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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
死神顔男性の名前が乙姫とは(笑)不吉フェイスと超イケメンという異色の刑事コンビはメリハリが効いていて面白かった。もう少し彼らの情報を知りたかった。
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前作同様、約2年ぶりと、この方にしては早めの新刊である。今回は、倉知淳さんが倒叙ミステリに挑む。そう、いわゆる『コロンボ』型ミステリである。読者には犯人がわかっている。綿密な偽装を、いかに探偵役が崩していくか?
前作の探偵役は、元大役者にして芸能プロ社長だった。推理の部分はもちろん楽しめたものの、どちらかというとキャラクターを前面に出していた印象を受けた。一方、今回の探偵役は、陰気なオーラを放つ、死神のような男。見た目と裏腹な名前を持つ「乙姫」警部。……。ま、まあ、これはこれで味があるのだが。
「運命の銀輪」。売れっ子の共作恋愛作家の仲間割れ。アリバイは万全なはずが…。そんなところから足がつくのかと思ったが、もちろん証拠としては弱い。しかし、心理的に追い込むには十分だった。白を切り通す剛の者も、中にはいるかもしれないが。動かぬ証拠とは言いにくいのが、逆に意外といえば意外な1編。
表題作「皇帝と拳銃と」。「皇帝」とは、実は大学教授のこと。学内屈指の実力者なら、もっと穏便に済ませられただろうと突っ込みたくなるが、「皇帝」のプライドが許さなかった。動機や心理描写の面で興味深い。威厳のある人物なのだろうが、まったく動じないばかりか、気遣いさえ見せる「死神」は、すごい。
「恋人たちの汀」。タイトル通り、恋人にアリバイ工作を依頼する男。無理がありすぎるが、有耶無耶にするくらいの効果はあった。しかし、崩れたきっかけは…。あまり重要とは思っていなかった、被害者のある行為が、こんな形で痕跡を残すとは。とっさの言い訳を思いつかせないように追い込む、「死神」の真骨頂。
「吊られた男と語らぬ女」。ある意味、最も意外性が高いだろう。首を吊った状態で発見された男。偽装自殺か? 一課が動き、多くの証言、証拠が上がってくるのに、しっくり来ない。「死神」が披露した知識は、的を射ていた。彼でなければ解決しなかっただろうが、なぜ彼がこの事件を担当したのだろう…。
初出時期がばらけているが、単行本1冊分貯まってよかった。このシリーズは存続してほしいが、「死神」の再登場はあるだろうか。本格作家倉知淳、ここにあり。
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著者初の倒叙ミステリ。連作短編集で4篇収録。
いつものユーモラスな文体は影を潜め、スタンダードな倒叙物になっていて、完全犯罪に自信を持つ犯人とミスを探し出す警部との駆け引きが繰り広げられる。どこをミスしたのか、4篇共さっぱり分からなかった。説明されて納得。倉知さん、流石に良く考えられている。
死神みたいな様相で名前だけが可愛い警部、というのがユニークだったが、欲を言えばもう少し奇抜な設定でも良かったような・・・。
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計画は練りに練った。ミスなどあるはずがなかった。それなのに……いったいどこに落ち度があったというのだ!? 犯罪に手を染めた大学教授、推理作家、劇団演出家らの前に立ち塞がる、死神めいた風貌の警部の鋭利な推理。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ倉知淳初の倒叙シリーズ、4編を収録。
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表題作のほか、「運命の銀輪」 「恋人たちの汀」 「吊られた男と語らぬ女」
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まずは、刑事のコンビの風貌に目を惹かれる。まるで死神のような中年刑事と、現役モデルも真っ青なイケメン若手刑事なのである。しかもその名前は、乙姫と鈴木。出会った人は必ずと言っていいほどその風貌と名前のギャップに、一瞬志向が停止する。そしてこの死神乙姫は、感情の読めない立ち居振る舞いも死神にぴったりなのだが、事件現場における着眼点には目を瞠るものがある。一点のミスも犯していない自信を持つ犯人をじわじわと追い詰め、ついに退路を断った時、初めから疑っていたことを明かすのであるが、その際の犯人の驚きと虚脱感は想像に難くない。映像化にも向きそうな一冊で、愉しみなシリーズである。
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2018年18冊目。待望のシリーズ化。倒叙物はやっぱりこのじわりじわり追い詰められていく感じが面白い。刑事のキャラクターがそれに拍車を掛けてくる。最後の短編は中でも異色だけど、もう一押しだけ欲しかった。
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死神みたいな風貌の刑事が来たら絶対ビビる。犯人との会話はもちろんだけど、周辺の人が浮かれながら聞き込みを受けてるのも面白かった。
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短編4編.
