投稿元:
レビューを見る
前作『ブラックライダー』はその良さをさっぱり理解できなかったのですが、本作『流』に関しては何の文句もありません。直木賞選考委員全員マルの勲章は伊達ではありませんでした。かつての同賞受賞作、金城一紀の『GO』を彷彿とさせる青春小説の傑作です。
いや、青春小説という枠だけに当てはめるのは良くないですね。祖父殺しの犯人を追いかける点ではミステリであり、毛毛とのロマンスのくだりは恋愛小説の側面があり、何と幽霊も出てくるのでホラーの要素もあります。それ以外にもハードボイルドとか国際小説とか家族小説とか、まるで海外の総合小説のように様々な読み方ができる作品だと思います。人によってはウンコ小説と名付けるかも(けなしているわけではないです、念のため)。
このように美点の多い作品ですが、個人的に一番気に入ったのは、作中の至る所に散りばめられたユーモアに加え、作者自身がとても楽しんで書いていることが伝わってくる点でした。特に地の文の生き生きとした筆致とスピード感は素晴らしいの一言。それに引っ張られて、一読者として作者と一緒に笑い、感動することができました。いやあ、楽しかった!
投稿元:
レビューを見る
可もなく不可もなく(笑)
面白くないことはないが、台湾の話なので、漢字読みが難しく、覚えられない。
ストーリーは一言で言える。
台湾の青年 秋生(チョウシェン)の青春(笑)
当時の中国と日本と台湾、抗日戦争、共産党と国民党など、もっと歴史に詳しければもっと楽しめたのかもしれないが、終盤まで結局何が言いたいのかわからず、最後になって「ああそうだったのね」って感じだった。
投稿元:
レビューを見る
70〜80年代にかけての台湾の喧騒が伝わってくる。
登場人物たちの名前が覚えにくくて苦労したが、ストーリーは謎あり、恋ありで楽しく読めた。
投稿元:
レビューを見る
時代の流れとともにめぐる台湾のリアル青春物語。
祖父の死のくだりは背景も相まってよかった。
でも全体的に話になじめなかった。
投稿元:
レビューを見る
ストーリーがどうとかよりも、台湾という島と中国という大陸の国の、それぞれの匂いや音や喧騒や風が自分の中に吹き荒れるほどの豪快な描写の数々に魅了された。
ラスト、この物語の本筋となる部分のルーツを解き明かしていく部分の話はもう少し長めにとっておいてくれればな、と思った。あっけなさを感じてしまった。
投稿元:
レビューを見る
基本的な部分で、台湾の歴史的背景を知らないので、きびしい部分があるが、それを抜きにしても充分評価出来る小説。ただ、これが直木賞を取ったと言うのは、すごいことだったのだとは思う。
投稿元:
レビューを見る
登場人物が台湾人のため、名前を覚えるのに苦労しました。。。何度も最初の一覧を見直しながら。
ハチャメチャな感じでしたが、終盤は驚き。
面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
直木賞作品、文庫化されたので購入して読んだ。
祖父を殺した犯人を捜すというミステリ的な面はあるがそれを軸にした主人公の青春小説。
登場人物が日本人ではなく名前を覚えるのが大変なのでなかなかストーリーに入り込むまでがしんどかったが、幽霊の話しあたりからストーリーも面白くなってきて全体のイメージができはじめると溢れるエネルギーに圧倒され、時代と場所がそれをさらに増幅させていく。
途中出てくるエピソードが自分が知っている時代ということもあって楽しめる、読後感がすごくいい。
投稿元:
レビューを見る
帯にある「20年に一度の傑作」や有名作家絶賛コメントを見て手に取ったのですが……
馴染みのない中国語が随所で使われているので、読み始めは内容をなかなかイメージできませんでした。登場人物は誰が誰だかなかなか把握できないし、日本語で書けば良いところまで中国語で書いてあるので作中で何が起きているかすらわからないこともしばしば。
