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病や世の在り方への暗い諦念が感じられる場面もありましたが、結末を迎えるとあたたかく明るい気持ちに。ユナの存在が常に物語を光さす方向へ導いていたように感じます。
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物語は終わっても、物語の中の世界は終わらない
明るい期待をもたせて締めくくってくれた。
ユナという存在が最初から最後までこの物語の光だった。
正直、読み始めた時は泥臭いおっさんが主人公か、、、
と思ったけれど、
ヴァンと寄り添っていく中で
彼の人間的な魅力にすっかりやられてしまった。
ヴァンと、ユナの言葉を必要としないつながりに
胸が熱くなった。
もう一度、「獣の奏者」の外伝を読みたい。
この著者の描く親子が好きなんだな、と気づかされた。
生まれおち、一度だけの生を生きていく。
ヴァンも、ユナも、サエも、ホッサルも、ミラルも
身の内で起こる事、外で起こる事を事象として受け止めつつ
賢くも愚かにも生きていく。
できる力を持つヴァンが半仔たちを率いて去って行き
迎えに行ける力を持つユナたちが迎えに行く
鹿の王をたらしめるのは、他者という事で
ユナという存在がヴァンを救ってくれる事を信じ
暖かい気持ちで本を閉じる事ができた。
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鹿の王,という題目に込められた思いが,最終刊で詳らかにされる.人類に対する医学という存在意義を文化人類学的見地から論じてはいるが,その先には人そのものの存在意義,そして賛歌としての温かな側面を感じる.他作と同様,上橋先生の作品は,生きて本作を読めて良かった,と心から思わせる何かを持つ.
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生きる理由、死ぬ理由。
自分の魂と体は別で、体の中に生きるさまざまな生物が動かしている。
昔、自分の手が動くことを不思議に思ったことを思い出す。ここの細胞は何を思っているんだろうかと疑問に感じていた。
人の死。今読んだからわかったこともあったはず。
上橋さんの本は、何を読んでも睡眠時間が削られる笑
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読み終えました。
かなり満足感を得る事が出来る作品でした。
RPGゲーム化しても面白いかも。
架空の国で描かれた、壮大な医療ストーリー。
主人公ヴァンは僕の中ではキングダムの「信」のイメージ。ユナはトトロの「メイ」。
そんなイメージで読んでました。
アニメ化も良いかも。
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病む者の悲しみを見過ごせなかった主人公ヴァンが愛する者たちが生きる世界のために決断を下す。
見事な物語世界を構築し、深く大きいテーマで貫かれ、読み応えのあった作品でした。
異世界の物語ではあるが、現代の世界情勢、民族、戦争、平和、医療、命、そして人の生き方と照らし合わされるかのように考えさせられました。
主人公ヴァンの生き方を一人の男の生き方としてとても感銘を受けました。
そして、題名の「鹿の王」の意味も深く心に伝わってきました。
この世界とそこに生きる人たちに触れることができて幸せを感じることができました。
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タイトルの意味がやっと分かりました。鹿の群れのボスだとばかり思っていたら、そんな役割があっただなんて。
物語の初めは孤独だったヴァン。この巻では、たくさんの仲間たちに囲まれています。
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4巻まとめて読了。登場人物と長い間一緒に旅してきた感覚で不思議な疲労感がある。ライトな文体で読み易いが内容が濃い。生と死、生命の複雑な営みについて考える思考の旅でもあった。
物語を通して独角、犬の王、鹿の王が重要な存在だった。特にタイトルになった鹿の王については、主人公ヴァンの父親の言葉が、ラストの展開に重要な意味を持たせていると思う。盛りを過ぎた牡鹿が自分を捨てて狼から群れを守る。助けられた側は感謝すべきだが、そんな行為を英雄視する周囲の感覚が嫌で仕方ない、と。
物語のラストで、ヴァンはキンマの犬を率いる犬の王の体でありながら、人々を守る鹿の王となる。死に場所を求める独角だったヴァンが、やっと居場所を見つけたのに。その苦悩を思うと泣けて来る。でもそんなヴァンを屈託無く追いかけ寄り添おうとする、血の繋がりもなく氏族も異なる人々が物語の希望となる。
ファンタジーながら、立場は違えど登場人物の内面にそれぞれの苦悩があり、絶対的な正義も悪も存在しないのが現実世界とマッチしている。オーファンもシカンも人間臭い。
読後数日経っても感動が薄れないのはだからかも。
スピンオフ的には、ミラルときちんと家庭を持とうしない一方で『ミラルが死んだら間違いなく自分も自害する』と言い切ったホッサルも複雑で興味深い人物だった。
落ち着いたらまた読みたい。
