投稿元:
レビューを見る
死刑制度という難しいテーマに挑んだ作品。死刑を免れた加害者の家族が死に追いやられる。そこに残るネメシスの血文字。犯人の目的は加害者への報復なのかお馴染みの刑事たちが動き出す。死刑が是か非かの答えは難しいが、正直ここに出てくる死刑を免れた加害者たちの保身しかない態度は死刑相当ではないかと読んでいてつい感情が出てしまった。捜査が難航する割にわりと早めに解決となるが、このページの余り方からしてまだ何かあると思ったら案の定な展開へ。ちょっと上手くいきすぎかなと思わなくもないが、犯人の心の内が切なくもあった。現実には難しいことだが、被害者からすればこんな復讐劇を願う人もいるんだろうなと思うと複雑な気持ちになった。
投稿元:
レビューを見る
死刑を免れた被疑者の母親(息子が幼児無差別殺人)、父親(息子がストーカー殺人)無期懲役を判決した判事は同じ
温情判事の噂。判事の娘が殺されたが判決は無期。被害者遺族のアリバイはある。法曾会への怨恨?
二人目、息子が殺人犯で懲役刑の老人が殺される。
三人目と自覚した女子高生が母と警察に連絡。囮にされる
犯人捕獲。検察事務官だった。自分独自の判断。温情裁判官は全く関係ないと主張。一人目は殺意があったが、二人目はなし。無期懲役で千葉LA刑務所へ。ここに本当のターゲットがいた。わざと虐められる。当の本人から声をかけられた
刃物の調達をタバコ二箱で依頼。刃物を受け取った瞬間に相手を刺し、喉を一文字に切り裂く。
渡瀬刑事は単独犯ではないと判断。恋人の弟が心理技官の職についていた。収監する刑務所を決める役割があった。
投稿元:
レビューを見る
シリーズものとは知らずに読みましたが最後まで飽きさせずに読めました。伏線の囚人については疑問に思ってましたが最期に、あーなるほどねってすっきりです。
純文学本の後だったので一気読みです!
投稿元:
レビューを見る
やっぱり中山さんはすごい。
重いテーマなのにとても読みやすくて、でも決して軽い話じゃない。
毎作考えさせられます。
今作は久しぶりに驚きを味わえました。
岬先生の名前が出てきたのも嬉しかったです。
そろそろ岬先生の話も読みたいな…。
投稿元:
レビューを見る
「テミスの剣」の渡瀬刑事が主役。しかし、前作からは四半世紀ほど経過している。
当時は駆け出しだった渡瀬刑事も警部に。
「さよならドビュッシー」シリーズの岬洋介の父が出てくるのもうれしい。
前作「テミス〜」に対しての「ネメシス」。
またどんでん返しなのかなと思っていたが、最後まで見抜けなかった。
あそこで物語が終わらなかった時点で、ん?と思ってはいたが、なるほど!
が、もうお一人の渦中の人の話はそこまで説得力がないと感じた。彼のいうことも最もだが、そうは感じない人もいるのかもしれないし。
というわけで、「引き込まれる度」はテミスの方が上だったと思う。
投稿元:
レビューを見る
死刑を免れ無期懲役の判決を受けた殺人犯の家族が殺された。遺族による復讐か、現在の司法に対するテロなのか?
死刑制度の是非を問う内容で 自分自身も判断がつかない。
被害者遺族は加害者が死刑になったらそれで納得出来るものなのでしょうか?喪失感は消えないような気がするけど その立場にならないと気持ちはわからないよなぁ...
ただ自分が死刑執行する立場は考えられないし でもそれが仕事の人もいる...
