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期待していた方向性ではなかったので、9割がた読み飛ばしたのだが、目の覚める一文と出会えたことは幸運だった。
「世界観」が与えられる。それは直感的に理解できた。自分の精神的視野の枠組みを決めたもの。それが自分にとっての宗教なのだ。
★★★★★
宗教に属することのメリットで、自覚されにくいけれども最大なものは、ある程度まとまった世界観が与えられるということだろう。
つまり、その宗教が与えてくれる価値観でこの世界を理解してすませることができるのだ。したがって、世界はカオスでも不条理でもないことになる。世界の因果と理由と結果が決まっているからだ。
そういう固定点が与えられればどうなるか。そこからのみ世界を眺め、世界についてあらためて自分で考える必要がなくなるし、いちいち疑問を持つこともなくなるのだから、信者には一種の安心がもたらされる。
しかし、同時にそれは思考停止でもある。この思考停止と、付和雷同や怠惰とは地続きになっている。