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私には必要のない作品でしたが、本作を必要とする人がいるのは分かるような気がします。
具体的には、行動して傷付くくらいなら受け身になりたい人、信じていれば必ず救われると思いたい人、大切な人は丸ごと受け止めなければならないと考える人etc.にとっては共感できる作品なのではないかと。
セカオワはほとんど聴かないのですが、彼らの音楽もこんな感じのナイーブな世界観なんですよね?であれば、ファンの方々には十分に楽しめると思います。セカオワの結成秘話みたいなところも描かれていますし。
どこまでが事実でどこまでが創作なのかを想像しながら読むのもいいんじゃないでしょうか。
で、小説にそういうものを求めない私のような人間にとっては、読み進めるのがしんどかったわけです。
それでも月島が渡米して心身に変調をきたしていくあたりまでは、サスペンス的な要素もあって少し面白かったですよ。
ただその後はあんまり・・・。
病院から逃走して、派手にやらかしてくれるような展開にでもなればまた印象も違ったと思いますが、普通にリハビリして、そのまま青春小説の枠組みの中に戻っちゃったのはいたく残念でした。そういう意味では、実際の出来事に引っ張られすぎて、フィクションとしての話の広がり方が中途半端になってしまっているような気がします。
他にも気になるところはいっぱいあって、例えば自分にカッターナイフを突きつけたような男にいつまでも引き寄せられる主人公の心理って、どうなんでしょう?
一応伏線として中学時代のエピソードが書かれてはいるけれど、動機としては弱すぎるんじゃないですか。
これに限らず、2人の言動にあまり説得力を感じないのは、肝心な場面の描き込みが不十分だからだと思います。
それに2人以外の登場人物がおまけ程度にしか描かれていないのも不満です。月島の父親とか。
あと、いろいろな書評で「文章が上手い」っていうのを見かけるのですが、そうですかねえ? 地の文が自身の内省ばっかりで、主人公に共感できない身にとってはもういいよっていう感じでつらかったです。
藤崎さん、ファンの皆さん、ごめんなさい。でも、これが偽らざる感想です。
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SEKAI NO OWARIのメンバーがときどき話しているエピソードがいくつも盛り込まれている。
夏子は自分に自信が無くて人との距離をはかれない。月島は繊細ゆえに普通であることができない。
生きにくい二人がメンバーと一緒に生きていくことで自信を持ち前向きに生きていくようになる。 青春だな。
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直木賞候補になり、結局、とれなかったが、ほめている書評も多く読んでみた。小説なのだろうけど、自叙伝に近いのではないかと。ピエロのお面が出てきたりするところは、まさに。自叙伝的という意味では、『火花』に近い読後感。もちろん、よく書けていて、大学生のモラトリアム感がよくでている。まあ、自叙伝に近いからなのだろうが、この世代によくある、Hな行爲がでてこないのが不思議な感じ。
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SEKAI NO OWARI Saoriの半自伝的小説。
自分はSEKAI NO OWARIのファンでもなんでもなく、どちらかというと人見知りに近い感覚で見ていたバンドです。
だから彼らのことを何も知らないが、月島(深瀬?)ってこんなにワガママなの~?と何度もイライラさせられた(笑)
SEKAI NO OWARIというバンドができるまでという物語なのでしょうか。
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多感であり自分の将来の無限の可能性とプレッシャー。それでも友情と恋愛の中で音楽に挑戦するバンドマンの物語。SEKAI NO OWARIと重ね合わせ、どんな人にもそこまでたどり着くまでのとても長く重くストーリーがあるのを忘れがちだけど、思い出させてくれる。学生ならではのセンシティブな感情の動き、突然の出来事や社会との間で自分を見つけようとする登場人物たちと、池上線沿線の風景が何とも心地よい。
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こんなに共感しながら読んだのは、初めてかもしれない
ってくらい、自分の気持ちを描写してもらった気分。
直木賞候補になるのが、読んだらわかる(はず)。
セカオワの世界観が大好きで、そのSaoriちゃんの小説はどうなんだろう?って『音楽と小説は違うよね』って少しナメた感じで見たら、どっぷりとハマってしまいました(ごめんなさい)。
彼女の苦しみが、自分のことのようで苦しみから抜け出たときに、私の苦しみも消えたような気になって。
P322のあとがき『小説は、書けば書くほど〜そのほとんどがゴミでした』から彼女の苦しみが辛くて深いこと感じながら、でも諦めないでこの小説を生み出してくれたことが、嬉しかった。この小説に出会えてよかった。
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すべてが真実ではないだろうけど、辛すぎないか?
