独特の文体で綴られるのは、麻薬と宗教、ポルノと犯罪が横行するアメリカ。女ジャンキーの復讐が始まります。2001年ベストミステリは当然かも
2006/04/12 19:37
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「別れた妻が殺され、娘が誘拐された。デスクの陰で楽な仕事ばかりしてきたボブは、犯人を知っている女性のジャンキー ケイスとともにカルト教団を追う」クライム小説です。
CWA新人賞受賞作、と聞くと結構あたりはずれが多いんですねえ。でも、この作品に関しては海外の作家たちが絶賛しているが、肯けるでき。2001年に出た受賞作家たちのなかでも、本当のピン。恐ろしい存在です。
1995年のクリスマス。場所はカリフォルニアです。警察官である夫と離婚し、サムと結婚したサラ。そして前夫ボブとの間に生まれた14歳の少女ギャビ。彼らが住む家を見守るサイラスとガター、そしてリーナ。彼らの中で手渡される注射器。彼らの襲撃が始まりました。サムとサラは殺され、少女は誘拐されるのです。
サイラスから犯行の報告を聞くジョン・リーはクレイ保安官事務所長。その下でもっぱらデスクワークばかりさせられていたボブ・ハイタワーは事件を知り、娘の失踪に誘拐の匂いを嗅ぎつけます。彼が目をつけたのが、カルト教団の手によって麻薬中毒となった女ケイスでした。質問を重ねるうちにボブは、彼女が犯人を知っていることを確信するのです。
サイラスという悪魔のような男は、〈左手の小径〉というカルト教団の教祖です。麻薬を売りさばき、人を殺し、幼児のポルノを製作する男。その男に脅され、操られ犯罪を重ねたジャンキー ケイスは、ボブの追跡に便乗し、自分の恨みを晴らそうとします。互いに相手を信じることの出来ないコンビの追跡が始まりました。
訳者の田口俊樹のあとがきが、いいです。ともかく、この小説、文体が独特です。翻訳者の質問に真面目に答えようとしないテランの癖や、文中に現れるまったく知らないようなことを、インターネットを駆使して翻訳したというのですが、そんな苦労の跡を微塵も感じさせない切れの良さです。
しかも作家の池澤夏樹の解説が付いています。これがまたいい。作家としての文章ですが、誠実そのもの。しかも、これを読むと、この作品が発表されたときの海外の作家達の反応が良く分かるのです。
この小説の文章は、読みなれた人でないと最初は戸惑うかもしれません。でも時間と共に、独特の粘りのある文体と、凝った構成がじわじわと効いてくるのです。何と言ってもジャンキー ケイスの颯爽とした姿が印象的です。映画にしても、震えが来る様な気がします。2001のベストミステリ第一位は肯けます。
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訳が私の好きな田口俊樹さん。乾いているのに湿っている感じで非常に良いです。
ストーリーの疾走感もたまらない。
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これもヤバイ。相当面白い。どうしようもない。これはおれの作った言葉だけど、とにかく「ドラゴンヘッド的」に読まされる。ラストは「ドラゴンヘッド的」ではないのでご安心を。映画には再現できない究極の映画を見ているような感じ。『ブラックダリア』が思ったほど面白くなくて、アメリカのノワールはダメだわと思ったらとんでもない。これはすげえ。
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2001年、文壇に衝撃を与えたデビュー作。ストーリー的にはバイオレンス・ミステリー的な単純なものなのだが、そこに溢れ出るポエジーが素晴らしい。もはや詩人。読んで震えるべし。
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去年のこのミスとか、文春とかのベストで、1位だったやつ。カルト教団にさらわれた娘を助けるべく闘う父親と、そのカルトから抜け出した元ジャンキーの女性の話。
文体が独特で、最初戸惑う。でも、なんだが詩的。でもって、1段落が短いので読みやすい。
ストーリー自体は単純なのだけど、全体的に混沌し荒廃してて、それがたまらなく切ない。うん、そうだ。なにか廃墟を見てるような、そんな気分になる。
キャラクターもすごくいい。元ジャンキーの女性ケイスの命の輝きには、感動を覚えた。でもって、悪役も、本当にとことん悪いやつなんだけど、しぶい。うむ、やっぱり、悪役が魅力的じゃないと話は面白くないんだよね。
文句なしにいいとはいえないけど(好みの問題が大きいと思う)確かに、このミス、文春、いいもの選んでます。
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カルト教団にさらわれた娘の救出劇だが、伏線が多く、複雑。冒険小説ではあるが、純文学の要素もある。あまり好きではなかった。
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元ジャンキーと実直な警官‐ケイスとボブがぶつかり合いながらも惹かれていく過程が何ともスリリング。セックス、ドラッグ、バイオレンスのオンパレードなので気の弱い方は近寄らぬよう。
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期待せず読み始めたのですが、面白かったです。
元妻を殺され娘を攫われた警官・ボブと、元カルト集団員のジャンキー・ケイス。
二人はお互いに嫌悪感を抱いています。ぜんぜん違う世界に生きてきたのだから当然です。
しかし、ふたりで死と隣合わせのギリギリの綱渡りを続けるうちに信頼のようなものが芽生えていきます。
このふたりの距離感がなんとも素敵です。
ギャビについて、もうちょっと掘り下げてくれれば嬉しかったのですが……うーん。
彼女はこれからどうなるのか。強く生きていけるのか。
原文がかなりクセのある、抽象的で難解な文章だったようで、
とくに序盤は微妙な言い回しがいくつか見られ、日本語訳を作るのに四苦八苦している様子が伺えます。
ですが読み進めるうちに作品の世界にぐいぐい引きこまれ、気にならなくなりました。
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圧倒的なスピード感や、バイオレンス、思想が絡み合うノワール。主人公のボブもさることながら、ケイスとサイラスの存在感は凄い。
言葉が重く、感動的でありながら、爽快な読後感。
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題名:神は銃弾
原題:GOD IS A BULLET
著者:ボストン・テラン (Boston Teran)
訳者:田口 俊樹
出版:文春文庫 P573
■感想
そのうち、感想かこうと思ってたら半月もたってしまった…
正月に読んだ小説ですー
去年の「このミステリーがすごい」の1位になってたんで、とりあえず読んどきました.
