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熟女家政婦・麻里子と明美 みんなのレビュー

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みんなのレビュー1件

みんなの評価4.3

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紙の本

家政婦が2人登場する妙味のある演出

2017/05/07 21:41

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作者のデビュー作である『僕の家に来た美しすぎる家政婦』以来となる家政婦ヒロインに期待感を抱きつつ、何故に家政婦が2人も出てくるのか?とも思っていたが、なかなかどうして妙味のあるストーリーが展開されていた。ある意味では古式ゆかしいテイストが織り込まれたと言えるかもしれないが、何はともあれ家政婦が2人登場し、その2人には息子がいて、子を思う母の潜在的な意識が官能的にデフォルメされた作品だったと解釈したい。

父親の長期単身赴任中に浪人の身となってしまった主人公を案じて雇われた家政婦が40代前半と思しき眉目秀麗の【麻里子】である……当初の主人公はそう思っている。読み手にとっては自己紹介もまだな主人公の下の名前を思わず呼んでしまっている麻里子がヒントになり得るが、大抵の場合は真相が判明する中盤から最初に戻って読み返すことで麻里子のたどたどしさの意味が分かる仕組みになっている。

麻里子にほぼ一目惚れの主人公が次第に家政婦以上の「ご奉仕」をお願いするのは常道だが、一定の線引きを維持する麻里子によって序盤は手淫や口淫といった戯れが続く。しかし、熟れた女の昂りを見逃さない主人公によって徐々に、追い詰められるように関係が深まっていくのは良い雰囲気を醸していた。最終的にはズルズルと押し流されるように一線を越えてしまい、積極的な貪欲さをも見せ始める麻里子である。

そして、家政婦としての正式な自己紹介と共に現れたのが【明美】38歳である。これにより麻里子の本当も判明するのだが、本当の姿と「麻里子」を巧みに使い分ける面白さがあった。また、真相を突き止めた明美は終盤で主人公を一時期翻弄していくが、これには明美の深層心理が働いていたようでもあり、最後には大らかな包容力を発揮した麻里子の介添えもあって心の奥底に無自覚ながら秘められていた願望の疑似的成就体験を主人公と果たしている。ここで描かれるのは息子を愛でる母も1人の女であり、そこに異性の色合いをほんのちょっぴり忍ばせる母心の機微だったように思う。

おっとり癒し系ながら貪婪さとのギャップを見せた麻里子や、抜群のプロポーションで理知的な風情を醸した明美といったヒロインの描写は良かったものの、官能描写においては少々淡泊だったかな、という印象である。

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