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紙の本
神は細部に宿る
2007/02/22 10:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:考える人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
両親を交通事故で亡くした小学生の女の子みのり。父の実家にひきとられたが、祖父はマッドサイエンティストだった。次々と繰り出される発明品によって今日も大変、でも少しずつ心を通わせて家族になっていく、そんな日々をコメディタッチでつづるホームドラマです。
マッドサイエンティストな祖父が大きな野心などをもっておらず、孫の機嫌をとるためだけに発明をするんですが、一般的な常識や倫理観が欠けているために生じるトラブルを面白おかしく描いています。発明品が炊飯器や洗濯機といった身近な家電製品を改造する形なのも楽しい。って、説明するとギャグはギャグじゃなくなってしまうんですよね、いつも思うんだけど。
1話が8ページと少なめです。アホな発明やアホな登場人物のせいでこんなことになっちゃったーという、みのりの驚きを示す場面が見開き2ページで必ず入ります。今回の一発ギャグはなにかな?と期待しながら読むわけです。そのパターンが確立されてきたら今度は待ち構えてる読者に肩透かしをくらわせるようになったり。雑誌連載で読んだときはいい箸休めになる作品でした。こうしてまとめられて毎回それをやられると、ちょっと飽きてくるかもしれません。
一巻は最初から最後までそんな一話完結型ギャグでしたが、2巻では、みのりと同居するイトコのマコトさんを掘り下げたストーリー展開もあります。
これがまた青春!って感じで、こっちが赤面して部屋を転げまわりたくなっちゃう青臭さに満ちており、好きな人にはたまらないでしょうね。子供の頃は正しいことをしても「良い子ね」って褒められるのが耐えられず、わざと見せつけるように悪いことをやって照れ隠しするようなところがあるじゃないですか。あれです。あの空気がビシバシ伝わってくる。
ただ、2巻収録のデビュー作や、みのりの友達が転校する回などを読むと、シリアスな話はそれしか書けないのか?とやや心配になりました。次回作に期待します。
私がこの作品で好きなところは、細部のちょっとした描写や小ネタです。床の拭き掃除をしてワックスをかけるとき、スカートが汚れないように膝の下にきれいな雑巾をしいてたりとか。みのりの音楽の教科書の裏表紙がピアノの鍵盤(懐かしい!)だとか。かわいい。アシスタントはいないそうなので作者の腕ですよね。
それから子供の気持ちや学校生活を描くのが上手い。小学校のクラスで男子と女子が対立したときの様子なんてリアルすぎて素晴らしいです。子供を記号的じゃなく描いているので、どんな家庭環境なのか、クラスではどんな立ち位置なのか、想像できるんです。
たまに思い出して読みたくなる作品。あまり知られてないみたいですが、もちっと高く評価されてもいいんじゃないでしょうか。
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