実際には彼ではない人と結婚して子供も産まれたけど、彼らの関係は大丈夫かと不安。
二人では破滅してしまう。そこに理解してくれる友達が入り、他の女の子が入り、寄り添い過ぎずそれでも離れず。求めながら諦めそれでも分かち合う。辛い。
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藤崎さんは後書きで、この小説を5年もかけて完成させたと書いていました。文面からも平坦な道のりではなかったと安易に想像できますが、諦めずに書きつづけたことに尊敬します。
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話題の本、SEKAI NO OWARIに対してほぼほぼ理解のないまま手に取りました。
自伝的小説とのこと。読み終えて、改めてセカオワに興味を持った次第。
第一部、月島(=深瀬)が病気が原因とは言え、夏子(=Saori)を振り回す様子、芸術家肌の掴みどころのない男というイメージに嫌悪感しか感じられませんでした。
第二部に進み、月島が病気を克服し、バンドが軌道に乗り始めてからは、一気に面白くなり、デビューが決まりそうというラストシーンは、じんわりと鼻の奥がツーンとする感覚を味わいました。
途中での挫折は許されない話、最後まで読んでこその直木賞候補作だと思います。
『誰かと美味しいと言いながら食べると、ご飯は美味しくなる。』他、素敵なフレーズが沢山ありました。
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どうしても偏見を持って読みがちな芸能人の小説だが、思っている以上にクオリティが高かった。セカオワのファンなのでじっくり味わいながら読むつもりだったのだが、図らずも3日で読了してしまった。私の夫も発達障害なので、主人公の夏子が月島とどう向き合っていいのかわからない悲しさや寂しさがとっても共感できた。ただ才能のある人間は、仲間を見つける能力も持っているのだなと実感した。そして才能のある人間は仲間のいる居場所しかないのだなとも思った。
夏子が月島に誉めてもらった作詞はどの曲なのか、ちょっと気になる。
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10代の少女と少年の危うさと、恋と友情のギリギリの感情に世代は違えど共感しすぎるほどだった。
正直、セカオワと言うバンドもあまり知らなかったのだけど、この小説を読んで、色々な面から興味を持った。
最後までテンポ良く、後半は苦悩からようやく開けて来た道を歩こうとする夏子たちの思いが、届いた気がする。
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読む前から多少の先入観があったのですが
文章や表現が上手くてアーティストというより
作家さんの本を
読んでいるような気がするほどでした
思春期に月島と出合ったなっちゃん
月島に付き合い振り回されて冷静な目を持っていても
心って距離感で変わってしまう。
振り回され苦しんで悩んで、それでも寄り添い
月島と月島の友人達とバンドを組み
デビューをつかむ所で話しは結ばれている
この後のメジャーになる所も読んでみたいです。
月島の芸術的センスや入院の下りとか
ピエロの被り物など今のバンドの楽器とか
多少のフェイクとかあるだろうけど
このバンドそのものに思えてくる
普通の人には出来ない労力、お金の工面
それだけの魅力があったのだろう月島は
夢に繋がって良かった
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小説として面白いと思う。でも、これが私小説なのかどうかって考えると、単純に楽しめなくなる。娘がSEKAI NO OWARIファンなので、断片的に教えてもらった情報と一致することも多い。名前は変えてあるけれど、モデルになった人物がすぐに思い浮かぶ。これが現実の話だとすると、生々しすぎて単純に楽しむわけにもいかない。もちろん、事実をそのまま書いているわけではないだろうとは思うのだけれど、じゃぁ、どこから小説なのかがわからなくなる。有名人が書いた小説ならではのデメリットと思った。
最初にも書いたけれど、現実は無視して純粋に小説として読むならば、面白い小説だと思う。
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「まーた芸能人が小説書いてみました、パターンかこりゃ」と全く期待せずに読んだら面白かった…。最後むりやり収束させた感はあったけど、キラキラともドロドロともしている青春小説のラスト、なっちゃんの成長ぶりには感情移入してちょっと泣きそうにもなり。ただ、私小説でなく全くのオリジナルストーリーだったらここまで面白いかは謎。
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ことばを選んでいる
ことばを大事にしている
と、感じられる小説。
夏子と月島のヒリヒリするようなやりとり、
言ってはいけないとわかっているのにという感情の高ぶり、それを言って欲しかったんだと一瞬にして満たされる感じ
などに共感できる部分も多かった(意外にも…)。面白かった。
ただ、すみれちゃんとのエピソード…
夏子が精神的に救われる大事な場面とは思いつつ、
私には違和感がありました。
加えて、月島のモデルはやはり…、どこまでがフィクションで本当にあったエピソードはどれだろ?と週刊誌的な勘繰りが入ってしまいました。