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人口減少によって、地域社会が立ちゆかなくなる日本の未来を、現状の夕張や豊島区から考察した本。"これを読むと日本全体が「撤退戦」となるのも時間の問題だと思う。今まであれば、60~70になれば年齢で死んでいくので「撤退戦」にそこまで付き合わなくても死んでいくのだが、どうも我々の世代は、60~70になっても働かなければならない。"実際に、この本で「撤退戦」をしている人達は70歳以上がほとんどだ。これほどの年代になっても働いて、地域の撤退戦をしなければならない。こういう議論になると「移民」の話が出てくるのだけど、そもそもその頃の日本は移民の皆さんに選んでいただける国になるのかどうかも不安だ。
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NHKプロデューサーの主観が濃厚だとは思う。彼らの多くは、ひたすら東京人の目線であることは否めない。それでも、全編を通して読めば、リアルな説得力がある。
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この本を読んで私なりに出した答えは、人口減少に伴って日本が沈下しないためには、体力のある内に戦略的に撤退、縮小する必要がある、と言うことです。
このような機能集約を地方切り捨ての「シンガポール化」と揶揄する方もいますが、いよいよとなってからでは遅過ぎます。
移住者を積極的に受け入れて人口減少のペースを緩めることに成功している地域もあるようですが、税収のことを考えると労働人口をある程度の割合で確保できない限り、学校、仕事、医療福祉、行政サービスなどを一定のレベルで維持することは難しいでしょう。そうなると結局、子供は外に行ってしまい税収につながらず、負のスパイラルになってしまいます。
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NHKの取材力には感心するばかり。
そのうえで、有効な対策は提案できないとする姿勢も丁寧だ。人口減少社会に行政がどう対応していけるのかなんて、誰も経験していないし研究も十分ではない。
新しい時代のための行政手法と人材を養成する必要があるのに、今こそ社会科学の出番なのに肝心の政治が適応できていない。国立大学でも文系の予算を縮小していく政策がそれを証明している。
それにしても、現在の行政がハコモノだけ作って後は住民組織に丸投げするしか人口減少社会への施策を持っていないとは。とほほだ。
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日本の村、町、市の過疎化、人口激減によって人々の暮らしがどうなっていくかという話。夕張市を例にだし、一度破たんした街が今どうなているかをレポート。前向きな要素はまるでなく、読んでいて落ち込む一方。「このような現実があるのだから、あなたたちも今から考えておきなさい」ということだろうが、これはNHKも含むマスメディアの得意な手法だろう。知識としては知っておいたほうがいい内容。
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2016/9/25に放送されたNスぺの文字起こしみたいな感じなので、番組を視た人には既知の話ばかりではある。
やはり衝撃を受けたのは東京都豊島区という大都市が消滅危機に襲われている事実。
ポジティブ集中(東京でデカイ一旗あげるために上京。かつての高度経済成長期やバブル期にみられ、20代が多い)でなく、ネガティブ集中(田舎には何もない。東京に希望があるわけではないが田舎にはない安くても仕事があるから集中。40代にみられる。よって少子化は解消しない)という分析は、九州の中心である福岡市にもこれからよそ事ではなくなる。
財政破綻を経た、北海道夕張市は「サービスは最低。負担は最高」というスパイラルがやみそうにない、これを敗戦が決まった状況になぞらえて撤退戦と呼んでいる。なんと夕張市長の月給手取りは15万8000円で、公務の交通費もその中から自腹負担しているそうだ。夕張市の中学生のほとんどが夕張市を離れたがっている事実。
解消するには、あたかもダム建設による接収のように、強制的に人の住む国土自体を減らすしかないというのが私案。そうすることで、皆が皆一斉に沈むのでなく、ギリギリ生き残る(行政サービスを提供し続けても赤字にはならない)地域を残せるのではないかな
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豊島区すら「消滅可能性都市」リストに入っている、驚くべき実情。
日本全体の人口減は進んでいるから、仕方ないのだが。
夕張市、雲南市(20年後の日本全体に近い)、横須賀市などの現状を紹介するNHKスペシャルの本。国の地方創生に問題はないんだろうか?とふと思った。
広島市や、安佐北区、特に今の団地も他人事ではないな、と思って調べたら、
https://mainichi.jp/articles/20140509/mog/00m/040/001000c
安佐北区も50.3(2010年から30年間での20〜39歳の女性人口の予想減少率)で入っている?
