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第61回江戸川乱歩賞受賞作を完全リニューアル!
有名陶芸家の死亡現場で、殺人をほのめかす落書きが見つかる。同じ頃、VJの伏見にかつて町の小学校で起きた殺人事件の映画撮影のオファーが。伏見は現在と過去二つの事件の奇妙なリンクに搦め捕られていく。
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衆人監視の中で凶行を働いた青年。彼が残したのは「これは道徳の問題なのです」という一言のみ。謎めく過去の事件と、それに迫るドキュメンタリー制作に携わる主人公。時を同じくして過去の事件と関連が疑われるような事件も発生してくる。謎が盛り盛りでかなり興味をそそられる。それぞれの落としどころも良い。解説の紹介で他の作品も読んでみたくなりました。
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心の揺らめきや機微を表現する文章力はとても美しくて好き。
ミステリーとしてもいろいろな出来事が絡まり合って収束していく様は素晴らしいと思うのだが、
ボクにとっては少し複雑になりすぎていて、
どの謎がどの段階で解消されているのかが分かりづらく、
モヤモヤ感覚が残ってしまった印象です。
出来事が多くあるため、読み進めていることの伏線がどこだったのか掴みづらかったというのが正直な感想です。
作品としてはミステリー要素も多く
読了感は悪くないです。
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タイトルが気になって買ってしまった。
道徳って言葉を久しぶりに聞いた?見た気がするけれど、タイトルにもなってるそのフレーズが出てくるたびにどんどんどきどきさせられて、先が気になって一気に読んでしまった。
作者さんのデビュー作?すごくかっこいいと思いました。
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呉勝浩『道徳の時間』講談社文庫。
第61回江戸川乱歩賞受賞作。かなり変わったミステリーである。テーマや作中に散りばめられた材料や伏線は面白いのだが、嫌な後味が残るだけで、今一つ判然としない作品だった。
有名陶芸家の死亡現場で、殺人をほのめかす落書きが見付かる。同じ頃、ビジュアル・ジャーナリストの伏見にもたらされたかつて町の小学校で起きた殺人事件の映画撮影のオファーとが、次第にリンクしていくが…
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読み終わってしばらく経ったけど、消化しきれない。良い意味で読後が悪い話だったなあ。小学生の頃、道徳の時間って何の為にあるんだろう?そもそも道徳ってどういう意味?って考えてたことを思い出した。
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不思議な作品だった。ベタなどんでん返しといまいち詰めの甘いサブストーリー。序盤の読みにくさが途端になくなる文章。理解できないけど魅了される心理。はたして救いがあったのか無かったのか。
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道徳の時間を始めます。
殺したのはだれ?―有名陶芸家の死亡現場で、殺人をほのめかす落書きが見つかる。
同じ頃、VJ(ビデオジャーナリスト)の伏見にかつて町の小学校で起きた殺人事件の映画撮影のオファーが。
伏見はふたつの事件の奇妙なリンクに搦め捕られていく。
選考会も紛糾した江戸川乱歩賞受賞作を完全リニューアル。
□□□
以上、裏表紙の内容紹介から。
いや、聞きしに勝るスリリングな展開。
かなり複雑に入り組んだストーリーなので、頭の中を整理しながら読み進めましたが、筆力があるのでぐいぐい読ませます。
新人賞受賞作は、このくらいの熱気がなきゃ、ですね。
本筋とは離れますが、63ページにこんな場面があります。
主人公の伏見と新人ディレクターの越智が、ドキュメンタリー論を戦わせるシーン。
「いかに多くの人間に届けるのか。いかに上手く届けるのか。それによって、どれだけの人間に影響を与え得るのか、変えることができるのか。それがパワーではないですか」
と越智。
この言葉を伏見は反芻します。
「いかに上手く、届けるか。つい最近、自分が似たような発言をした記憶があった。しかし、それをすぐに思い出すことはできなかった」
実は、この42ページ前に、全然違うシーンで、友達を殴った我が子を伏見が叱るシーンがあります。
「―説得できんかった時は、どうしたらええの?」
と訊く息子に、伏見は
「もっと上手く伝えるしかない。もっと上手く、相手に届くように、響くようにな」
と諭します。
こういうのを読むと、うまいなぁ、と感じちゃいます。
細部まで配慮が行き届いていると、作者を信頼してしまうのですね。
もっとも、帯にもある通り、受賞作はかなり瑕が目立ち、出版に当たって全面改稿したのだとか。
原本も読んでみたいものです。
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道徳の時間/呉勝浩:第61回大賞受賞。2015年。
選評を読むとね。受賞作なしで良かったんじゃない?な記載が。
でもね、どんどん読む進められるの。どーなるのどーなるの?って。
結局、小説で成功したかったから、誰でもよいから人殺して謎めいた言葉を残して服役したってこと?
娘に春を売らせるような親のもとにいて、兄にも見捨てられ、それでもここまで生きてきましたってこと?
幼いころから虐待され、食うのも大変って生活してると、頑張っても、それがしみついてるってこと?
そりゃ、そうだね。三つ子の魂百までって言うからね。
こんな悲惨な人生があります、ってのがドキュメンタリーってこと? それを公共で開示する必要があるってこと?