ま、大抵の本屋で平積みでおいてあるんで見たことあると思いますが…
カルト集団(マンソンファミリーみたいな人たちね)元妻を殺され、娘を誘拐された刑事(デスクワーク担当)が、
カルト集団の元メンバーの女性(とうぜん元ジャンキーでもある)の手助けを借りて、娘を取り返すって話です。
ノワール小説なんで暗いです、見たくない現実みせられます、つかまった娘もひどいことされちゃったりします…
そのへんが、ちょっと…
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本当は感想を公開する場ではこう書くのを憚られるのだが、この作品はいい。なぜ「いい」と書くのを憚られるのかというと、この種の小説に接したことのない読者が安易に手を出すと非常に危険だと思える作品だからだ。日本だったら馳星周や花村萬月の作品を思い出すが、本書はそれらよりはるかに心ねじれた悪意と残虐さを秘めている。そんな作品を「いい」と言ったら人間性を疑われるかもしれないと思うほどだ。物語は、壮絶なノワール小説。娘が、「ドラッグと血と精液と愛液の世界」を作り出している狂気の集団に連れ去られた。刑事である父親は娘を取り戻すため、かつてその悪の集団に属していた女を相棒に、戦いの旅に出る。読み始めてすぐに疲労困憊してしまった。これ以上ないと思えるくらいの邪悪にあたってしまったからだ。しかし、もしそんな邪悪を秘めたストーリーに耐えられる読者ならば、相手を切り刻もうとするかのような辛辣な罵詈雑言の応酬の中に、一瞬であれ心を捉えられる言葉を見出すかもしれない。汚濁した言葉の中に、真理をつくものが紛れ込んでいるように感じられたからだ。それを証明するかのような一節があった。「ことばは信念の赴くところを定義するわけじゃない」あたかも日蝕のように、真昼間を闇にかえる邪悪。その暗黒世界から抜け出し、ようやく冷静に考えを巡らせることができたとき、この作品の凄みを思い知ることとなった。本書は、新人作家の衝撃的デビュー作であり、CWA新人賞受賞作。恐怖に隠された詩情の豊かさに、味わったことのない驚きを感じた。
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日本語訳が下手。物凄く読みにくい。悪戦苦闘中。読み終わった、が10日もかかった!「音もなく少女は」はこんなに読みにくくなかったのにこれだけか?誉めてる人もいるけどホンマに?筋はいいと思うんだが・・・。
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解説のあらすじ「残酷無比なカルト教の教主に拉致された娘を求めて、父親の警官が元教徒の麻薬中毒女を案内役にして追跡する話」とあるが、悪者はカルト教でもないし教主でもなく、ただの麻薬取引をやる暴力殺人集団のリーダーというだけである。
大人の欲と、暴力集団の自己満足の犠牲となった10代の女の子が悲劇である。捜索に協力した元麻薬中毒の女主人公の活躍がすごい。しかし、単純なストーリーの割に長すぎるかも。
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久々のバイオレンス小説。そうと知らなくて読み始めたから最初は本当に胸糞悪かったけど、アメリカの悪や矛盾を、成功や豊かさの下敷きになっている、必ずひずみに生まれてしまう犠牲者のそれぞれの姿を描き出している。単純なハードボイルド的な楽しみよりもそちらに目を奪われる作品。
ストーリーは至極単純。
とある中流階級家庭がカルト集団によって両親と飼い犬は殺害、少女は誘拐され、薬を打たれてレイプて連れまわされる。その少女の父親(あまりデキのよくない警官)が元ジャンキーでカルト集団に昔所属していたケイスという女性とともに追いかけるというストーリー。
展開がわかりきっているのに惹きつけられるのはハードボイルドならではかなと思う。
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あーもー何やってるのと言いたい感じにもたもたやって、後手後手にまわってしまって、やきもきするんだけども、でも人生こんなもんかと思わないでもない。しかし相変わらず?小難しい事ばかりのたまうアメリカ人達にはついていけん。