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投稿者:いちご - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みはじめてすぐに白いひつじだと思い至りました。だけど先を読みたくて、読み進めて最後には涙もろくなってしまった主人公の様に涙がポロポロこぼれました。長野先生の本との出会いは白昼堂々でした。何年前になるのかな?最初の出会いから今もずっと大好きです。
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投稿者:荒夷 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中には、ひととは異なる世界ーーひとよりも多くの“モノ”が存ずる世界ーーが見えているのではないだろうか、と思える作家が幾人かいる。
長野まゆみさんもそのうちのひとりだ。
常人の私には見ることのできない世界が長野さんの目には写っているのだと思う。
そして彼女は「物語」という形で、常人の私には知ることのできない世界での出来事を教えてくれるのだ。
長野さんの作品は幻想的でリアル。
それが長野さんの作品の魅力のひとつであることは間違いない。
今作「いい部屋あります。」もそんな心積もりで読み始めた。
以下、やんわりとネタバレを避けて書いていきたいと思う。
読み始めてじきに、ほくそ笑む。
今作も長野作品の例に漏れず、不可解な出来事。謎めいた登場人物のオンパレード。
少年から青年への転換期際にいる主人公たちの、途上であるが故のもどかしい不安定さ、心許なさが作品の不可思議に拍車をかける。
そして、現か幻か、妖かしか……と惑わせる、思わせぶりなキャラの存在にすべてが誠しやかで、ぜんぶが虚構のように曖昧に滲み、期待は否応なく高まっていく。
物語は、謎に謎が積み重ねられ、こんがらがりまくってクライマックスを迎える。
やがて、大小様々な謎が見事に解かれ、ひとつの美しい図柄が姿を現す。
その図柄を見たときに、安易な思い込みによる予想が見事に裏切られたことに気づくのだ。
無論、いい意味で。だ。
そして実は、長野作品のこういった裏切りは今作が初めてではない。
長野作品にはこういったケースもあるということを充分に弁えていた。
故に、心のどこかで騙されまい。と疑いながら、見破ってやろう。と惑いながら、読み進めていた。
穿った心で読み、結末がどう転んでも「やはりな……」と頷く心構えはできている。そのつもりでいた。
しかし。そのつもりでいても、結局は「そう来たか!」と額を叩いてしまうのだった。
この一筋縄でいかない感じがまた、長野作品の魅力のひとつなのだ。
さて。
では今度は、結末ありきで読み返してみよう。
先とは異なる心持ちで、楽しめるはずだ。
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お話自体は面白いのですが、BL的なものを入れなくてもよかったのでは・・・長野まゆみさん作品らしいといえばらしいかな・・・。
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単行本「白いひつじ」で既読。タイトルだけ変えたなら、せめて帯だけでもそう分かるように記しておいて欲しいものです。紛らわしい。タイトル変更も原題の「白いひつじ」の方が趣も深みもあって、より文学的で個人的には好ましいです。ライトノベルっぽさを出したかったのかな。
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クセモノ揃いの男子寮の面々に翻弄される物語かと思いきや、あたたかい展開にびっくりした。
泣きたくないのに泣いてしまう鳥貝がかわいい。愛されキャラでした。
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2度読みをおすすめしたい本のひとつ
結末(というよりは主人公の外側の経緯)を知ってから読み返すことで言葉選びの繊細さ(例え勘違いはさせても けして嘘はないこと)に気づかされるし
指環のエピソードは その仕掛けが紐解けたときにもう顔を覆うしか術がない……
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泣かされヒロイン鳥貝と、ひねくれヒロイン百合子。
そして不思議な男子寮の面々。
どことなく漂うえろす!と思ったけど、ただただ切なくてやさしい物語だった。
家族と、愛のワンシーン。
オムレツ食べたい。食べて泣きたい。
指輪のくだりものすごい好きなんですけど、言葉にはできまい。
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長野まゆみらしさから始まり、
期待したが、後半はよくある話に。
長野まゆみ作品に母親は合わない。
キャラクターの名前とその読み方の説明が秀逸。
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とにかく百合子くんがかわいい、すっごくかわいい。
百合子千里(ゆりこ ゆきさと)は男性。なんと“百合子”は苗字。
主人公の名前は鳥貝一弥(とりがい たかはる)で、他にも安羅(やすら)さん、白熊(はぐま)さん、多飛本(たびもと)さんと長野まゆみさんらしいネーミングセンスの人たちが沢山登場してくれて嬉しい!