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人口減少と超高齢化社会
そんなに遠くない未来に
今さらどうやっても逃れられないんでしょう
地方ではすでにそれが始まっていて
自治体や住民の取り組みも取り上げられている
これからの自治体や住民にとっては
参考になりえるんだろうなと
もう縮小は止められないんだろうな
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人口減が招く、今の、そして未来の日本の姿。
人口が減ると言うことは、税収が減り、公共サービスが低下し、インフラを整備する人も予算もなくなる。
国土強靱化、地方創生という言葉が空しく響く。口減に対する具体的な「処方箋はない」と。それも執筆陣が取材した結果の答えなのだろう。
しかし、せめて、何かしらの提案のようなものがあってもよかった。
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こういうのを読むとNHKはしっかりしてるな、と思う。
我が家には長らくテレビがないけれど、
NHKだけうつるなら買ってもいいかなぁ。
印象的だったこと。
・豪雪地帯の老人だけの越冬方法。
みんなで駅前に共同住宅を借りて生活するそう。
コンパクトシティはなかなか進まないといわれるけど、
のっぴきならない状況になったら勝手に動き始めるのか。
過疎地だけ、インフラの利用料が極端に高いとか、、、
そのうち現実になりそう。
自動運転あっても、道路はだれか整備しなきゃだし、そういうフィジカルなもののコストはまだしばらく下がらなさそう。
・やっぱり、夕張。
夕張の現状について紙幅が割かれていて、それはそれで、衝撃だったけど、
なぜ、ああいう状況に至ったのかも分かるとなお面白かったと思う。
それならばタイトル変更が必要だから別冊だろうけど。
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NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」を書籍化した一冊。東京特別区の中で唯一消滅自治体と指摘された豊島区、財政破綻自治体・夕張市、極端な自治体以外の例として、雲南市、益田市、京丹後市、横須賀市などの事例が紹介されています。世界に類を見ない高齢化・人口減少を迎える日本の今後の覚悟を問う内容となっています。
▼日本では戦後、地方から東京への一極集中は、大きく分けて、3回起きている。
・①高度経済成長期 ②バブル期 ③2000年以降
・①と②の共通点は好景気。ポジティブ(積極的)な理由で、多くの人々が地方から移り住むことによって引き起こされた。
・③は過去2回と異なる異質なもの。「地方から逃げ出す」というネガティブ(消極的)な集中
▼これまで日本は、「家族」を単位に行政サービスの基本を作ってきた。たとえば、老後の介護や看取りは、「家族」を手助けする前提で自治体がサービスを施す。ところが、東京ではすでに単身化が進み、これまでのサービスの形では立ちゆかないというほころびが現れ始めている。
▼どんなに追い詰められても自治体は消滅を選ぶことはできない。人口減少がさらに進み、財政が苦しくなりあらゆる行政サービスの効率が悪化しても、そこに住民がいる限り、自治体は逃げることはできないのである。そうした状況の中で繰り広げられる戦いを私たちは「撤退戦」と名付けた。
▼これまでの「地方再生」一辺倒の議論だけでは到底解決することができない「縮小ニッポン」の厳然たる現実だ。消滅をタブー視していては、何も進まない。何を守り、何を諦めるのか。私たち一人ひとりが自分の問題として考え、戦略を持って選び取る時代に来ているのではないか。
▼そうした厳しい状況の中で、私たちにできることとは何か。それは、国も自治体も、そして私たち国民も、この過酷な現実をしっかりと直視し、問題を先送りしないことしかない。その上で、これまで当たり前に思っていた行政サービスを諦めたり、自分たちの暮らす地域を縮めていくなど、一人ひとりが痛みを分かち合いながら、「撤退戦」に身を投じなければならないだろう。
そこには地方と東京の差はない。私たちは、次の世代にこの日本をつないでいく責任を負う者として、縮小ニッポンの未来図と向き合う覚悟があるのか、今まさに問われているのである。
<目次>
プロローグ
第1章 東京を蝕む一極集中の未来
23区なのに消滅の危機(東京都・豊島区)
第2章 破綻の街の撤退戦(1)
財政破綻した自治体の過酷なリストラ(北海道・夕張市)
第3章 破綻の街の撤退戦(2)
全国最年少市長が迫られた「究極の選択」(北海道・夕張市)
第4章 当たり前の公共サービスが受けられない!
