当に不思議です。
中村さんの作品は初めて読みましたが、すっかりファンになってしまいました。ああ、この感情、わたしもあったなあ、と作品に引き込まれていく自分を感じました。
久しぶりに暖かい気持ちになりました。
中村さん、ありがとうございました。
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若葉があまりにも幼くてイラっとしてしまい、最初はあまり良い印象ではなかった。
舞台が京都なのと千早茜さんのTwitterで紹介されてたので購入した本作。
なんだか微妙だなぁと思いながら読んでいたのだけど、途中からなぜだが本の中の情景が頭に自然と描かれ、いつのまにか馴染んで読んでしまった。
予想通りの展開だし、やっぱり若葉は苦手だけどなんか良かった。
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作家を追いかける方です。たまには新しい作家さんをと、ある人のレビューで褒めて有ったので借りてみました。
ダメでした。
京都の祖父母が経営する町屋旅館の孫娘を描いた作品です。どうも主人公がネガティブ、自虐的で全く魅力がありません。当然ながら、転機を得て成長する物語と思いきや、これがなかなか来ない(まあ、最後には半受動的ではありますが決断はします)。
さらに登場人物がどうも。。。厭味ったらしい叔父は最初から最後まで嫌味だし、主人公が勤める高級旅館の女中頭も最初から最後まで煩いばかり。主人公が自分を捨てた母親を美化する気持ちにもついて行けません。
家族経営の町屋旅館という舞台立ては良いと思うのですが、どうも煮え切らない感じの話でした。
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京都で町屋旅館を経営している祖父母と暮らしている若葉。大手老舗旅館紺田屋で新人仲居として働いている。実家が旅館とはいえ、慣れない仲居の仕事で、叱られることばかり。また、父親を知らず、母も家を出たまま行方知れずという境遇から、自分に自信が持てないでいる。そんな若葉が、周りの人たちや、仕事と向き合うことで少しずつ成長していく話。
ラスト、けして明るく輝く未来とはいえないが、先に向かって進もうとする若葉の姿が、初めの頃のうじうじしている姿から成長していて、良かった。
この作者の他の作品も読んでみたくなった。
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小説すばる新人賞を受賞した著者の受賞後第1作。京都の老舗旅館の仲居として働く若い主人公が、自宅の町屋旅館の今後や自分の生き方に悩みながら成長していく姿を描く。
京都の四季、行事を織り交ぜながら一年間を描いていく。
京都を知る者にとっては、その四季の自然の移り変わりや行事、祭り、文化を思い浮かべながら読み進むことができる。その中で主人公が最初は周りに押し流されながら、なんとなく生活しているが、次第に自分の立場、居場所に目覚め変わっていく。
主人公の行動、考えのふわふわした感じに最初は苛つきを感じたりするが、後半、自分が育った環境を素直に受け入れ、ぎこちないながらもそこで成長していこうと決意する姿にエールを送りたくなる。
人気観光地京都の日常と主人公の成長をリンクさせ、清々しい読後感を得る作品だ。
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文章や話しの進め方が丁寧に書いてあるので、つい読んでしまった。
主人公がヘタレであまり共感できなかったし、共感できる登場人物もいなかった。
周りの人が主人公のことを「こういう人物だ」と決めつけて表現する場面が何箇所もあり、もしかしたら、全て主人公の脳内の出来事なんでは?と想像してしまった。