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初出 2015〜17年「読売プレミアム」
将棋のプロ棋士になるには、今をときめく藤井くんのように奨励会に入って26歳までに4段にならなければならない。。
その途中で4段になれずに脱落して刑事になった男が死体遺棄事件を追う。
追われるのはIT起業に成功した後アマチュア名人になってプロの新人王戦を制し、特例でプロ棋士になれた「炎の棋士」と呼ばれる男だが、彼をそこへ至らせたのは、金を賭けて指すもうひとつのプロである真剣師と亡母のイメージである向日葵が盤上の指し位置を示す幻視だった。
後半は途中でやめられず、深夜まで一気読み。面白かった。
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名品の駒を抱いて埋められていた白骨死体。その駒から被害者の身元と被疑者の線を追う刑事たちの物語。
一方では、不幸な生い立ちながら将棋に魅せられ、生きる道を見出した少年の物語。この二つのパートがいったいどう繋がるのか、それはわりと早い時点で予測がつくのですが。なぜ事件が起こってしまったのか、そしてその事件の真相は、というあたりはなかなか分からず。ミステリとしての謎は案外と小さいのに、物語でかなりぐいぐいと読ませられました。
昨今は将棋ブームとはいえ。本気で将棋の世界で生きようとする人にとっては、これほどに厳しいものだとは。だけどその世界でしか生きられない人たちの壮絶な闘いは実に圧巻でした。そして事件の真相とその結末は、あまりに切なくて。深い余韻の残る一作でした。
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殺人事件。
遺体の胸には初代菊水月作の将棋の名駒が。
ベテラン刑事と元奨励会会員の刑事が、真相を探る。
ちょうど、
雪国では竜昇戦の対局。
正統派の天才対異端の鬼才。
異端の鬼才上条桂介の生い立ち。
丁寧に描写。
恩人の先生との交流など、
桂介少年。頑張れ!と応援したくなる。
とても心温まる話。
このまま、
良い話で終われば良かったのだけど。
どんどん、
上条桂介は、闇へ闇へと、
突き進んでしまう。
悲しい切ない話。
恩人の先生の家に養子に入っていたら。
運命は変えられたのかな?
ラストまで、
引き込まれていく。
将棋の勝負。
ちょうど、
映画聖の青春を観た後だったので、
将棋の世界の大変さ。
奥の深さ。
真剣勝負。
怖さが、
よく分かりました。
すごい!!としか言えない。
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現在と過去、場面が入れ替わりながらだんだんと近づいていく。
将棋のことはさっぱりわからないが、とても面白かった。
上条佳介が将棋に出会ったことはきっと良いことだったのだろう。
でも東明と出会ったことはどうだったんだろう。
途中から止まらないでどんどん読んでしまいました。
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2018/5/27 20冊目
ほとんどは将棋を軸にして、ある男の人生を描いた作品。本格的なミステリーを期待した人には少し物足りないと思う。
描かれている人間ドラマ、心理描写はおもしろかった。
佳介は唐沢と庸一を重ねたような東明を憎みきれなかったのか。
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善人ではないけど、結構東条の生き様が好き。大変な状況の中をどんな手を使っても生きていく強さとか、そんな自身を達観して見ているような雰囲気とか。
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埼玉県の山中で白骨化した刺殺死体が発見された。高価な将棋の駒を胸に抱きーー。シチュエーションからして面白い。ワクワクしながら読める。ただし、読み進むに連れ将棋の狂気が顕現する。最後の方ではもう犯人が誰なのか関係なくなってくる。それ以上に、文字通り命を削りながら将棋を指す上条桂介や東明重慶らの生きざまに心を打たれる。勝負の世界の非情が狂気を生む一方で、そんな世界に憧れる自分がいたりして、非日常の世界に引きずり込まれる。自分が安全な場所にいるからこその狂気疑似体験、アトラクションとしての狂気を感じているだけなのかもしれない。一気に読ませるストーリーテリングは見事。これだけ怖い将棋の世界を見ながら、将棋を指したくなった。
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不遇な幼少期を過ごした主人公圭介。一度はあきらめた将棋の道を再び志し大舞台へ。その裏で彼を追う刑事たち…。残念は結末へと進む予感を感じながらもページを繰る手が止まらない。支援者である唐沢夫妻、真剣師東明…、将棋がわからなくても問題なしの人間ドラマ。
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このミス9位。将棋のことは分からないが、胸が熱くなる壮絶な人間ドラマに仕上がっている。悲しいラストに突き進んでいく怒濤の展開が凄かった。
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とても良かったです。
圭介少年が気の毒過ぎて…
涙が出そうになりました。
最後も…
救いがあってほしいです。
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過去と現在のつながりっぷりが見事。
しかし将棋がっ……将棋がもうちょっとわかれば、更にもっとワクワクで読めたのだろうと思うと悔しいよう(駒の動かし方が解る程度なので。トホホ)
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上条桂介という悲運な天才棋士の生涯を描いた物語。その一生の壮絶さには目が離せなくなり、もはやミステリーというよりドキュメンタリー小説の体をなしている。
桂介の人生はバッドエンドを迎えたようにも見えるが、最後の竜昇戦で勝てれば桂介は幸せになれたとは思えない。遺伝子レベルで刻み込まれている死への執着に苦しみ続けるくらいならば、救われたようにすら思える。
良くも悪くも桂介に重きを置きすぎて、佐野や石破など捜査側のシーンが蛇足にすら思えてしまったので★4。石破との捜査を通じて佐野が成長して将棋への未練を断ち切ることで、将棋に執着し続けて炎のように燃え尽きた桂介と比較する形にしても面白かったのではないだろうか。
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面白かった。1月にして今年の1番に出会えたような予感。
埼玉山中で発見された白骨遺体とともに埋められていた時価600万円という希少な駒を手掛かりに、刑事たちが事件の糸を手繰り寄せていく過程と、不幸な少年時代を送った桂介がやっとの思いでプロ棋士になりながら破滅に向かっていく過程が交互に描かれ、ふたつの流れが一つになる最終章で悲劇の幕が降りるという構成の見事さ。
将棋のことは何一つわからない。それでも対局のシーンも含めて引き付けて離さないのは、作品に一貫してある緊迫感と哀しさとやるせなさによるものだろう。真剣師の身を削るような鬼気迫る将棋に息をのみ、桂介の心に巣食う狂気に胸を痛める。
松本清張の「砂の器」に似すぎているという書評もあるが、この作品の肝の部分でもある桂介と東明重慶との関りがこの作品を「砂の器」とは似て非なるものにしている。
重慶との最後のやり取りには救いがあって、哀しい結末ながらほのかに光が見えたような気がするのは私だけだろうか。
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本屋大賞ノミネート作品として知り、即購入。
読み始めた止まらなくて一気読みでした。
事件の犯人を追う警察の視点と、犯人と思しき棋士の生い立ちが章ごとに交互に描かれる。
現在と過去が交錯する過程は見事。
将棋のことは分からないけど、それでもすごく面白かった。
将棋好きならきっともっとのめり込めるんだと思う。
最近マンガの「3月のライオン」を読んで将棋ものに興味が湧いてたから、良いタイミングで出会ったと思う。
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一気読み。
登場人物がそれぞれに個性的であることが、この小説を一層面白いものにしているんだな、と思いました。
桂介くん、頭が良すぎます、、、。そして、唐沢夫婦が本当に素晴らしい。