住民自治組織に委ねられた「地域の未来」(島根県・雲南市)
第5章 地域社会崩壊 集落が消えていく
「農村撤退」という選択(島根県・益田市、京都府・京丹後市)
エピローグ 東京郊外で始まった「死の一極集中」(神奈川県・横須賀市)
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破綻を迎えた夕張のおかれた状況には、すさまじいものがある。
「経済発展」の夢から離れて、現実を直視すべきと思う。
公的資産をIターンやUターンに投じるのが良いのか、今暮らしている人の生活に投じるのが良いのか。
自分はこのような問を考えたことがなかったので、新たな視点を得ることができた。
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人口動態に関する予測は確実性が高く、現在の少子高齢化は八十年前予測されていたし、大東亜戦争はむしろ戦後のベビーブームにより人口増要因であった。ヤンキー指向+性善説教育による倫理荒廃は21世紀「子を産めない」窮迫をもたらした/長命化は止められない。老人が金融資産の大部分を所有する大勢では、“貧困の連鎖”解消の施策も限られるが、核家族化が嵩じて家庭の強制収容所化となった“虐待の連鎖”だけは貴重な未来の世代でもあり退治したい/子どもが元気でないと老人は安心して死ねない、呆けて子孫に関心が無くなるまでには死にたい
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現在東京で起こっている人口集中は、高度経済成長期やバブル期のような多くの仕事を得るためのポジティブな移住ではなく、「地方から逃げ出す」というネガティブなものである。
さらに、今では若者よりも30-40代の転入が多い。
身寄りのない単身高齢者は、入院を断られる可能性が高い。退院したあとに自宅での一人暮らしを続けることが難しく、東京では介護施設を見つけるのが難しいため、入院し続け病院の負担が大きくなるから。
財政破綻した夕張市では、行政の撤退戦が行われており、以下に周辺部に人を住まわせず、縮小に繋げていくか、が取り組まれている。行政が空家を誘導する「政策空家」もその一つ。
夕張市に起こったことは、将来他の過疎地域でも起こりうる。人口の偏在が自治体の税収に格差を生み、過疎化した地方が都心部に交付税交付金で依存する仕組みは、いつまでも続かない。
公共サービス、医療無料化、税負担の格差が生じ、豊かなところに人がどんどん移り住んでいる。
昔の人口減少は「移住による社会減」であったが、近年では死亡者数>出生数の「自然減」が社会減を上回るようになり、どれだけ人口流出対策をしても、それ以上の人がなくなるという新たなステージが到来している。
「地域のことは地域住民で」という、住民との「協働」の仕組みを作る「地域運営組織」を始める自治体がある。「こんな地域で暮らしたい」という住民の声を組み上げ、自分の暮らす地域の理想図を自分たちの価値観で描いている。
一方で、過疎地域での行政サービスを切り捨て、住民に丸投げしているだけという批判もある。
余力があるうちに「集団移転」を行う地区もある。そのときは、縁もゆかりもない場所ではなく、なるべく近隣の便利な場所に集団移転を行う。
「集落を全部守る」という過疎対策は行き詰まりに陥るため、撤退を含めた戦略を立てるのも重要。
郊外に住み、都心部に通うライフスタイルを反映する「ドーナツ化現象」に変化が生まれ、かつては結婚して郊外に移っていた20.30代が、未婚化の影響で都市部に住み続け、かつ郊外に移った昔の世代が高齢化し、周辺部の平均年齢が上がるという二重苦が郊外で起こっている。
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読みやすいです。
人口減少、超高齢化が進行する日本の行く末について、非常に不安に駆られる内容でした。
この本を読み終わり、ふと顔を上げてみると、そんな危機に瀕しているとは全く思えない日常があり、あっという間にそんな不安は忘れてしまいそうです。
だからこそ怖いのかもしれません。
考え続けなければならないと感じました。