また、数多くのエピソードがちりばめられていることが散漫な印象に繋がり、結局これは何の話なんだろう? 何が語りたいんだろう? と興味がなかなか芽生えませんでした。
途中、何度読むのをやめようと思ったか……
なんとか幽霊話が終わるところまで読んで、毛毛との関係や祖父殺害の話に戻ってきた辺りからようやく普通に読み進められるようになり、10日近くかけてようやく読了。
たくさんあったの話の中では、毛毛との別れ、小戦救出カチコミ、クライマックスの王一族?との対峙あたりはよかったと思うのですが、それ以外のエピソードは……必要だったのかな? と。
個人的には太い軸のあるお話の方が好みなので、そうした点で自分には合わない作品でした。終盤に多少興味を持てたので、読了後の印象は悪くなかったのですが……
投稿元:
レビューを見る
主人公のルーツを辿る旅であり、祖父の歴史を辿る旅であり、犯人捜しのミステリーであり、台湾、戦争、中国、兵役、日本、初恋etc読み応えたっぷりです。
投稿元:
レビューを見る
「主人公の祖父はなぜ殺害されたのか」をモチーフに、その理由を探る体裁を取っているが、私には主人公の成長についての青春小説に感じられた。
幽霊の件とか、ヤクザとのやり取りとか、ユーモアの要素もたっぷりだし、誇大表現されているのだろうが主人公の一家も面白く描かれている。
投稿元:
レビューを見る
物語に入りにくかった。
というのも主人公含め、登場人物が中国語の名前だったり、台湾の食べ物など、中国語が多く耳慣れない・見慣れない表現が多かったためです。
最後の方は慣れてきたのでだんだん良くなってきましたが、出だしで躓く小説はちょっと辛いです。
投稿元:
レビューを見る
友人に勧められた、直木賞受賞作品。
台湾を舞台に繰り広げられる、少年が青年になるまでの物語。
過去と過去を紡いだとき、信じがたい事実が浮き彫りになっていく。
圧倒的な描写力で描かれる、台湾の街や暮らしの風景。
行ったことがなくても、賑やかな情景が目に浮かぶ。
中国と台湾をめぐる歴史を背景に、過去に翻弄される人々。
文章だけで、行ったこともない街の喧騒や匂いを感じさせる技術力と才能に、すっかり魅了されてしまった。
投稿元:
レビューを見る
少年の思い出と、二十年後の現在との隔たりは、人と人との関係が変わるのには十分な時間だ。
魯迅を思い出した。乾いた土を舞い上がらせる風を感じる大陸の文学。
蒋介石の死と戒厳令下でも雑多で喧騒な台北の街。
大陸から命からがら逃げ出してきた祖父母たちは、この街に居ながらにして、帰ることのない大陸に郷愁を募らせる。
かつて戦争があった。殺し合いをした。
割り切ることのできることと、割り切れないことが過去から現在まで続いている。
その流れの中で生きる男の少年から青年への成長が描かれる。
1975年、蒋介石の死んだ年のこと。
油化街の布屋の風呂場で、縛られて浴槽に沈む祖父の死体を発見した。
祖父は日中戦争と国共戦争を生き延び、大陸から台湾へ敗走してきた外省人だ。
共産党の包囲網を突破し、幾度の死線を生き延びてモーゼル銃を後生大事にしまい込んでいた喧嘩っぱやい不死身の祖父だった。
犯人が捕まることなく、祖父の死は葉秋生の心にずっと引っかかることになる。
幼馴染との恋とその終わり、腐れ縁の悪ガキ仲間、兵役の二年間、人生のすべてが台湾にあった。
しかし、祖父の死の答えは大陸にあった。その答えを求めに大陸へ向かう。
読後の寂寥感。
答えが分かったところで、人生はままならないもので、生きている限り続いていくものだ。
投稿元:
レビューを見る
2017.10.14 読了
人物名がスッと頭に入ってこず、前半はあまり面白味を感じず「外れ小説買ってしまったな」と思いつつ、とりあえず読み進めることに。どこに向かうのかと思っていたところ…、後半、3分2あたりから物語は真相に向けて展開し始める。著者の力強くまた血や汗、人間臭さを放つ文体が開花したように感じられ、前半と異なり後半は一気に読み上げた。
歴史に疎い自分だが、台湾を中心に日本、中国との戦時時代に少し触れることができ、勉強にもなった。