春から大学生として一人暮らしをするために上京し、学生寮に応募していたものの、抽選に外れ、他の近辺にある物件を探すがどれも残り物の物件であり、高額or劣悪条件ばかり。
部屋探しに途方にくれる中、学生クラブの会長に勧められ、学生が運営・管理している物件を紹介される。価格もお手頃、環境、部屋の状態も最高。しかし、その物件に入居するためにはある条件が課せられていて……。
作中で主人公も少し察して警戒していたような、歳上の男たちに囲まれながら総攻めハーレム的な寮生活を送らされるのではないか…という展開は無く。「左近の桜シリーズ」のような雰囲気とは違い、どちらかというと凄くほのぼのとしていて、心が温かくなるお話でした。周りの人たちがみんな良い人ばかり。
食べ物も美味しそう!細かく章が区切られているので、短編みたいで読みやすかったです。
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僕はひつじ、道に迷い、誰かに導かれ。
ああああ、ってなる。すごく長野まゆみ。なぜか西炯子の絵で脳内のキャラクターが動き出す。クセのある人ばかり。でもみんな哀しいほどに優しい。ちょっと周囲の人間関係にご都合主義すぎないか、と思いつつも、それがこういうフィクションのいいところじゃないかと。この鳥貝と百合子(百合子は名字という、これもなんだか長野まゆみ的)がどうなるのか、想像が捗ります。百合子は不器用すぎて、もはやかわいい。洋館の寮ということで、恩田陸『ネバーランド』を思い出しもしました。
鳥貝を象徴するのが「白いひつじ」であること。守られる存在、好奇心、ふわふわ、安心感、さまざまに解釈できそうですが、意外と一人で歩いていけそうな感じもする。まあ、聖書的には、一人で歩いていってしまうと迷子になって、羊飼いが探しに来るんですけど。だから、どうしても守られる存在という感触が強いかもしれない。
単行本では『白いひつじ』というタイトルだったそうですが、正直その方が内容をがっつり表していていいと思いました。
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長野まゆみのいい部屋ありますを読みました。
長野まゆみの小説というと、美男子がたくさん登場してボーイズラブのにおいのする、少女向けコミックのような小説というイメージがあります。
今回の作品もそのような小説に見せかけていますが、ストーリーのほうはちょっとひねりが入っていて面白く読みました。
主人公の鳥貝一弥は希望する大学に合格して下宿先を探しますが、予算に見合うアパートが見つかりません。
大学の学友クラブに顔を出すと、大学には寮があるが入寮審査がきびしいということを聞きます。
しかし、なぜか大学の寮へ案内された鳥貝は個性的な入居者たちに驚きます。
一癖も二癖もある入居者たちは、しかし鳥貝に隠している秘密があったのでした。
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白いひつじのままで良かったんじゃないの?と違和感を抱えつつ、やっぱり素敵な話は素敵な話なので一気に読了。涙腺も言わずもがな。でも改題はやっぱりチープな感じでうーん。
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今日のお昼ご飯は炒めた野菜を敷き詰めたグラタン皿に豆乳を加えた卵液のふわふわオムレツ。アプリコットのタルトも食べたい!
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長野まゆみさんの文章をまた味わいたくて比較的最近出たらしい本を購入。また例によって青年が主人公の作品で、読んでいる最中「好きだ~~!」と心の中で叫びをあげていた。
題名からして部屋探しストーリーなのかな?なんて思うがそんな単純な話では全くない。プロローグから、夢かうつつかわからないような遠い思い出話が始まる。あれ?これは部屋探しの話ではないのか?なんて思っていると次の章からは17歳の鳥貝くんの上京に伴う部屋探しが始まる。入学手続きを終えてから部屋探しを本格的に始めた彼は完全に乗り遅れてしまい、どこも契約済みであると諦め気味に大学の食堂で資料を広げて昼食をとっている。するとそこに、いい部屋があると見知らぬ学生に紹介され、とんとん拍子にとある洋館にたどり着く。そこは一癖ある青年たちが暮らす寮になっていて、鳥貝は料理番をするという条件で破格の家賃で住ませてもらうことになる。この料理を振る舞う場面がまた絶妙に描かれていて、想像するだけでよだれが垂れそうになる…
他の住人の中でもとりわけ癖が強いのが百合子(これが名字)であり、鳥貝と絡むとまあなんというかBL的なにおいがする。けれど、話が進むにつれて彼が重要な役回りを担うことになり、素直でないだけで優しさを秘めている(本当か?)ことが判明する。そして鳥貝も夢かうつつか思い出せないような記憶を上京を機に、そして百合子と接するうちに紐解いていくことになる。
前回読んだ『鳩の栖』といい、今回の『いい部屋あります。』も、様々な事情を抱えた青年たちが物語の主人公であることが長野さんの作品の特徴なんだな、と。そしてその主人公たちを優しく包んでくれる友達がいい仕事をしている。今回の作品は、読み終わってから再度プロローグから序盤のあたりを読み直したくなる仕組みになっていて、より楽しめた。
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長野まゆみ先生の文章は本当に金平糖のような可愛さと幻想さとお上品さがとても良いなと思った。品が良い文章に読み流してしまったけど百合子は変態だなぁと思った。