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死に場所を探していた独角でありながら、真実、彼は生きる意味を求めていた。ようやく戻るべき場所を得たのに、キンマの犬たちを見捨てることができずに、犬の王として鹿の王になる道を選んだヴァン。そしてそんな彼の後を追う人々。あえて描ききらずに、読者の想像に任せる形のラスト。
結局この病を利用していたのは火馬の民、リムエッル、与多瑠の三者、で合ってるかな?火馬の民は己の理を主張するため、リムエッルはオタワル医術の未来のために、与多瑠は東乎瑠を統べる上での政治的目論見として。
生物学や医学の部分は大人が読むと既知の事実で少しくどいと感じてしまうかもしれないが、児童小説に分類されることを考えると、子どもたちにはとても興味深い部分なのではないのだろうか。子どもは新たな知識と壮大なファンタジーを、大人は加えてミステリー要素を楽しむことができる、テーマも広く深い物語だった。
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ファンタジーの大作。この作品も、舞台が現実世界ではないというだけで、極めて現実的なテーマをつきつけてくる。民族問題、病気との戦い、身分。
「鹿の王」という言葉から想像していたのとはまったく違う「鹿の王」の意味するもの。ヒロイズムではない、どこまでも生々しい世界観が強烈に魅力的だった。
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おもしろい小説に出会うと、じっくりストーリーを楽しみたいという気持ちと先の展開が気になって速く読みたいという気持ちで葛藤します。
この『鹿の王』はその状態がずっと続いていた作品でした。
岩塩鉱で奴隷として強制労働させられていた「ヴァン」と、その岩塩鉱で突如発生した伝説の伝染病の謎を解明するために奔走する「ホッサル」という医術師の二人が主人公です。
ファンタジーだけども、医療モノなので話が少々複雑でしたが、ぐいぐいと上橋ワールドに惹き込まれ、あっという間に読んでしまいました。
上橋さんの作品に共通していることは、しっかりとした世界観です。
各土地の文化や風習が詳細に描かれているので、
実際にこのような国が存在し、人々が生活していたのではないかと想像させてくれます。
またファンタジー作品なのに魔法がまったく出てこず、地に足がついているというか「チート感」がありません。
どの登場人物にもそれぞれの立場や複雑な事情を抱えており、「悪者」を退治すれば終わりという単純な話でもありません。
むしろその「悪者」とは誰なのかさえわかりません。
各章ごとに主人公がかわるのですが、その章の終わり方が絶妙で、ドラマやマンガの連載もののように、ちょうど気になるところで終わる上に、次の章はもう片方の主人公の話がはじまるので、上手に読者を焦らしてくれます。
しかし結末は読者の想像におまかせするような感じの終わり方なので、ハッピーエンド好きな私にとっては「めでたし、めでたし」で終わらせてほしかったなぁと思いました。
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2017/9/12読了。
架空の国々を舞台とした作品で、その設定が作り込まれていて読んでいて楽しかったです。ただ、様々な人の名前や名称を、日常で使わない響きを敢えて使って表現していましたが、そのせいで中々頭に入ってこず、覚えるのに苦労した場面がいくつかありました。
また、戦争、移民、病気という現代の問題をこの架空の国々を使って自然に混ぜ込んでありました。ファンタジーながらもやけに現実的な世界観はこうやって出来てるんだなと思いました。
最後の火馬の民の計略、盛り上げて盛り上げてでそれ?って感じで物足りなかったです。
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深い原野の森、出自の違う人々、それを乗せる飛鹿、そして鹿の王。
結末に感じる哀しくも温かい気持ち、私や私の大切な人が夢となった後も続いていく生命への切ない思慕を、幸福と呼んでいいのだろうか。
自分の身体の輪郭を思い出させてくれるような読書でした。
群像劇なので一人一人の心情に深入りはしないのですが、魅力的な人物がとても多く登場するので、外伝がぜひ読みたいですね。
一人選ぶならリムエッルの話がもっと見たい。
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なかなか面白かったが、少し医療の話がくどかった。壮大なストーリーを読んだ後の供に旅を終えた感は得られなかった。
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2015年、本屋大賞第1位。
この作品、当時から気になっていて、ハードカバーで買おうかどうしようか、迷っていた記憶があります。
上橋菜穂子さんを読むのは本作が初でしたが、人気があるのがわかります。
物語としての完成度、架空の世界の設定の奥深さ、そして登場人物の造詣。どれをとっても間違いなく一級品です。
読み始めたら先が気になって仕方ないのですが、そこを我慢して、じっくりと時間をかけて読みました(^^)