以前、『死刑執行人の苦悩』という死刑執行に関わった人達の証言をもとにした本を読みましたが とても仕事としてやれるものではないと強く感じました。
犯人『ネメシス』は予想してなかった人で...っていうより誰なのかわからなかった。渡瀬刑事や岬検事など以前に目にした名前も出てきて読み応えのあるテーマで面白かった。
投稿元:
レビューを見る
渡瀬警部&岬検事が登場するミステリ。非道な事件を起こしながら死刑を回避した懲役囚の家族が殺される事件。犯人「ネメシス」の意図は私怨なのか、それとも義憤なのか。死刑制度の是非をも問いながら、被害者家族と加害者家族を取り巻く問題をひどく考えさせられるミステリでした。
個人的には、加害者の家族はよほどの場合を除いて、被害者だと思っています。なのにそれを叩く人のいかに多いことか。そして怖いのが、その人たちがそのことを正しいと履き違えていること。面白半分も腹が立つけれど、確信犯のほうがたちが悪いかもなあ。
そして死刑の是非。廃止すべきかどうかはともかく、ラストのあの人の意見には賛成でした。死刑が極刑というのはなんだか違う気がするなあ。死んだらそれで終わりだなんて、優しすぎるでしょ。そもそも日本の懲役刑が甘すぎると思うので。更生の見込みがない無期刑なら、娯楽も奪ってもっと重労働させたほうが罰になると思うんだけどなあ。
投稿元:
レビューを見る
死刑制度、有りか否か。
社会への問題提起はもちろんでしたが
被害者が加害者になるとき、
家族達のその後。
本当に、誰も幸せにならない、
なれないのだと知らされました。
判事は私情なく職務を全うしてほしいです。
私達有権者は選挙の時の裁判官の
「最高裁判所裁判官国民審査」は
自分で考えて投票せねばならないと思います。
真犯人の真の目的、悲しいばかりです。
それに達成感があるのだとしたらそれは狂ってます。
気持ちは十分に理解できますが、
やはりそれは違うと思います。
岬検事が気の毒で気の毒で・・・
深い作品でした、いろいろと考えてしまいます。
さすが中山氏。
投稿元:
レビューを見る
罪と罰。死刑の是非。人間は環境の生物で鬼畜に育ったのは家族のせい。に対して、家庭環境が殺人者にしたという科学的根拠はどこにもない。事故死と殺意の有無の違いもあるが、極論で言うと殺人は相手の命を奪っただから自身も罰として何かを失わなければならない。それは刑務所に入り自由を失う程度ではなく、視力や手足を動かなくするなど死刑までには至らない重刑を科せば抑止、再犯は減るのではないだろうか。本作の終わりはありきたりな感じ。
投稿元:
レビューを見る
死刑とは無期懲役刑とはのお話。
渡瀬警部と古手川刑事と岬検事登場。
死刑の存在意義をいろんな角度から表現されてますのでとても勉強になります。
とても深い内容ですが読みやすいように構成されてます。
おススメ。
かつての国が認める仇討ち制度が復活したら・・?の日本を想像してみたくなる。
投稿元:
レビューを見る
初出 20115〜16年「別冊文藝春秋」
非常に重たい読後感。
死刑制度に関する長いディベートを聴いた気分だ。
死刑判決でもおかしくなかった2人殺した殺人犯が懲役刑になっていて、その家族が犯行と似た方法で殺され「ネメシス」という血文字が残され、義憤にかられた第三者の犯行という線で操作が進み、3件目が未然に防がれ逮捕された犯人に「ウソでしょ」と思わされるが、まんまと作者の罠にはまったことになる。
物語はもう1章あって、犯人の真の動機がわかる。「温情」裁判官の真意も背筋が寒くなる。
投稿元:
レビューを見る
+++
ギリシア神話に登場する、義憤の女神「ネメシス」。重大事件を起こした懲役囚の家族が相次いで殺され、犯行現場には「ネメシス」の血文字が残されていた。その正体は、被害者遺族の代弁者か、享楽殺人者か、あるいは…。『テミスの剣』や『贖罪の奏鳴曲』などの渡瀬警部が、犯人を追う。
+++
温情判事と呼ばれる渋沢が死刑判決を出さなかったばかりに、凶悪犯が刑務所の中でのうのうと生きながらえる現状に、怒りや悲しみのやり場をなくす被害者遺族。刑務所の中の犯人に手出しができない分、加害者家族をうっぷん晴らしの対象にする匿名の悪意の数々。死刑制度の存廃の問題や、正義を振りかざして八つ当たり的な行動をとる者たちの問題まで、考えさせられることが山積みである。ネメシスを名乗る犯人は、思ってもいないところにいたが、意外にもあっさりと罪を認めて刑務所行きとなる。だが、そこからの企みががさらに恐ろしい。人の恨みの深さと、思い込みの激しさの恐ろしさをまざまざと見せつけられるようである。やりきれなさに身悶えする一冊でもある。
投稿元:
レビューを見る
罪に対する罰のあり方、死刑制度の是非。テーマが重すぎて、緊張感を持ったまま読了。
温情判事と呼ばれた渋沢判事もまた、義憤の女神<ネメシス>の使者だったのかもしれないが、被害者遺族はどうあっても救われない。
渡瀬警部、小手川刑事、岬検事、また名前だけだが、光崎教授、岬洋介など、登場するだけでワクワクしてしまった。これで御子柴弁護士がいたら…
前半の相良、速水の伏線も、最終章で見事に回収された。
投稿元:
レビューを見る
肉親である兄はわかるが、大学時代の恋人がそこまで恨みを持続できるのだろうか。
警部がブレなくて良い。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた本。タイトル通り、ネメシスの使者の話。凶悪殺人事件の犯人が裁判で死刑にならず無期懲役の判決に。被害者家族や友人は裁判長を恨み加害者家族も恨み続ける事になってしまう現状。ある日、加害者家族が殺される事件が立て続けにおき、温情判決を出した裁判官や凶悪事件の加害者家族が狙われてるのでは?とネットやテレビでも話題になる。渡瀬刑事は犯人を追うのだが…というミステリーで犯人の本当の目的も最後に分かる。人生かけた復讐劇で倫理観は相容れないが、心情は理解できる計画的犯罪。刑務所や司法の豆知識も知れて良かった。