死神のような乙姫警部の推理が冴える警察物.乙姫警部とイケメンの部下鈴木刑事が毎回違った形容でしつこいほど語られるが,少し煩わしい感じがした.「吊られた男と語らぬ女」がちょっと違った切り口で一番面白かった.
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倒叙ミステリ短編集。いつも思うのですが、こういう倒叙ものって犯人に同情してしまいます。だってものすごーく頑張っているのに、必ず暴かれちゃう運命なのだもの。しかもじわじわじわじわ追い詰められてさあ。犯罪者とはいえ、可哀想すぎる!
そして今回のこの作品も、その思いはひとしお。乙姫警部……嫌だ、犯人目線から見ると嫌すぎる! おそらく、人格的な部分ではそれほど嫌な人でもないと思うのですが。それでもこのキャラクターはあまりに怖すぎるでしょ。
お気に入りは「吊られた男と語らぬ女」。なんとなく見抜けはしたのだけれど。なぜそんなことをしたのか、というところはまったく見当がつかなくって。これはあまりに切ない物語かも。
「恋人たちの汀」も好き。あまりにも些細すぎる点でばれてしまう、やはり犯人があまりに可哀想。
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倉知淳の倒叙ものは初らしい。コロンボは黒衣の死神(っぽいおじさん)。4編いずれも、古畑任三郎シリーズでタレントが演じていても不思議ではない映像力(誉め言葉)。
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4話の傾叙物。犯人の犯行から始まり隠蔽工作まで分かった上で話が進んでいく。警視庁の死神警部がジワジワ犯人を追い詰めていき最後は犯行解明されてしまう。犯人はどこでミスしたのか最後にわかるし、犯人目線でストーリーを読んでるから読者も追い詰められる。こんな切れ者警部がいたら怖いなぁ。
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倒叙ミステリ4編。死神みたいな見た目は大変好みなのである!推す!
<収録作品>
運命の銀輪
皇帝と拳銃と
恋人たちの汀
吊られた男と語らぬ女
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倒叙ミステリの短編集。死神のような警部が犯人たちを追いつめる。
倒叙モノの醍醐味は、犯人と探偵の探り合いのようなやりとり、そして完璧と思われる計画のどこにほころびがあったのか最後に明かされるところだが、王道で楽しめた。
四話の構成もすばらしい。
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作者さん、初の倒叙ミステリ。犯人視点で見ている我々でさえ、鮮やかに紐解いていくロジックに魅了されてしまう傑作短編集でした。 中でも『恋人たちの汀』の展開はハッとさせられました。全体的に一つの気付きからするすると暴かれてしまう作品ですが、乙姫警部の言葉一つ一つが恐ろしく、ですが止められないのがもどかしかったです。 さらに表題作『皇帝と拳銃と』も好きでした。主に稲見主任教授の皇帝であろうとする姿と、乙姫警部を避けたがる相反した様子に、私自身が稲見主任教授になってしまったような錯覚がありました。
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初の倒叙もの連作4篇。コロンボ役を務めるのは死神のような佇まいの乙姫警部。共作作家の仲間割れに端を発する殺人(「運命の銀輪」),不正をした大学主任教授が彼を強請る事務職員の口封じを狙う表題作,劇団主宰者がおじである高利貸しを殺し恋人にアリバイ作りを依頼する「恋人たちの汀」,そして斬新な「吊られた男と語らぬ女」。倒叙ものでは犯人は大抵不自然なほど饒舌だが,この作品の犯人は必要以上に黙っている。読者も犯行のプロセスに不明な点を抱えつつ読み進めていくが,なんと意外な結末。
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コロンボ風の倒叙ミステリ。
連載短編物なので仕方ないのかもしれないが、主人公である刑事キャラクターの説明が同じような内容で重複しており、くどい感じになってしまったのは残念。
この種の小説では主人公の魅力が肝になる部分なので、短編毎に違う角度から見た説明にしたほうが面白くなる気がする。