盛りだくさんすぎ。
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面白かったー。
まさしく“道徳”の小説、物語だった。
面白い面白い面白い。
ただ映像作品の良し悪しについて全く疎いので、それについての言及がさっぱりだったのが無念。
他の作品も読みたいと思わせる一作だった。
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呉勝浩の初読み。
しばらく前に見かけて気になってはいた一冊。
気にはなったけれど、「古本で出回ってからでもいいか」と、そっと棚に戻した一冊でもあり。
しがない小遣い制既婚勤め人には、初読み作家を新刊で買うのには勇気がいるもので(苦笑)。
同僚からの誕プレを開いたら出てきたのが、この一冊だという偶然。同僚に感謝。
かな~り久しぶりに「ページをめくるのが止まらない」という程にのめりこんだ一冊でもあり♪
かといって、題名に沿って道徳とは何か?などと語る気はない。(もちろん、道徳とは何かと考えさせられる要素は多々あったけれど)
自分はこの作品を、、、、
報道の在り方を問う物語として、
父と子の物語として、
友情の物語として、
夫婦とは何かを改めて見つめる物語として、
そして、己の矜恃を問い直す物語として読んだ。
筆者のデビュー作だというのにも驚き。「作家買い対象作家」にエントリー♪
★4つ、9ポイント半。
2017.11.21.新.贈。
※関西と、関東・東北とでは学校文化が異なるのか?・・・小学校に「部活」があるという設定だけは、違和感ありありだった。
※巻末解説で記された、「乱歩賞選考時、動機のリアリティが疑問視された」との記述・・・いやいや、ありえなくはないんじゃないか、と思う。
※同じく巻末解説文に触れられた、「2015年6月に太田出版から刊行された一冊の本の存在」に、全く思い当たるふしが無い・・・・どなたかこのレビューを読んだ方、教えてください!
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2018.07.26.読了
グイグイ引き込まれた。
先が読みたくて仕方ない気持ちにさせてくれた。
だから、星4つ。
でも。。。なんか理屈っぽいって言うのかな。
"みんなくん"の設定や向兄妹のお互いにもつ感情、そして道徳。それらについては読了後も結局はなんだったのか?どうだったのか?わたしにはわからないまま。モヤモヤ感はすごい
向兄妹のその後、彼らの両親の今、知りたいことは山ほど残っている。
そもそも道徳って言葉が曖昧だから、それを題材に持ってきた作者自身が納得いってない感じなのかな。
ただ1つものすごく不満なのは。。。
伏見が吉川の虐待に気付いた時、なんで通報してくれなかったのよ?!?!
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かつて、世間から注目されたビデオジャーナリストの伏見。
彼が住む鴨川市で、悪質なイタズラが連続で起きる。
それぞれの傍らには、「生物の時間を始めます」、「体育の時間を始めます」という謎のメッセージが残っていた。
さらに、鴨川市の名家、青柳家の一員の陶芸家が毒を飲んで死ぬ。
警察は自殺という見方をするが、現場から「道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?」という落書きが見つかったことから、連続イタズラ事件との関連性が疑われる。
ちょうとその時、伏見にある仕事が依頼される。
それは、鴨川市で十三年前に起こった殺人事件の検証を
ドキュメンタリーフィルムにするというものだった。
奇しくも、この十三年前の殺人事件にも「道徳」という言葉が絡んでいた。
事件現場は、当時の鴨川第二小学校。
その講堂で、元教員の正木昌太郎という初老の男性が講演を行っていた。
彼は講演中、後ろの座席から歩いてきた男によって胸を刺され死亡した。
男はその場で取り押さえられ、通報を受けた警官に逮捕される。
だが、男は警察の取り調べに対し黙秘を貫く。
何も語らぬまま裁判が行われ、最後に裁判長から最後に思うところを述べるよう促され、「これは道徳の問題なのです」とだけ述べた。
このドキュメンタリーの企画を持ち込んできたのは一人の女性。
伏見はカメラマンとしてこの事件の検証を行ううち、女性の意図に疑問を持つようになる。
道徳とは一体、何なのか。
躾、人がきめたただのルールか、人を導くものなのか。
鴨川事件の犯人が黙秘を続ける理由は。
そして、そもそも、正木を刺したわけは。
連続イタズラ事件と十三年前の事件に関連性はあるのか。
教育、ジャーナリズム、親子。
あまりにも多くの謎や疑問が提示され、途中、迷子になりそうな心もとなさを感じてしまう。
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とある陶芸家が自宅で死体となって見つかった。
服毒自殺と思われた部屋の壁には「道徳の時間です」の文字が。
同じくして、過去に公演中に壇上に上がり演者を刺殺した犯人の
ドキュメンタリーを撮る事になったカメラマンの主人公。
その犯人が公判中に呟いた言葉が「これは道徳の問題なのです」
主人公の地元で起こる連続イタズラと陶芸家服毒自殺事件とリンクして、
過去の事件をインタビューとして浮き彫りにするこの作品。
なぜこの映画を撮ることになったのか、犯人の目的は?
最初は乗り気じゃなかったのに気がつけばグイグイと読んでしまった。
作中で語られる「道徳」とは、実態が無いのに誰しもを押さえつける
枷として描かれている。教育論とかそういう小難しい事も出てくるけれど、
犯人や監督を動かす原動力を知れば最後は大いに納得できる。
ミステリで言うwhyに力が入っている作品が好きな人にはおすすめです
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子どものいたずらと思われていた事件が、殺人事件へとつながっていく。自身も父子関係に悩む主人公が、事件の真相を探るミステリー。
江戸川乱歩賞受賞ということで手に取った。
ジャーナリズムのあり方や思春期の子どもの行動など深刻な問題を取り上げてはいるのだが、ドラマチックに盛り上げるための要素が多すぎて、逆に深みを欠いている。