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名作『苦海浄土』を背後で支えていたのは古代以来の人の営みと幸福であった。美しい文体がものがたる反近代の思想。
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「椿の海の記」「西南役伝説」(抄)新作能「不知火」は再読です。「水はみどろの宮」は、とても幻想的な雰囲気が充溢し、読み進むにつれてどんどん物語の世界に惹きこまれていきます。日本語のもつ表現の豊かさがみごとに表れています。猫や狐の化身が登場することで、『苦海浄土』を想起しました。日本文学とはこういう作品をいうのだと思います。
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少々読みづらいところはありましたが、
読み進めると、引き込まれていく感じのする作品でした。
熊本の水俣を中心とした地域を舞台にした話。
水俣病の『苦海浄土』が有名な作者ではありますが
その『苦海浄土』とは違って(?)熊本、水俣の
美しい自然風景をふんだんに感じられる物語です。
とくに『水はみどろの宮』は、映画のもののけ姫の
ような感じで、森や山や川の精霊や、動物、猫・犬との交流
が美しく描かれてあって、美しく、引き込まれるような
お話しでした。
その他『椿の海の記』『西南役伝説』『ダデ子の記』。
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『椿の海の記』
チッソがやってくる前の美しい世界。人と動物が共に生き、海と野と、山と、それらに息づく神々、精神を病んだ人もうけ入れるのどかな暮らし。『苦界浄土』の入門書としておススメです。 (榎本 教員)
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ゆっくり読め、は正しくそれこそ大切な話。ほかの本読めなくなるし。
また読めるときに読みましょう。読む時間を作りあ商。こういう解説は古典や今とは違うものには有効だ。
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新作能「不知火」は素晴らしい。竜神の姉弟が、汚染された海を浄化するために力を使い果たしてしまう。見かねた菩薩が二人をよみがえらせ再び出会わせるまでが、幽玄の舞台で繰り広げられる。「風の谷のナウシカ」を思わせる、巨大なテーマを持った物語だ。「不知火」は、この全集にしか掲載されていない。この作品を読むためだけでも、この本を読む価値がある。
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231110*読了
石牟礼さんの「苦海浄土」を世界文学全集で読んでいて、そのすごさは痛感していた。
でも、日本文学全集の方で他の作品を読んで、さらにそのすごさを感じて、圧倒された。
自然と共に生きる幼い少女、石牟礼さんご本人の幼少期を豊かな文章で彩った「椿の海の記」にしろ、より幽玄さを感じさせる小説「水はみどろの宮」にしろ、熊本で生まれ育ち、熊本と共に生きた石牟礼さんだからこそ創り出せる世界感だと思う。
どちらもすばらしい。
わたしは収録作の中でも、やっぱりこの二作が好きだなぁ。
詩や新作能までお作りになられて、本当にすごいとしか言いようがない。
この日本文学全集が刊行されたときはご存命で、80代後半にしてまだ活動をされていたようで尊敬しかない。
気になって没年を調べた。2018年だった。90歳。
今、生きてらっしゃったら95歳。もっと長生きしてほしかったな…。
石牟礼さんのお名前っていろんな文学を語る本に登場していて、それをずっと目にしてきたから、「苦海浄土」を読むまではどれほどにすごい人なんだろう?と思っていたのだけど、うん、すごい人だわ。
と、納得した。
それを日本文学全集でさらに深められた。
唯一、両方の全集に収録された方、それもうなづける。